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姉に性癖バレました

 --私は可愛い。


 チラチラと降り注ぐ雪の白さが街を染めだし、商店街を飾るクリスマスツリーやイルミネーションが視界を華やかにする。


 12月25日--クリスマス。

 聖夜……まさに私に相応しい1日。街は浮かれたカップルで溢れ、腕を組んだカップルが幸せそうに笑ってる。

 ただ誰しもに相方がいる訳じゃない。

 恋人達の日に誰も隣にいない寂しい男は街に出て目を皿のようにして獲物を探してる。でも、そんな性根だから女が出来ないんだと思う。


 そんな男達が私を見逃すはずもない……


「ねぇ、遊ばない?」

「お姉さん可愛いね。暇?」

「ちょっとお茶しようよ」

「……運命感じた。ホテル行こ?」


 哀れな男達にせめて最高の笑顔を送り私は街を行く。妄想するのは自由……愛でられる者の責任として私は彼らの瞳に最高の自分を焼き付けさせる。


 さて、美の女神たるこの私日比谷真紀奈。

 そろそろ私を唯一神とする宗教でも出来ておかしくないくらいの美少女である私のクリスマスの過ごし方……気になるでしょ?


 今年のクリスマス……

 色恋とは無縁な私の人生--私の人生で初めて桃色の花びらが咲いた今年……


 残念ながら空閑君は居ない。

 恋を覚えたこの日比谷真紀奈、まさかのクリぼっち。

 空閑君どうしたんだろ……学校にすら出てこなかった。ていうか私は彼の連絡先すら知らない。


 彼への想いを募らせ初めてから2人で重ねた時間といえば文化祭で同じ劇の練習して鼻くそ味のポップコーン食べたことくらい……

 私の恋、亀の如し。進展がない。


 道行く恋人達すら憎たらしく感じてきた。なにイチャイチャしてるの?

 これも罰ですか?全人類の真紀奈であることを放棄した罰?


 空っぽのクリスマス……涙を呑みながら私は約束の場所を目指す。


 好きな人と予定がないだけで別に暇なわけじゃない!!

 自宅から20分程歩いたかなってくらいの場所。

 比較的田舎な地元には大きな山があって、山から流れてくる大きな川が街をふたつに割ってる。

 その川の中流くらい、街をふたつに分けた境界線の河原。

 冬の川辺など危険極まりないけど、ここは小学生達の遊び場。寒さにも負けず今日も子供達が駆け回ってる。


 そんな砂利やらちょっとした木々やらに彩られた河原に停まる一台のバン。


「おーい、真紀奈ー」


 河原の下の方でブルゾンを着込んだ女性が手を振ってる。その周りを興味津々に走り回る子供達。そして彼女の腕にとまる“彼女”……


 見間違えようのない、私の姉……

 今日は姉との約束の日だった。


「こっちだよー。おーい」



 唯一無二の美貌と可憐さを備える私だけど、その私に唯一並びうる存在が居る。

 それが血を分けた実の姉--日比谷愛梨ひびやあいり

 私と同じ明るい茶色の髪、外ハネした襟足のウルフカットは快活な印象を与える。

 ぱっちり大きなアーモンド型の瞳、ぷっくりした唇、控えめな鼻、スレンダーな均整の取れたプロポーション。

 私がゆるふわ系なら、姉はスポーツ系女子。


 魅力的な容姿に明るい性格、抜群の運動神経。

 女性としての魅力という点では私には遠く及ばないけど、人としてはぶっちゃけ私よりずっとできた人だと思ってる。平均以上の美貌と運動能力、誰とでも打ち解けるコミュ力。人間としてのクオリティの総合値が違う…


