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DE10 1116

 とある日の夕方、小松行きの担当をしていた時だった。クハ520の前面をチェックしていると、背後から轟音が聞こえてきた。

「ん…?」

 福井方面から二つの前照灯が向かってきているのが見えた。521よりも前照灯同士の間隔が狭いし、色が一種類だけだった。

『それ』は転てつ器に沿って僕の立っているホーム、五番線の方向へ走ってきていた。小松行き521は三番線なので衝突はしない。五番線も空いている。

 そして、それなりのスピードで横を通り過ぎて行った。一瞬だけネームプレートの数字が見えた。

 [DE10 1116]

 間違いなく、そう書いてあった。

「は、え、ちょ…はあ!?」

 思わずエゴロックみたいになってしまった。なんでこの時間にDE10が?

「マスター、今の見ましたか?」

 ミズハが階段から登ってきていた。

「どうみても『凸』の形してたよね? ディーゼル機関車だったよね?」

「してましたね」

「DE10とか初めて見たんだけど…」

「今は金沢車両区富山支所に配置されていますね。けれど、滅多に見れないでしょう」

「だよね~…」

 製造年はなんと1971年。もう半世紀も前に製造された。でも元気そうに見えた。

『若いもんが頑張ってるから』とかは……そういうことだったらなんか微笑ましい。

 本当に運を使い切っちゃったんじゃないかって…。

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