プロローグ
出だし勢いで、書き方とかしらない
ここは何処だ、私は誰だ、いやそれは判ってる、理解している。
動けないわけでもない。ただただこの場から離れたい。
何をすればいいのかと、己の内側に引き篭もってとりあえず。
(とりあえず、)
何をすればいいんだろうか。
事の顛末は突然だった。突然というより、気がついたらファンタジーだった。やったことのあるゲームの世界に良く似ているけど、なにか規模が違う気がした。
あれか、まず自分がなんでゲームの世界にいると思ったのか、そこから考えよう。
今、どこぞの大通りの真ん中で突っ立てるわけだ、そして周りには人もいるわけだ。視線だけで痛みを感じる。
そんな右も左もわからない状態で、とりあえず体を前に動かすことにした。
歩いたら脳に血液が回って思考が冴えるかもしれない。が、
何かがおかしい。周りの視線を避けるため、自身の視線を下げ、腕をくもうとしたんだ
(これは何だ)
硬いアーマーの上からでも判る小山がそこにあった。あと視界に掛かったものが白くて長かった。
思考が停止する。
「とまって下さい。君、聞いてるか?おっぃ」
ドッ
そのままどのくらい歩いてたのかわからないが誰かとぶつかった様である。誤らなくてはいけないだろうと顔を上げれば、自分の身長より頭一つ半高い男がいた。
「もうしわけない」
自分でも驚くほど細く高い音が鳴る。
「いや、気にはしてないよ。顔色がよくないけど大丈夫かい?」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
男の態度に違和感を感じたが、
お嬢さんか。認めるしかあるまい。今自分はゲームで使用していたキャラクターの姿になっているはずだ。鏡がないので判断しかねたが、最近作ったキャラクターの特徴がこんな感じだ。
レベリングでカンストを目指した突貫キャラだが、容姿の設定にはこだわりがある。
自分の容姿を確認したところで、意識が現実に戻る。
衝突相手の男が、動かずそこに立っていた。
(あれ?とっくによけて通りすぎてるものかと…)
不思議に思いながら、軽く会釈し通り過ぎようとすると、進路方向に男が立ちふさがった。
「ちょっと詰め所まで来てくれないかなお嬢さん?」
「え?! 何故私が。」
(詰め所っていうのは、警察署みたいな感じか…。何かやらかしたとでも?)
「・・・」
この姿だから“私”である。質問の返答にもなっていないが、悪いことをした覚えもする気もないので戸惑いようもない。
「・・・その背に担いだ大きな斧が気になってね。それだけじゃない、三国戦争も終結した今となってそのような戦闘服でいる者。君は何者だ」
(んんん!?)
たしかに、不釣り合いな武器を装備させることが目的で作ったキャラだが。
戦闘服はキャラの装備は革と鎖帷子で作られているデザートアーマーであり、目の前の男が身につける華やかな装備とは違ってより実戦向きだといえる。
それよりも気になった言葉が“三国戦争も終結”・・・あれが終結したらゲームの意味がなくなるではないか。それはゲームのサポートを終了を意味してるのか。しかし、このゲームのキャラは傭兵から始まるが、
どの国とも関係を持たない無所属傭兵プレイ目的で作ったはずで、
国籍がなく、もちろんパスポート的なものも取得していない。
何者であったとしても証明できるものがない状態だ。
これは非常にまずい状況にある。
表情にでているか判らないが、冷や汗がとまらない。何者かって、一番聞きたいのは自分だ。
「・・・もしや、あなたはガーディアンの生き残りだろうか?そのマントといい装備も普通じゃない」
「なんだそれ、怖いだろ。そんなに強くない」
ガーディアンこと、ガディといえは各国に数体ずついるフルプレートの黒い騎士だ。PvPエリアの門を守る最狂のモンスター。こいつに殺されることが通称“ガデ死”である。
あいつらはいないのか。いや今は、そんなことどうでもいい。この世界で自分は何者かだ。
(身分証明はできない)
キャラの職と名前を言ったらいいのか。名前は・・・でっりーと!・・・
(突貫キャラの名は、終わっている。)
却下だ。どうする!ライフカード!的なものを要求する。
名前は適当にトランスセクシャル?してるから、
「名前トラン 種族エルフ 性別♀ 職業ジェネ です。武器は両手斧でございます。」
ノリに任せて、自身の身の上を決めた。必死だから、言葉がおかしくてもしかたない
(これで勝てる!)
「・・・」
無言である。お互いに無言である。
いや、ほんんんっと何に勝てるんだよ
自分でもおかしいと思ってた。ほら、この男も顔がおもしろくなってる。
ゲーム上のキャラとしてなら、このプロフィールは適当なはずだった。
おもしろい顔をしていた衛兵?らしき男は表情をほぐしてこう言った。
「続きは、詰め所で聞こう」
…
不可避
続くかな。。。