 それが、私の姉愛梨。


 さて、そんなお姉ちゃんがどうしても私を呼び出したのか……

 その理由は彼女の腕にお行儀よくとまった彼女だ。


「ケーッケーッケーッ」


 姉さんの手にはまったグローブの上でけたたましく鳴く凛々しい顔つきの猛禽類。


 --ハヤブサの日比谷・マリー・アントワネット。


 姉さんは鷹匠たかじょうだ。

 鷹匠とはタカやハヤブサ等の猛禽類を慣らして鷹狩りを行う人のこと。

 カラス等の害獣対策等で活躍するらしい。

 そしてその相棒なのが、日比谷・マリー・アントワネット。略してひまちゃん。


 類希な美貌を持つ姉さんと、美しい羽毛を身にまとった凛々しいひまちゃんの佇まいには昔私も鷹匠の世界に憧れさせた。


「ケーッケーッケーッケーッケーッ」

「落ち着け落ち着け。真紀奈に会うとなんか興奮するよねいっつも……」


 まぁその夢も全く私に懐かないひまちゃんのせいであっさり諦めた。


「それで?この寒いのにこの私を呼び出したのはなぜ?世界最高の宝である私が風邪でも引いたら一大事だけど……」

「……相変わらずプライドと自信が天元突破してるね。ごめんごめん、真紀奈今日暇かなって思ってね?」

「……それどう言う意味?」

「どーせ友達も恋人も居ないんでしょ?」

「友達くらい居る。あれですか?ぼっちなら逆説的にクリスマスは暇だろ的な…?何もこんな日に外に呼びつけなくても……」

「めんごめんご。昨日までは学校でしょ?私も彼氏と色々用事あって最近バタバタしててー……」


 ……姉さん、私は悲しいよ……


「姉さんと私の決定的な差って、自分の産まれた意味を正しく理解出来てるかどうかなんだね……」

「は?」

「美しく生まれた責務を果たそうという意志の話……私はあんなに葛藤したのに。姉さんはそんなだからしょーもない男と恋愛に興じれるんだね」

「……真紀奈、私の彼氏に恨みでもあんの?」

「私は悲しいよ姉さ--痛たたたたたたたっ!?やめてひまちゃん!!突っつかないで!?」


 突然嘴のラッシュが襲いかかってきた!!危うく穴だらけにされるところでしたよ!?姉さん相棒をしっかり躾てもらわないと!この日比谷真紀奈を傷物にせんとする狼藉、ひまちゃんじゃなかったら焼き鳥にしてたぞ!!


「ごめんごめん…あのね、私1月に協会主催のショーに出るんだけど……その訓練をね?」

「訓練?そんなの姉さんでやればいいじゃん…私ひまちゃんと訓練出来ない。殺す目してる。怖い」

「うんうん、なんかあんたのこと嫌いよねひまは。だからいいんだよ。あんたが相手だとひまも燃えるからさ」

「出た!?またあれでしょ!?私が逃げ回ってひまちゃんが追いかけるやつでしょ!?嫌なんですけど!?姉さんは私の美貌をなんだと思ってるの!?」

「ケーッケーッケーッケーッケーッケーッケーッケーッケーッケーッ」

「痛いっ!!ほらっ!今絶対殺す気だった!!」

「ケーーーーーーーーーッ!!」


 *******************


 鳥と友達になる方法ってありますか?というか、鳥に嫌われる理由ってなんですか?


「姉さんっていっつもそうだよね!!私の意見なんて聞きやしない!!お伺い立てるようなフリして実際私の意思はガン無視!!」


 姉から遠く離れた位置から恨み節を炸裂させる。そんな私の体からは風船が3つ繋がってぷかぷか浮かんでた。


「ごめんて。あとで私の家でAV観よ?」

「そんなんで誤魔化されるかぁ!!」


 キレまくる私の前で姉さんがいきなりひまちゃんを放った。心の準備すらさせてくれない。


「ケーーーーッ」


 一度高く上に飛び上がったひまちゃんの声が降ってくる。眼下の私を見下ろしてロックオン。私の頭上で旋回しながらゆっくり高度を下げてきた。


 逃げる。マジで逃げる。


 これはひまちゃんの低空飛行訓練。私の頭上を通り過ぎ様に3つの風船を割っていくという姉さんオリジナルの訓練。

 でも大体頭突っつかれる。


「ほらほら、逃げて真紀奈」

「くそ……、妹をハヤブサの餌にするなんて……外道だ…人のしていいことじゃない!!」


 逃げるって言ってもそんなに広くない河原だし、ぐるぐる走り回るしかない。そんなんで遮蔽物もない河原でひまちゃんのロックオンを外すことは不可能……


 --パァンッ!!


