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【完結】生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜  作者: 海空里和
第二章王都編

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確かめあった想い

「リヴィア……! リヴィア!」


 ルーカス様は何度も『リヴィア』の名前を呼んでいた。私は彼の腕の中で、何度も返事をした。


 しばらく私を抱きしめていたルーカス様は、身体を引き離し、私の顔を見つめると、言った。


「その金色の瞳……。やっぱり、リヴィア……」


 綺麗な青い瞳は涙に濡れていて、熱を帯びて私を捕らえる。


 愛しげに、甘い声で囁くルーカス様に私は恥ずかしくなってしまった。


「ルーカス様、態度急変すぎません?」

「もうルーカスとは呼んでくれないのか?」


 私の言葉はスルーで、増々甘く囁くルーカス様。


 もおおお!


 口をパクパクさせていると、急に肩の上にいたトロワが光りだした。


「何?!」


 眩い光を放つトロワは、宙にフワリと浮くと、その身体を変化させた。


 猫だった姿は、『リヴィア』の従属だった頃のライオンの姿へと変えた。


「トロワ……?」


 光が収まり、私の肩にいた頃のトロワとは身体の大きさが違いすぎる。目線が上になり、戸惑いを隠せずにいると、ルーカス様も驚いていた。


「これは……リヴィアの……どういうことだ?!」


 トロワはゆっくりと首を私の前に垂れると、嬉しそうに言った。


「ルーカスが『リヴィア』のことを信じた時が、俺が元の姿に戻る鍵だったんだ」

「ええ……そうだったの?」


 だからトロワは、ルーカス様に『リヴィア』だって言っちまえって何度も言っていたのね。


「何で教えてくれなかったの?」

「女神様と言わない約束だったのもあるけど、俺は……リリアの気持ちを優先させたかったから」

「トロワ……!」


 自分のことよりも、私のことを想ってくれていたトロワに感動して、私は大きな彼の身体を抱きしめた。


「トロワ、何だって?」


 トロワの言葉がわからないルーカス様は、ちょっといじけて後ろから声をかけてきた。


「あっ、ごめんなさい。ルーカス様に生まれ変わりのことを信じてもらえたのがきっかけで、元に戻ったみたい」

「本当にトロワ……リヴィアなんだな……」


 私の言葉に、ルーカス様は目を閉じて噛み締めていた。


「ルーカス様?」


 私は『リヴィア』の生まれ変わりだけど、今はリリアだ。ルーカス様の中にちゃんとリリアはいるのだろうか?私はそんな心配でルーカス様を見上げた。


「ルーカスと呼んで欲しい」


 急に『男の人』の顔になったルーカス様は、ジリジリと私に迫る。


 私は思わず後ずさりをして、トロワの身体にドン、とぶつかってしまった。


「リヴィア……」


 ルーカス様はトロワの身体に手を置き、私をすっかり捕らえてしまった。


「俺で壁ドンするなー」


 トロワの声はもちろんルーカス様には届かず。


「リヴィア?」


 ルーカス様の顔が、至近距離まで近付いてくる。


 心臓が破裂しそうなのと同時に、切なさがこみ上げた。


「ル、ルーカス様!! 私はリリアです! やっぱりリヴィアとしてしか見てくれないんですか?」


 ルーカス様から逃げようと顔を背けながらも、そんなことを私は言ってしまった。


 でも、ルーカス様は私を逃してはくれなくて。


「君は、リヴィアであり、リリアだろう? どちらも私の愛する人だ」


 恥ずかしげもなくそんなことをしれっと言うルーカス様。こだわっていた自分がバカらしくなる。


「でも、確かに今の君はリリアだ。すまなかった。リリアーー」


 再び甘い声でルーカス様の顔が、近付く。


 思わずギュッと目をつぶってしまう。


「……?」


 急に黙ってしまったルーカス様に、恐る恐る目を開ける。


「ルーカス様?」


 ルーカス様は口を押さえて、顔を赤くしていた。


「子供には手を出さないとアレクと約束をしていたな。くそっ」

「ルーカス様、言葉遣い……」


 そんなルーカス様を見て、思わず笑ってしまう。


「ルーカス」

「え?」

「ルーカス、だ。リリア」


 再び真っ直ぐに私を見つめる青い瞳に、胸が跳ねる。


「……ルーカス」

「さっきまでの勢いはどうした」


 赤くなりながらも彼の名前を呼ぶと、彼は顔を崩して笑った。


 そして、私に再び近づくと、額に唇を落とした。


「?!?!」


 驚く私に、ルーカスは意地悪な顔で微笑んだ。


「消毒だ。ユーグにやられっぱなしでは癪だからな」

「何ですか、それ」


 私は額に手を当てて、顔を真っ赤にしながら、意地悪なルーカスに言った。


 彼はしばらく嬉しそうにクスクスと笑っていたけど、不意にこちらを見て真剣な顔をした。


「リリア、本当に私で良いのか?君は、まだ若い…」

「もう! ルーカスじゃないと私は嫌だよ?!」


 まだ躊躇うルーカスに、私は頬を膨らませて言った。


「そうか……。なら、もう離してやることは出来ない」


 そう言うと、ルーカスは私をお姫様抱っこした。


「全てが片付いたら、正式な婚約をアレクに申し出るよ」


 ルーカス様はこの国の第一王子。時期王に最も近い人。だから、アレクの許可なんて命令一つで何とでもなるのに、ちゃんとしようとしてくれていることが嬉しい。


「今度こそ私と一緒に歩んでくれるか?」

「もちろんです!」


 青い透き通る目を細めて、穏やかに笑うルーカス。


 私はそんな彼の大好な笑顔に向かって、力いっぱい返事をした。

ここで第二章は終わりです。ここまで読んでくださりありがとうございました!

明日から終章に突入します。ブックマークしていただけると嬉しいです!

そして、広告下の評価☆☆☆☆☆から応援していただけるととっても励みになりますのでよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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