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異世界の物語  作者: もぐな
第一章
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 ゲームに手を出すと、少しの休憩は挟んだりするが、多くの人ができる限りの時間を注ぎ込むのではないだろうか



4時間あまりプレイしていると悲劇が起こってしまった。


「あぁぁああああぁぁあああぁぁぁぁぁぁ……」


「お兄ちゃんうるさいよ!」ガン!



いつの間にか帰っていたようで、隣の部屋にいた妹からお叱りの壁ドンである。だが仕方ないではないか、最大4人PTパーティーで狩りにいくことのできるゲームで、味方同志の攻撃によってお互いの行動は妨害されないよう出来ているのだが、爆弾等といった設置系に限ってはそうではない。


 オンラインで初めて一緒にプレイする味方だったため、連携も上手く取れておらず、いきなり置かれた爆弾により俺の使っていたキャラクターはモンスターの前に吹っ飛ばされて完膚なきまでの攻撃を食う。

  そんなときに限って壁にハマって逃げれない状態に。それなりに強くなっていたので、この程度の敵なら復活アイテムを買っておく必要が無いと思ったのが仇になった。自然復活後、すぐさまステータスを確認すれば先週なんとか作り上げたばかりの、鎧部分が破壊されてしまっていた。


 他の装備なら替えが効いたのだが、こいつに関しては、4月限定の攻略難易度がかなり高いクエストを46週することによって、やっとの思いでドロップしたアイテムだったため、絶望である。


  自分以外のPTメンバーが女キャラクターだったこともあり、誘われるがまま加入してしまったことを後悔した、どうせ中身は男というオチなのは目に見えていたのにだ。これならいつも遊んでいるメンバーがログインするまで待てば良かった。



壊れた装備は課金アイテムだけでなく、先ほどのクエストより何倍も難しいクエストをクリアして、低確率で入手できるアイテムを使う事によって修理する事が可能なのだが、一人で向かうと更なる被害が発生しそうなため、街の中でキャラクターを放置し、休憩をすることにする。


丁度夕飯の時間になっていたので、パソコンは放置したまま自室のある3階から2階のリビングへ向かう


お母さんと妹がキッチンにてご飯の用意を始めていたので、少しのお手伝い。



「武、そこのお皿並べてて、お父さんは今日会社の飲み会があるみたいだから遅く帰ってくるそうよ」


「お兄ちゃん! コップとお茶もよろしくね!あとゲームで負けたからって大きい声出すのやめてよ! びっくりするじゃない!」



ご注文通り、皿を並べて、コップの中にお茶を入れ、できあがった料理をテーブルの上に運ぶ。



 家族3人で夕食を済まし、テレビを見ながら、ちょっとした会話をする。

テストはどうだったか、最近何か変わったことは無いか、彼女や彼氏はできたのか、そういった当たり障りのない会話。



8時頃になったため、自分の部屋に戻る。これが中学を卒業してからの日課になっている。



 親や妹は、初めの頃、サッカーをどうしてやらなくなったのか、ゲームやアニメばっかり見てないで他のことをやれと言ってきていたが、こっちの方が今は楽しいからと伝えてからは、強く否定するようなことはしなくなった。



 自室の扉を開くと、なぜかゲーム画面が閉じられており、起動してすぐの状態に戻っていた。

そして中央に小さくブラウザーが表示されている。

  長時間放置して、スリープ状態になることはあるが、それなら真っ暗になっているはずだと考えならがも、ブラウザー画面に書かれていた文章を読むため近づく。



【今の世界はあなたにとって理想の世界ですか? もし人間だけでなく、多種族が暮らす世界があるとします。そこには魔法といわれる力があり、魔物と呼ばれるものが存在しています。そういった世界に行ってみたいと思ったことはありますか?】


 【選択肢:はい いいえ】


「なんだこれ?」


正直、訳がわからなかった



 今遊んでいる、抹殺モンスターのアンケートか何かかなと疑ってみたがどうだろうか。このゲームは剣や弓矢だけでなく、現代兵器である銃も使えたりするが、魔法や超能力といったスキルは存在していないからだ。もしかしたら次回のアップデートで魔法スキルが実施されるのか?