 頭上を影が通り過ぎると同時に風船の破裂した音がした。ものすごい恐怖。背筋に寒気が……


 風船がひとつ割れるのと同時に笛が鳴り、ひまちゃんが姉さんの方に戻っていく。


「よしよし、もっかいね」


 風船を仕留めたひまちゃんを褒めてまた解き放つ。

 今度は真っ直ぐ上に向かって行って直ぐに急下降してきた。一直線に私に襲いかかってくる。


「うわぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 --バァンッ!!


「よーしいいよ、そのまま最後の1個もいこ!!」


 くそっ!今確実に目玉狙ってた!!こいつ私のタマ取りに来てる!!

 負けないで日比谷真紀奈。このマンハントを生き残るのよ!クリスマスに目玉突っつかれてたまるか!

 おい鳥公!この日比谷真紀奈、やられっぱなしって訳にはいかないからね!!


「ケーーケーーケーー」


 おちょくるように頭上へゆっくり向かってきながら鳴き私を追い詰めていく。何度も私の頭の上を行ったり来たりしながら狙いを定めてい。

 そして私の頭くらいの高度に降りてきた時、ひまちゃんが弾丸のように一直線に飛んできて私に襲いかかる!!


「わーーーーーっ!!」


 合わせて全力ダッシュ。距離を保っていた位置から一気に距離を詰める。


「え!?」


 姉さんの方に。


「かかったな!!鳥公とキスでもしてなさい!!熱いやつをね!!」

「ちょいちょい!!」


 姉さんと入れ替わるように後ろに隠れる。狙いを見失ったひまちゃんは真っ直ぐ私の前に立つ姉さんへと--


 姉さんの口に咥えられた笛が高く短く鳴った。

 ひまちゃんはそれを聴き突然空中で体を起こし大きく羽を広げる。私達の前で見事な羽を激しく羽ばたかせて見せるひまちゃんは一気に減速してそのまま姉さんの手にとまった。


 あれー?えー?

