19話 END OF A DREAM
「あ、あなた何者なのっ!?」
一番端の6号車。そこの監視を任されていた女が叫んでいた。もちろん僕に向かって。
「何者って……普通に運転士ですよ?」
「運転士ならそんなことできないでしょ!」
女は僕の足元を指さした。そこには弾丸が着弾した痕がある。
「いやあ、このトランプすごいね」
僕の手元にはハートのAがあった。これを選んだ理由はなく、ただ一番上にあったから使っているだけだ。
ライフルの弾がなくなるまで、このカードは大きくなってずっと弾き続けた。足がガクブルでも恐怖に耐えた僕なんかよりもすごい。
「こ、来ないでっ!」
一歩進むだけでこの反応…なんというか
残念!!!!!!!!!
「ごめんね。一人の命か大勢の命かと言われたら、大勢の人の命優先だから」
「それで、制圧できたかい?」
「ひとまずは。すっごい怖かったですけど」
4号車に戻ると、すでにPUPAさんはいた。仕事が早いなあ。
すると、681系は駅を通過していった。
『京都』
小窓からその文字が見えた。
「これはまずいね…」
「思いました?普段なら停まるのに…」
サンダーバードは主要な都市には止まる電車なのに...。
「ということは、運転士がいない…?」
「もしくは運転できない状態になっている……急いで運転室に行きましょう」
最悪の事態を考慮して、僕たちは6号車へ走った。
6号車は貫通扉があるタイプで、運転室にはステップを上っていかないといけない。
しかし、ステップの上にある運転室への入り口は開かなかった。
「鍵がかかってる!」
「トランプを使おう」
PUPAは僕の手からトランプを取ると、目の前のドアを切り裂いた。切れ味紫色なんじゃないかな。
その後、二人がかりで体当たりしてぶち破った。
そこには誰もいなかった。
「ん、よっと!」
若干重いマスコンを押し、ブレーキをかけた。
その瞬間、強いブレーキがかかり、思わず運転台に手をついた。
ドサッ...。
背後から何かが倒れる音がした。
「...見ないほうがいい」
先に目を向けたPUPAさんは僕の前に立ちはだかった。
「何でですか?」
「君にとって辛いものだから」
「そんなこと言われたら余計に見たくなりますよ!」
「......後悔しないね?」
「しません」
「......分かった」
ようやくPUPAさんがどいてくれた。
そこには人が倒れていた。制服だから、恐らく鉄道関係者だ。
床は赤黒く染まっていた。あいつらにやられたのか...それとも自ら———
「...!」
髪を見て僕は目を見開いた。この髪色には見覚えがあった。
「あなたの名前は———」
急に眩しい光が差し込んできた。
「眩しっ...!」
「マスター、大丈夫でしたか?」
隣からミズハが声をかけてきた。
「かなりうなされているようでしたが...」
「あ、ああ。大丈夫大丈夫...」
眩しさの原因は天井の照明のせいだった。
「今日は反重力装置の診断結果が出る日ですよ」
「.........そうだった!」
僕はすぐにベッドから降りて洗面所へ向かった。大事な予定をすっぽかすわけにはいかない。
「...昨日はこんなもの無かったはずですが」
ミズハはテーブルに置かれていたトランプを手に取った。
それには『ハートのA』が描かれていた。
夢の最後に見た、運転室で倒れていた人。その人の髪色は蒼色だった。
作者テスト勉強中…Now loading




