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サンライズ・7

 ノアと別れた後、僕たちは高松駅に既に入線していたサンライズ瀬戸に乗車した。部屋は変わらない。

「ミズハ、明日のことなんだけど」

「やはり心配なのですね」

 サンライズ瀬戸に乗車してから、ずっと加賀谷のことが気になっていた。まだ怒っていたりするだろうか……ものすごく会いたくない気分だ。

「どちらかと言えば、私たちの行先を聞かずに予約してしまった加賀谷さんの方が悪いと思います」

「それはそうだけど……」

「大丈夫です。岡山駅以降で会った場合は私も助言します」

「ありがとう」

 目が覚めてドアを開けた瞬間、目の前で加賀谷が仁王立ちしていなければいいけど。

 その日はまたシャワーを浴びて眠りについた。


 翌朝。目が覚めると、既に岡山駅を過ぎていた。つまり、サンライズ出雲と連結を済ませている。

「おはようございます、マスター」

「おはよう。寝ている間に誰か来たりした?」

「いえ、誰も訪問者はいません」

 加賀谷のことだから、岡山駅発車直後に来ると思っていたんだけど……。

「もしかすると、北陸新幹線の車内で……という可能性もありますね」

「そっか、かがやきで隣の席に座っていたから」

 いや、それ以前に……東京駅でグイグイ詰め寄ってくるかもしれない。

「考えていても仕方ないか。どうせ確実に怒られるんだし」

 加賀谷のことは綺麗さっぱり忘れて、降車のための荷造りをし始めた。


「みぃつけた…!」

「ぎゃあ!」

 新幹線のホームでかがやきを待っていると、僕の首筋に指が触れた。若干ヒンヤリとしていて冷や汗をかいた。

「なぁんで言ってくれなかったんですかぁ」

「ねっとり語り掛けてくるのはやめてほしいな……」

 後ろを振り返ると、予想通り加賀谷が立っていた。ミズハは加賀谷の肩を抑えていて、暴れるのを防いでいるのかもしれない。

「何か、言うこと、あるんじゃないですか?」

「この度は誠に申し訳ございませんでした」

「え、えっ?」

 僕は仕事中にしている態度で加賀谷に謝った。僕がそんな謝罪をするとは思っていなかったようで、加賀谷は面食らっていた。

「次回からはこのようなことがないよう、全力で対処して参ります」

「………」

『まもなく22番線に、7時20分当駅始発、敦賀行の『かがやき』が参ります。ご注意ください』

 謝罪の言葉を言い終えると、丁度のタイミングでかがやきが入線してきた。モーターの音で言葉がかき消されるので好都合だ。

「これで満足か?」

「え?なんて言いました?」

「別に」

 今も戸惑い続ける加賀谷を横目に、僕たちはかがやきに乗車した。

 ここから約二時間も、加賀谷と隣り合わないといけないのか……かなり苦労しそうだ。

「どうだった?サンライズは」

 翌日、金沢駅で金石区長に声をかけられた。

「30年も前の車両とは思えませんでした」

「そうだよな!いや~、昔は大型連休の時はほぼ毎日走ってたんだぞ」

「そうなんですか……」

「新幹線が生まれると、寝台列車はお役御免となったわけだが……一日でも長く走り続けてもらいたいものだよ」

「……そうですね」

 その気持ちは僕も同じだった。

 ただ……経年劣化は必ずある。その点はどうしようもないのだ。


 サンライズ編・終

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