 予想では姉さんと激しくぶつかるはず……


「ケーーーーーーーーーッ!!ケーーーーーーーーーーーーーーッ!!」


 姉さんの腕の上で激しく翼をバサバサするひまちゃんが後ろの私に威嚇する。相当ご立腹。

 ああやばいわこれって思った時にはもう遅かった。


 逃げる為に踵を返した私の後頭部傍で風船が一瞬でやられ、風船という脆弱な盾を失った私の頭にコスコスコスコスコスコスと規則的に尖った嘴が打ち付けられる。


「いいいいいいいたたたたたたたたたいいいいいいいい」


 コスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコス


「いいいいいいいいいいいやややややあああああああああああああああ」

「あははははっ!真紀奈っ…頭が……揺れてる……ははははははははははっ!あははははははっ!!」

「ケーーーーーーーーーッ!!」


 コスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコス


 *******************


 姉さんは実家を出て一人暮らししてる。

 と言っても私の居る実家から徒歩五分くらいのとこ。昔からの知り合いのおじさんが家を空けるというので、そこに住まわせてもらっている。もう2年くらい。

 主な理由はやっぱりひまちゃん。昔は実家の庭で飼ってたけど、大きくなって手狭になってきたから。


 姉さんの家の庭には大きな鳥小屋があって、ひまちゃんはそこで悠々自適に暮らしてる。


『あぁんっ!イイっ!!』『奥さん…ここですか?ここがいいんですね?』『あああああっ!!』『奥さん……』『はぁ。はぁ…すごい……』『奥さん!!』


 鷹匠というのは儲かるのか、古い借家の中には高そうな大型テレビとか家具とかいっぱいある。

 それにしても自室でこっそり観賞するのがアダルトビデオの醍醐味だけど、リビングで堂々と観賞するのも乙なものだ。

 私と姉さんは映画感覚でアダルトビデオを観賞する。


「今日クリスマスだからうちご馳走だよ?姉さん来ないの?」

「後でねー」

「……ねぇ、ひまちゃんは私の何が気に入らないの?」

「あはは、ごめんごめん。あれも愛情表現だよきっと」

「いや違う。頭蓋骨割られるとこだった。あれは中の脳みそ狙ってた」

「真紀奈、昔はひまに興味津々だったじゃん。たまには2人を遊ばせてやるかーって思ってね……」

「いいよ……命には替えられない」

「大袈裟。あ、あとね、私引っ越すから」


 サラッと姉さんが何か言った。画面ではイイとこだけど思わず振り向いた。


「え…?どこに?この家出るの?」

「うん。彼氏と同棲するの」

「かかかかかかかかかか、彼氏と同棲!?」

「そ。来年の4月くらいかなー……真紀奈には先に伝えておきたくて…結婚、考えてるんだ……」

「けけけけけけけけけ結婚!!!?」

「…いちいちそんなに驚かないでよ」

「つつつつ、つまり!?ヤるの!?姉さんが何処の馬の骨とも知れない男に処女膜破られるの!?」

「発想が卑猥…真紀奈の頭が真っピンクなのは私のせいかもね……」

「なんで!?どーして!?姉さんまだ23でしょ?結婚とか早くない!?」

「将来的な話ね!?焦るな焦る」

「でも一緒に住むんでしょ!?は?ヤるんでしょ!?」

「………………真紀奈、男女の恋愛はそれだけじゃないよ。そういう真紀奈などーなの?処女捧げる相手居ないの?」

「ぶふっ!?」

「うわっ!ジュース吹かないで!もう……汚いなぁ……」


 おしぼりで床を拭く姉さんが急に遠い存在に感じる。今まで私の隣にいつも居た姉さんが……

 でも……姉さん本気なんだ……

 だから今日ひまちゃんに会わせたんだ、最後かもしれないから……


「どーなの?恋愛相談してあげるよ。言うてみ?あ、もしかしてまだ私は世界のアイドル〜的なこと言ってる?真紀奈、あんたは可愛いけど自分で思ってるほどは可愛くないから…痛たたたたたたたっ!?やめてやめて!!結婚前に禿げる!!」

「私は世界一可愛いの!!私に勝てない僻みはやめて!!髪の毛引きちぎる!!」

「ごめんごめんごめん!!」

「……相手、何してる人?」

「え……?相手って彼氏?不動産屋の息子で、いずれはお父さんの仕事を継ぐの」


 …………ふぅん。


「合格?」

「知らないよ」

「よし!今度は真紀奈の相手を私が相応しいかどうか決めてあげる」

「いや……」

「照れるな照れる、さっきのテンプレートな反応、居るんでしょ?処女捧げたい相手が」

「言い方」

「それに最近の真紀奈見てたら直ぐに分かるって」


 姉さんの手が私の頬を撫でる。慈しむように、花を優しく包むように、姉さんは私に触る時壊れないように大事に扱うようにいつも触れる。

 滲み出る妹への愛情をその度に感じるんだ……


『イクぅぅぅぅぅぅーっ!!』


 *******************


「そっか……同じクラスの……」

「うん」

『奥さん……第2ラウンドです』『嘘でしょ!?バッキバキ……』


 ……なんでアダルトビデオ観ながら姉に恋愛相談?

 姉さんは何が楽しいのかニヤニヤ顔を綻ばせながら真剣に聞いて…聞いてるのか?


