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センターリング  作者: あああー
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プロローグ


「…もういい加減諦めたらどうだ?」


地に伏せる相手を見下ろしながらそう放つ。

纏う装備には傷一つない。


「こんなところで諦めるならとっくにそうしてるよ」


地に伏せた男は、力なく立ち上がりながら答える。

その身体にはいくつもの切り傷と打撲痕がある。


なんとか立ち上がった傷だらけの男は、装備から起動音を鳴らす。

そして対面する相手へ駆け出した。


「お前は戦闘センスもずば抜けてるし、その機動力は厄介だ」


相手は駆け出す男を感情の見えない目で見つめ、手をかざす。

そして唱える。


「【フレア】」


声と共に腕の装備の射出口からいくつもの火の玉が放れる。

拳ほどある火の玉は、駆け出した男を包み込むように放射状に広がる。


「その辺の並の奴らだったら翻弄されている内にやられるかもな」


無数の火の玉の直撃を交わし、速度をそのままに突っ込んでいく。

微かに触れる火の玉が装備を炙るが、気にも留めない。


「だが、結局は並かそれに毛が生えた程度だ」


傷だらけの男が眼前に迫る。

しかし相手は未だ気にすることなく、再び唱える。


「【バーン】」


その瞬間、飛散していた火の玉が全て爆散する。

傷だらけの男の姿が火で包まれた。


爆散した火の玉によって生じた煙が晴れていく。


「本当に惜しい、心からそう思う」


傷だらけの男は立っていた。

身に纏った装備のほとんどは半壊、特に腕の装備は完全に破壊されていた。

装備が壊れた先に見える肌には決して軽くない火傷が見える。


「発動直前に装備で火の玉を弾いたか」


「っ…また、だめなのか」


そう呟き、傷だらけの男は意識を失う。


「ジーク、お前が"コード持ち"だったらこの勝負はどうなったと思う?」


再び見下ろす相手はそう声をかける。


「考えるだけ無駄か、こんなこと」


「終わったぞ、早く治療してやれ」


事が終わったことを外へ知らせる。


倒れていた男、ジークは意識がないまま運ばれていく。

彼は意識のない中、歯を食いしばったままだった。


痛みと、悔しさを噛み締めるように。


対していた相手もまた、同じものを噛み締めるように目を逸らした。



そして、ジークの物語が始まる。

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