表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜  作者: 海空里和
第二章王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/52

結界修復

 翌日、早速結界修復の仕事に取り掛かることになった。


「リリア〜、一緒に行けなくてごめんよ〜」


 アレクはルーカス様の視察に同行するため、今日は別行動。朝からこんな調子で泣いている。


「隊長、自分が何があってもリリア様をお守りしますのでご安心ください!」


 家まで迎えに来てくれたユーグがアレクに笑顔で言う。


「何かあったら、ユーグを盾にしてでも逃げるんだよ」


 泣きながら、冗談なのか本気なのかわからない台詞を言うアレクに、私はジト目で答えた。


「もう、お父様! 私だって聖女なんですから、しっかりやってみせます。それに、トロワもいるし」


「おう! 俺がいるから安心だぞ!」


 ニャーンとドヤ顔でアレクにトロワが言うも、父の心配そうな顔は固定されたまま。


「そこは、ユーグがいるから大丈夫、って言って欲しいですね〜」

「ユーグも頼りにしてるわよ」


 にぱー、っと笑って割り込むユーグに、私は取って付けたかのように答える。


 この二人が絡むと、いまいち緊張感が薄まるわね。


「じゃあ、行ってきますね! 必ずお父様の元に帰って来ますから!」


 心配そうなアレクはやっと笑顔になり、私を抱き上げると、馬車に乗せてくれた。


「リリア、気を付けて」

「はい」


 そうして、朝から賑やかな送迎の元、私は目的の地へ向かった。


◇◇◇


「今日行くマーグリット領にはすでに隊員も向かっています」


 馬車の中でユーグが今日の説明をしてくれていた。


 マーグリット領はマーグリット伯爵家が治める領で、王都からも日帰りで行ける近さ。


 結界修復のため、足を踏み入れることはルーカス様の手回しにより許可されていた。


「フォークス領にいた面々が主なので、みんなリリア様にお会い出来るの楽しみにしていましたよ」

「そうなんだ」


 ユーグが嬉しそうに話してくれるので、私も嬉しくなった。知った顔が多くいるのは安心出来る。


「じゃあ、またマフィンを作って行こうかな」

「え? 本当ですか? 自分、リリア様のマフィン好きです」


 目を輝かせてこちらを見るユーグに、思わず餌付けしてしまった気分になり、笑ってしまう。


 明るいユーグのおかげで、和やかな空気の中、ふとした疑問を彼に聞いた。


「そういえば、ソフィー様には専属護衛はいるの?」


 もう一人の聖女様。ルーカス様によると、遊んでばかりみたいだけど、表向きは王都の結界を作り上げている。


「ジェイル様の婚約者ですからね。そりゃいますよー」

「近衛隊の誰かが務めているの?」

「近衛隊は第一王子派ですからねえ。騎士団の第二王子派の奴らが務めてますよ」


 近衛隊全体が第一王子派なのか。なら、私の聖女業も安心かな。


 そう思って考え込んでいると、ユーグが私の顔を覗き込んだ。


「リリア様、また難しいこと考えてるでしょ」


 あまりの顔の近さに、思わずドキリとしてしまう。


「リリア様は自分が命に変えても守りますから大丈夫ですよ」


 彼の、いつもの明るい笑顔とは違った真剣な表情に、思わずドキドキしてしまう。


「簡単に命に変えてもとか言わないで」


 私の返事に、ユーグはブハッと笑いだした。


 今の笑う要素あった?


 ちょっとムッとした私に、ユーグは笑いながらこちらを見て。


「やっぱり、リリア様、好きだなあ」


 そんなことを言ってきた。


「ありがとう。私もユーグのこと好きだよ」

「……そういう意味じゃないんですけど」

「どういう意味?」


 聖女として認められているなら嬉しい。それに専属護衛のユーグとは関係が良好でありたい。


 でも、意味が違うってどういうこと?


 私が疑問に思っていると、ユーグはニコリと笑って言った。


「まあ、これからってことですね」

「????」


 増々意味がわからない。


 そんな私に、ユーグは「今はそれで良いです」と言って、笑った。


 そうこうするうちに、馬車はマーグリット領に着いた。


 馬車を降りると、見知った近衛隊の面々が嬉しそうに迎えてくれた。


 フォークス領で仲良くなった人たちばかりで、仕事もやりやすかった。


 マーグリット領の結界は一つだけ。私たちは結界に向かって、何事もなく修復を完了した。


「王都に近いほど結界の強度が強いのかな」


 私はマーグリット領の結界を見てトロワに聞いた。


 ここの結界は揺らぎがあるものの、欠損は無かった。フォークス領では穴が空いていたほどなのに。


「リヴィアは最後に王都で強力な結界を張ったからな。その影響は強いかもしれない」

「じゃあ、王都から離れた場所から回った方が良いよね」


 トロワと、王都から遠い結界を回った方が良いと話し合った私は、ユーグに相談に行った。


「それでしたら、一度、殿下にご相談いただいた方が良いですね。隊長には…リリア様からが早いですよね」


 ユーグと話して、まずはアレクに話して、ルーカス様にも判断を仰ぐことになった。


 もしかしたら久しぶりにルーカス様に会えるかもしれない。そんな期待を胸に、私はその日の仕事を終えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