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14話 原宿へ行こう

 鉄道博物館に行った翌日。僕はミズハと加賀谷に振り回されていた。

「あそこのファッションセンターに行ってみよう!」

「マスター、いいですか?」

「あ、うん、行ってらっしゃぃ......」

 まだ目覚めて二時間なのに、だいぶ疲れた。

 どうしてこんな目に遭っているんだろう。

 今日もまた、昨日と同じような時間に目覚めた。

「おはようございます、マスター」

「あ、おはよう」

 ミズハがいることには驚かなくなってきた。

 テレビの天気予報では、一日中晴れとのこと。

「今日もまた、どこかへ行くのですか?」

「いやぁ、何も予定が決まってないんだよね...」

「その言葉、本当ですね!?」

 トイレから聞き覚えのある声がした。まさか...。

「なら翫さん!今日は私たちに付き合ってもらいますよ!」

「なんでいるの!?」

 トイレのドアがバーンと開かれ、中から加賀谷が現れた。

「私が中に入れました」

「ええ!?」

「翫さんの寝顔、写真に十枚くらい収めましたから!」

「エエエッッッ!?」


 僕がショックから立ち直ったとき、とあることに気がついた。

「なんかさぁ、加賀谷、テンション高くない?」

「あ、気づいちゃいました?」

 いつもよりテンションとウザさが倍増している。

「だって東京ですよ!東京といえば...」

「といえば?」

「『原宿』ですっ!」

「僕、今日はパスで」

 原宿、と聞いただけで何をするのか想像がついた。

「まだ何も言ってませんよ!?」

「分かる、僕には分かる。どうせ服を買いに行くんでしょ」

「そうですよ!」

 なんで逆ギレ気味なんだ。

「一度でいいから、原宿の品揃えがどんなものか見てみたかったんですよ〜!」

「へぇ」

「翫さんも着てみます?」

「僕、男だけど...」

「何言ってるんですか?口調や態度は『乙女』そのものですよ!」

「加賀谷こそ何言ってんの!?」

 僕が...乙女?ないないない。

「まぁそれは置いといて。私、ミズハをコーディネートしてみたいんです」

 どうやら加賀谷は、ミズハは相当『化ける』と思っているらしい。

 今の制服姿のままでいいと思うんだけど、なんて言ったら間違いなく怒られるので言わないでおく。

「ただ、ずっと許可待ち状態なんですよ」

「はい。私は原宿に行ってみたいのですが...マスターの回答次第では...」

 なんで僕が『行っちゃいけない』と言う前提なんだ。

「行ってきていいよ」

 そう言うと、二人の表情は明るくなった。

「そうと決まれば、さっさと支度しちゃいましょう!」

「楽しんできてな〜」

 僕はまたベッドに潜ろうとした。

「翫さんも「マスターも行くんですよ!」」

「...うぇ?」


 そして、現在進行形で原宿にいる。

 今は加賀谷がミズハに似合いそうな服を選んでいる。

「じゃあ着替えさせるので、楽しみに待っていてください!」

 二人はそのまま試着室へ向かっていった。

 加賀谷なら露出の多い服を選ばない......はず。いや、でも『あの』加賀谷だからなぁ...。

「お待たせしました〜!」

 先に加賀谷だけ戻ってきた。

「か、加賀谷?」

「何ですか?」

「なんで鼻血の跡があるの?」

「あっ......鼻血の跡ってなんですか?」

 誤魔化すのが下手すぎる。今『あっ』って言ってたし、思い切りゴシゴシと鼻をハンカチで擦っていた。

「と、とにかく!自信作です!」

「『作』って...」

「ミズハ、出てきて〜!」

 加賀谷が呼びかけると、試着室のカーテンが開いた。

「マスター、どうでしょうか?」

 いかにも『地雷系』の服を着たミズハが立っていた。

 淡いピンクの長袖ブラウスに、黒色のリボンタイ、肩の黒色フリル、袖口はこれまた黒色のカフスで引き締められていて、『ピンク×黒』のコントラストが効いていた。

 スカートはハイウェストの黒いミニスカート。紫色にも青色にも見えるリボンを左右に飾っている。

 ただの無地の黒ミニスカというわけではなく、レースアップのデザインが施されていた。

 蒼髪には赤いポンポンが飾られていた。映えてるなぁ。

 足元は厚底の黒いブーツとルーズソックスを穿いていた。

 ...どこのお姫様だろう。

「ああっ♡」

 隣にいた加賀谷が鼻血を吹き出しながらぶっ倒れた。だから鼻血の跡があったのか...。

「良い。ものすごく良い」

 僕は心の底から褒めた。

「そう言ってもらえて嬉しいです」

「や、やっぱり私の判断は間違っていなかった!」

 秒で復帰してきた加賀谷が言った。

「加賀谷のファッションセンスは凄いなぁ...」

「ミズハ、どう?気に入った?」

「とても気に入りました」

「なら私が自腹で買ってあげる!」

「貯金の方は大丈夫なの?」

「私を誰だと思ってるんですか!」

「まあ、そこまで言うなら...」

 ちなみに、このコーデの合計の値段は約六万円だった。


「ところで翫さん、女装って興味あります?」

「ない」

 店を出た途端に何を言うかと思ったら、とんでもない爆弾発言だった。

「え〜、絶対おも...可愛くなりそうなのに」

「今何て言おうとしたのかな〜?」

 絶対『おもしろそう』って言いかけていた気がする。

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