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【第7視】俺たちの運命の相手って……?(考察その一)

 家に帰って俺は考えた。

 誰が誰から好かれているのか分かる俺。

 誰が誰を好きなのかが分かる標智憂梨。

 誰と誰が運命の人なのかが分かる結束星月。

 この三人は、ある程度お互いのプライバシーを知りえる立場にいる。

 俺は、標智憂梨や結束星月が誰かのことを好きになった場合、それを知ることができる。

 頭上にその名を浮かべている男子がそうだ。

 そんなこと、俺に知られうるなんて、標智憂梨も結束星月も、安心しておちおち男子を好きになることもできないだろうな。

 標智憂梨は、誰かが俺や結束星月のことを好きになった場合、それを知ることができる。

 佐取透、結束星月の名を頭の上にのっけているやつがそうだからだ。

 そして誰が標智憂梨自身を好きなのかもまた自分で知ることができるのだ。

 結束星月は、誰と誰が運命の人同士なのかを知ることができる。

 俺や標智憂梨が知ることができる情報が時間とともに変化する場合があるのに対して、結束星月の知りうる情報はおそらく不変のものだ。

 だから、現在、付き合っていたり、結婚していたりしても、実は、それは運命の相手ではないということが分かってしまう。

 それにしても……、結束星月には、俺や標智憂梨や結束星月の運命の相手の小指の糸はどう見えるんだろう?

 俺や標智憂梨や結束星月に運命の人がいたとして――ぜひ、いてほしいものだが――、その相手の赤い糸って結束星月にはどのように見えるのだろうか?

 俺や標智憂梨や結束星月の小指には赤い糸は見えないということだから、やっぱり途中で消えているんだろうか?

 ということは、もし、赤い糸が途中で消えている者を見つけたら……、逆に、その人が運命の人ということになる。

 少なくとも俺と、標智憂梨と、結束星月の運命の相手がいるということなら、女性で1人、男性で2人、途中で赤い糸の消えている人がこの世にいるはずだ。

 もし、もしもだよ!

 俺の通う高校に赤い糸の途中で消えている女子がいたとしたら……、その人は、俺の運命の人ということになるんじゃないか!?


 翌日、俺はこの思いつきを、さっそく結束星月にぶつけてみた。

「残念だけど、そうとは限らないな」

「え……、だって……」

「あたしは、確かに今まで、薬指に赤い糸のないやつを見たことはなかった。見たのは、透と智憂梨が最初さ。だけど、赤い糸が途中で途切れている奴は何人か見たよ。特に、子どもの……、男の子に多いんだ」

「どういうこと?」

「ちょっと考えてみろよ、分かるだろ?

「……、あ、そうか、まだ生まれていないんだ」

「そういうことさ」

「だいたい、結婚ってのは、男が年上の場合が多いからな。子どもの……、特に男子には、まだ運命の相手が生まれていない場合がある。あたしが幼稚園のころは、途切れた赤い糸をぶらぶらさせている男子が何人もいたよ」

「じゃ……、じゃあさ。もしかして、僕の身の回りに途中で途切れた赤い糸をぶらぶらさせている女子がいたとしても……」

「それが、透の運命の相手とは限らないということさ」


 結束星月の説明を聞いた直後は、なるほどそういうものかと思ったが、家に帰ってよく考えてみたら、その可能性は非常に低いということに思い至った。

 すでに高校生の俺や標智憂梨、結束星月の運命の相手がまだ生まれていないということは考えにくい。

 これから生まれてくるとしたら、少なくとも十五歳年下ということになってしまう。

 まあ、十五歳差のカップルもなくなないだろうけれど、確率的にはやっぱり小さいよな。

 ましてや、男が年上の場合ならまだありうるだろうけれど、女が年上の場合ならもっと確率が低いだろう。

 だからやっぱり、身の回りに、途中で途切れた赤い糸をぶらぶらさせている子がいたら、それが俺たちの相手だよ、たぶん。

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