「そんなに話したこともないんだぁ…関係性に焦って、文化祭でアタックしてみたけど、ダメだったか」

「ねぇ、アタックって言うほどのものじゃないし、ダメだったとかやめてよ。フラれたみたいじゃん」

「てか、家も連絡先も知らんて……知ってるの名前くらい?前途多難だなぁ」

「…………」

『あんっ!!』『奥さん……アワビがぷりぷりですよ!!』

「その子のどこが好きなの?」


 ……っ!?ど、どこ……?

 改めて訊かれたら……そもそも彼のことよく知らない訳だし。どこって……

 ?私は何故空閑君を好きになったの?いや、球技大会で私を守ってくれたから……

 あとは……顔とか……?

 まぁ顔は平均値。見た目的要因はそれほど……


「私は恋に恋してるのだろうか…?」

「あはは。そーいう時もあるよね。恋愛したいもんね。真紀奈は色々拗らせ過ぎ--」

「いや違う!!彼に殴られると興奮するから!!」

「は?」

「今日ひまちゃんにいじめられてもなんにもクるもの無かったし……やっぱり私のマゾ心を沸き立たせてエクスタシーに導けるのは空閑君だけなんだよ!!」

『ああっ……ああっ!!』『さぁ奥さん……』

「……な、殴られた?」

「お尻を」

「おしり……」

『イくぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!』


 そうだよね?本当の私を見つけてくれたのは彼だから。それ以上の理由なんて要らないんだ。

 初めは抱いた淡い想いに浮かれただけかもしれない……でも私はもう彼のあの張り手の痛みを忘れられない身体になったんだよね…?


「……真紀奈。色恋と無縁すぎてまずい拗らせ方を……」

「姉さん、そういうことだよ。姉さんの相手はさ、本当の姉さんを見つけてくれる人?」

「え?……あー…どうだろ……」

「運命の人ってそういう人だと思うよ」

「マゾ心を満たしてくれる人だと……」

「私は世界中みんなのものだから…彼氏無し、処女っていうのがこの日比谷真紀奈にとってどれだけ重要か……新品未使用。むしろ私みたいな世界中から愛でられる存在には絶対必要なものだし、守るのが義務とすら言える」

「始まった……」

「それを投げ捨ててでも成し遂げたい…そんな恋。姉さん!他人事みたいに聞いてるけど姉さんだって、世界中に可憐さを振りまく使命を与えられた存在だからね?その役目を放棄するってことは生半可な覚悟じゃダメなわけよ!聞いてる?」

「……ああ、うん」

「与えられた使命より私にとって大事な恋なの…これは、運命の人だもの。私は世界の掟に背いてでもこの恋路を走るよ…姉さん」

「………………」

『はぁ……はぁ……』『まだですよ奥さん。僕のしめじはまだ硬いままです!!』『ああっ!?』『奥さん!!』


 そう……私は成し遂げる!


「その為には私の方から歩み寄って、いいんだよ告ってきてもってことをアピールしなきゃだね……」

「……?告ってきてもって……その子は真紀奈のこと好きなの?」

「?私の事嫌いな人なんて居るの?」


 姉さん、何そのリアクション。なにその「ダメだこいつ」みたいなリアクション。天井仰いで何があるの?


「あ、母さんからメッセージ……ご飯できるから来いってさ。行こ?姉さん」

「……うん」


 私と姉さんは連れ立って家を出る。少し先に我が家の窓から明かりがこぼれてる。雪は止んで静かな夜が降りてきた。


「ふふーん♪チキン2個食べよ♪姉さん、同棲の話父さん達にもうしたの?」

「いや」

「そっか、了承貰えるといいね。私は……寂しいけど、姉さんが決めたことなら応援するから」

「……真紀奈」


 不意打ちでかけた優しい声に姉さんの声が微かに震えた。こんな美少女からこんなこと言われたら誰だって墜ちるよね?たとえ姉妹でも発情不可避。


「幸せになってね?」


 とびきりのスマイルをサービス。私の1番の笑顔よ姉さん。発情しろ。


「……真紀奈」

「ん?」

「……あなたの中身が残念じゃなかったら、ここで抱きしめて襲ってたよ」

「!?」

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