加賀谷のヒヤリハット
とある日の通勤・通学ラッシュの時間帯にて。
私は金沢行きの521に車掌として乗っていた。
『まもなく金沢行き、発車します』
今日も車内は人で埋め尽くされていた。521の定員は二両編成でだいたい250人。今は四両編成だから倍の500人。それなのにこの混み具合なのだ。毎回、乗車率が150%くらいあるんじゃないか、と考えてしまう。
ホームから駆け込んでくる乗客がいないことを確認して、私はドアを閉めた。
『ドア、閉まり切ってません』
「えっ?」
運転士から無線でそう伝えられた。
すぐに運転室から出て、ドアを一枚ずつ確認していった。
「これヤバいって!抜けない!」
「とにかく引っ張って!」
二号車の中間のドアで、女子高生のカバンが挟まっていた。
多くの電車のドアは人力では開けられない。それくらいガッチリと閉まる。そのため、彼女たちはカバンを引き抜こうとしても引き抜けない。
「じっとしててください」
ドア横の『開ける』のボタンを押し、カバンがまた挟まらないように奥まで押し込んだ。乗客には迷惑がかかるけど、安全な運行のためだ。
今度は車内の『閉める』のボタンを押し、すぐに腕を引っ込めた。私の腕が挟まれたら本末転倒だ。
「今度こそはみ出しは...なし」
他のドアも確認したが、問題を起こしていたのは二号車のあのドアだけだった。
「大丈夫です。発車できます」
『はい、了解です』
フィー...という音を出した後、521はようやく駅を発車した。
ちなみに、遅れは一分に抑えることができた。それくらいは誤差でしかないと思う。ドアを閉めた直後に駆け込み乗車しようとしてくる人を乗せた時と同じくらいだ。
「へぇ、そんなことがあったんだ」
その日の退勤時間、翫さんと出会った。
「通勤・通学時間帯だと特に注意しないといけませんね〜...」
「アナウンスで前に担ぐか手に持つように言ってるけど、その時間帯はできないよね」
翫さんの場合は、カバンの紐がドアに挟まれて抜けない、ということがあったらしい。
「松任駅から津幡駅までの区間で、その人は野々市駅から乗ったんだ。で、その時にドアに挟んじゃって。野々市駅から先はずっと出口は右側でさ、仕方なく両側のロックを解除してもらってなんとかなったんだ」
「今日のは『カバンごと』でした」
「...そんなことあるんだ」
翫さんは驚いていた。そんな事例はあまり経験していないらしい。
その後は少し雑談してから帰った。
みなさんも公共交通機関では注意してくださいね。電車によっては荷物棚があるのでそこに置いたりしましょう。
ちなみに521に荷物棚はあります。
そういえば、『521-105』が帰ってきましたね。いや、僕が気づいていなかっただけで、少し前から戻ってきていたのかも?
作者テスト勉強中...Now lording