 別に答える必要もないのだが右上に存在するはずの閉じるがないため消すこともできない。

画面上に映し出されている別のアイコンをクリックしても反応しないため、画面はこの選択肢のまま動かない。


「ん~……」

これは答えるしかないのだろうか?クリックすることでウイルスとか送り込まれるのは困るのだが……。


 学校で学と話していたこともあるが俺はゲームや漫画が大好きだ、ラノベ小説やインターネット小説によくあるファンタジー世界なんて誰もが憧れる世界だと思っている。

あるなら一度は行ってみたい。


 今朝 学が言っていたように、困っているヒロインを助け出して、その子に惚れられるとか、人には恥ずかしくて言えない妄想をしたことだってある。


「まぁ、ウイルス検知のソフトも入れてるし大丈夫だろ」


このまま動かない方が問題なので、マウスのカーソルを【はい】の部分にもっていき、クリックをした。


クリックしたことによって、画面が進む

【その世界に行くと、現在生活している世界に戻ってくることはできません。それでもあなたは行ってみたいと思いますか?】


 【選択肢:はい いいえ】


二度目の確認がされる



「うわ~……なんかネット小説とによくある異世界召喚みたいな展開だな」


思わず口に出してしまう


本当にアンケートかどうか疑う



 憧れている異世界の生活。冗談だとわかっていても多少なりとも「もし本当だったら?」という気持ちがあることは確かだ。


これで本当に【はい】と選択することによって、ファンタジーの世界に飛ばされるとどうなるのだろうか?


決して今の日常に不満があるわけではない。

だが、アニメやゲーム、そして小説のような話の中に自分が飛び込むことができるならそうしてみたい。



その気持ちから、

【はい】を押した


それでブラウザーは閉じられる



何もおきない


1分たっても何も変わらない


机の前で何もせずに、5分程様子を見てもディスクトップ画面から変わることは無い


……


「なんもないじゃねぇかぁああ!!」


わかっていた。


わかっていながらでも少し期待してしまうのが人間ではないだろうか。

宝くじを買っただけで、億万長者になれるかもしれないと思うのと一緒の気持ち。




「お兄ちゃんうるさいよ! もぉー!」


隣の部屋にいる妹に、又怒られてしまった。


俺のわくわくを返せよ! ついでに装備も返してくれよ!


とんだ時間の無駄じゃねぇか。


 装備を失った事と、変なアンケートによってやる気もなくなってしまったので、本日のゲーム活動は終了。イベント品はちゃっかり最初の方でドロップしてるので問題なし。明日のテストに備えて多少勉強をして時間を過ごす。


 途中、現実逃避するため、漫画を一巻から読み直すと辞められなくなり、結局やるべきことを放置してしまうことはないだろうか?

まさしくそうしたことにより本日は終了した。



テストの最終日も無事終了で明日から夏休み。結果はお察しといっておこう。



「お前らぁ、夏休みだからといってハメを外し過ぎんようにしろよ! でわ、また2学期で!解散!」



  今期最後の学校からの下校。昨日、学に誘われていたゲームをするため二人で帰宅途中である。テストの話は、一切していない。これこそ本当の現実逃避である。


「だからさ!マフィア側に、アメリカの軍が加わった事によって新しい兵器が!」


「いやいや、なんでマフィアとアメリカ軍が手を組んでんだよ。絶対アメリカ軍だけの方が強いだろ、組む必要ないだろ」


  昨日話していたゲームのストーリを聞かされながら帰路につく。

なんだかんだいって面白そうだと感じてしまっている自分がいることが悔しい。



話を聞きながら歩き続け、あと数分で学の家につくという時だった。


 それは突然現れた。現れたという表現合っているのかはわからない。しかし、現れたというしかないだろう。いつも通る帰り道、その道路の中央部分が歪んでいるように見えた。

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