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19、獣人国の一騒動(11)

 精霊に進化を果たした楓は、エアル(空気の塊、スライムと同程度の強さ)だった頃より格段に強くなっていた。


 主に、魔力制御が上手くなったのだ。だから、スキルカード無しに魔法を使えたり、魔力の量と質から敵の強さを割り出したりもできる。


 今回、紅葉を探すために、彼女の魔力の痕跡を辿っていくらしい。楓の魔力への敏感さだけでは力不足なので、スキルカード『嗅覚上昇』も使うことでそれを補うことに鳴った。


 薄暗く静まり返った森の中を歩きながら、ふと思った。


 俺は必要なのだろうか?


 もちろん、今みたいに戦力が少ない時はそのかさ増し、戦力が増えてからは指揮役に徹するつもりだ。


 しかし両方とも、俺である必要性はほとんど皆無だ。異世界の知識があるとは言え、俺ができるのは徹夜する時にお世話になった料理を作ることぐらいだ。


 それに、確実にクラスの連中から恨まれている。まあ、俺1人で逃げたら、そうなるのは元より分かっていたことだ。


 あの時の俺が、不良どものドラゴンに勝てるわけ無かったし......。


「冬哉様」


「......」


「冬哉様!」


 急に目の前に楓の顔が現れた、ように思えた。


 眉を寄せながら心配そうに俺の顔を見つめているのを見るに、さっきから声を掛けていたのだろう。


「どうしたの?」


「やっと気付かれましたか。もう少し遅ければ、無理矢理にも現実に引き戻すところでした」


 どうやって、と聞きたいところだが、目に映る光景を見て止めることにした。


 目の前には、オークの村があったのだ。この村には人間が住んでいたが、その人たちを襲撃して村を奪ったと、以前誰かが言っていた。


 その村から、煙がもくもくと立ち昇っているのだ。


 一本なら焚き火かもしれないと疑っただろうが、見渡す限りで6本の煙が立ち昇っている。


「楓、そういうことだよな?」


「はい、おそらく」


 紅葉を助けに行きたいところだが、敵の数は未知数だ。


 ブルーテス獣人国から目と鼻の先にあるのに放置していたということは、この村の戦力は相当高いのだろう。敵の戦力、配置、戦い方、弱点の何一つすら分かっていない。


 何も考えずに突っ込んでいくのは無謀だろう。


 無謀と勇敢は全く違うものだという言葉を聞いたことがある。


「楓、何か良い作戦はない?」


 ここは、頭の回転も仕事も早い楓に聞くのが良いだろう。


 まあ、見返りに何を求められるかは不安だが。


「美味しいものを買ってくださいね」


「うん、分かったよ」


「役に立つかは分かりませんが、アイテムボックスの中を確認してください」


 次の言葉はいくら待っても、楓は口を開かなかった。


 ただ不思議そうに、俺を見ているばかりだった。


「えっ、それだけ?」


「はい」


 涼しい顔で、顔色一つ変えずに言ってきた。


 0よりは、1いや0.01の方が良いとは思うが......まあ良い、アイテムボックスの中を覗いてから考えることにしよう。もしかしたら、魔物カードをゲットしていて、戦力を増やせるかのしれないし。


 見てみると、確かにカードが2枚増えていた。


 この2枚は、さっきまで攻略した「満月の火炎」というダンジョンのボス部屋でゲットしたカードだろう。ボス部屋に入る前には無かった気がする。


「『太陽の女神』『月の女神』?」


 アイテムボックスから取り出してみると、カードは金色だった。


 そう、最高レアが2枚も入っていたのだ。


「どうですか、役に立ったでしょう?」


「そうだね」


 棒読み気味にはなってしまったが、しっかり感謝してはいる。


 でも、楓が最高レアを獲得したわけでは無いのだ。とは言え、彼女が言ってくれなかったら気付かなかった。


 とりあえず楓に感謝しつつ、これからどうするか考えることにした。


 『太陽の女神』は味方全体に回復とバフ、『月の女神』は敵のバフを消してデバフを付与するというものだ。


 バフやデバフは聞いた感じは地味だが、カードゲームでは結構重要なものだ。


 敵の体力が1とか2で残ることがたまにあるが、その時にバフかデバフを使っていれば敵を倒せているのだ。


 使ってみれば分かることだ。


「冬哉様、加勢しましょう」


「そうだね」


「では、行きましょう」


 そう言って、意気揚々とオークの村に入ろうとしていた楓の腕を掴んだ。


「ちょっと待って。聞いて欲しいことがあるんだ」


「えっ、まさか」


 何を想像しているのかは知らないが、楓の頬がどうしてか紅潮している。


 彼女は左手で服をいじりながら、右手で乱れていない髪を整えながら振り返った。


 いつになく、大人しくなってしまった。


「バフとデバフで支援をするだけにするのが良いと思う」


「えっ......」


 まあ、そんな反応になるよな。


 仲間が困っているのに直接力を貸さないのは冷淡な行動かもしれないが、多分俺たちは助けない方が良い。


 紅葉はオークに家宝を奪われてしまったのに責任を感じていた。正確には分からないが、自分の責任を果たすためにここに来たのだろう。それも一人で。


 だったら、俺たちが敵を倒しに行くのはありがた迷惑だろう。


「どうしてですか?」


「何が?」


「どうして、私への告白じゃないんですか?」


 そういうことだったのか......。


 そう言えば、楓はこういう性格だった。よく、変なことを言い出すのである。


 仏頂面で黙って突っ立っているよりかはマシだ。元々おかしい椿は置いといて、楓に影響されて、唯一のまとも枠である紅葉までもがおかしくならないか心配だ。


 ただでさえ異世界なのに、三人の問題児を世話する余裕なんて無い。二人でも嫌だが、しょうがない。


「冬哉様、今こそ本当の気持ちを言うのです!」


 楓は目を輝かせながら、俺の方を見ている。


 どうして、こんな性格になってしまったのだろうか?


 ネジが一本外れてしまった楓は放っておいて、紅葉を助けることにした。もちろん、俺が直接敵を攻撃するわけでは無い、


「」

まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。


もし面白いなと思っていただけたなら、ブックマーク登録、ポイント、リアクションもお願いします。


ぜひ他の作品も読んでみてください。

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