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9話 大宮駅

 金沢駅だと、基本的に停車・通過していくのは521、貨物列車のEF510形、能登かがり火の683系、新幹線はE7系・W7系だ。あとは『花嫁のれん』や『雪月花』といった観光列車、そして検査車両くらいだ。

 しかしここは大宮駅。何種類もの鉄道会社が乗り入れている。

「E231系にE233系、さらには80000系まで走ってる!」

 僕みたいな鉄道好きにとってまさに『聖地』だ。さらに鉄道博物館もあるのだから至れり尽くせりだ。

「E233系って全部同じじゃないですか」

 隣にいた加賀谷が呟いた。

「ふっ、甘いね。チョコレートみたいに甘いよ」

「チョコレートって苦いじゃないですかぶっ飛ばしますよ」

 おお怖い怖い。

「京浜東北線は『1000番台』、埼京線は『7000番台だよ」

 発車まではまだ時間があるので、E233系の違いを説明することにした。


 まずは『製造時期』。京浜東北線の『1000番台』は2007年から導入された。一方で、埼京線の『7000番台』は2013年に導入された。

 走行性能や保安装置も大きく違っている。一番はやはり『加速度』だろう。

『1000番台』は2.5km/h/sとなっていて、これは標準的な数値だ。しかし『7000番台』は3.0km/h/sである。これはN700Sの加速度(2.6km/h/s)を上回っている。

(ちなみに、521の加速度は『1000番台』と同じで2.5km/h/sである)

『1000番台』に使われている保安装置は『D-ATC』というものだ。線路に電流を流していて、電車がその上を通ることで位置を把握している。『一段ブレーキ』という減速のやり方が可能になり、乗り心地と運転間隔が良くなった。

 では『7000番台』も同じかというと、別物である。これには『ATACS』というJR東日本が開発した保安装置が使われている。電車自身が位置を計算して、無線で基地局に伝えている。基地局はそれぞれの電車の情報をもとに、無線で指示を出している。これによって、線路脇にあった複雑な装置やケーブルを減らせた。

 簡単に言えば、『D-ATC』は糸電話、『ATACS』はスマホといったところだ。

 他にも、『7000番台』は登場時からすでにLED照明や防犯カメラを採用していた。『1000番台』は後付けなのである。

 いやあ、電車って奥が深いよ。


 語り終えて加賀谷の方を見ると、( ᐛ )<「何言ってんだコイツ?」みたいな顔をしていた。やっぱり今日の加賀谷は様子がおかしい…。

「加賀谷、風邪でもひいた?」

「い、いつも通りですよ?」

「なら良いんだけど…」


 大宮駅を発車するとき、隣に並走してくる新幹線がいた。

「あれって…」

『珍しい新幹線ですね』

 E956形、愛称『ALFA-X』だった。

「なんで!?どうして!?」

 ALFA-Xは試験車のはず。しかも、その試験はとっくに終わってるはずだ。

『検索中……どうやら臨時の『はやぶさ』として走っているようです』

「贅沢だなぁ...」

 ALFA-Xといえば、先頭車両が同じ形をしていないことが特徴的だ。1号車は16m、10号車は10mの『鼻』を持っている。

 途中までは同じ速度で並走していたが、ALFA-Xは加速し、521は空へ飛んでいく。

「もっと見ていたかった...」

『仕方ありませんよ。仕事ですから』

 そのうち乗りたいなぁ、ALFA-X。

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