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カオス

「……どうやら深層階層魔宮聖殿への入口が開いたようじゃ……」


 愛豹、バチルダの散歩中に荒れる天候と響く地鳴りにリズム取ってたら隣のジジイが梅干しみたいな顔してなんか言ってた。

 どーじに私、田畑レンのきゅーかくがビビビッて来たんだわ。うん。


「……これは、新しいペットの匂い…っ!!」

「おぞましい……この世の終わりじゃ…」

「おいジジイ。いやジジイさん、これは一体何事っちゃぶる?」

「深層階層魔宮聖殿の扉が開き、現世と魔宮聖殿が繋がったんじゃ……恐らく、ムッチャラキコキコを何者かがここまで連れてきたのじゃろう……あの精霊こそ、魔宮聖殿と現世の道を繋ぐもの……そして同時にムッチャラキコキコを従えし者こそが災厄の獣を討つ定めの者でもあるのじゃ……」

「1ミクロンも理解出来ん」


『--アアアアアアアアアアアアッ!!!!』


 荒れる空の下で何かが荒ぶってやがる。ニワトリかな?

 ニワトリか……いいな。丁度ウチの全部食っちまったし。ニワトリ欲しい!!


「おぉ……やつが……降臨したか…おぞましい……くわばらくわばら……」

「くわばらさんよ。アレはニワトリでしょ?しょ?しょしょしょ。ニワトリってマンションで飼ったら近所めーわくかな?」

「ニワトリ……?愚かな…あの叫び声がニワトリに聞こえるか……あれこそが万象の頂点、最凶の魔物『エイリーンの母』じゃ…」

「なんじゃらほい?」

「深層階層魔宮聖殿から現れる、聖殿の主……この世の全てを食み呑み込む災厄じゃ……まさかこの街に現れるとは……」

「名前ダサくね?アンチョビにするわ」


 知ってる?ニワトリが朝鳴くのはオスのナワバリの主張なんだってよ。


「とにかくあのニワトリは私のペットにするわ。くわばらさんあんがと。雨が降りそうだからはよ帰りなよ。いくぞバチルダ!!」

「ガルル……」

「ばっ……馬鹿なっ!!7つの世界を呑み込んだ大災厄じゃぞ!?それをペットにするじゃと!?不可能じゃ!!『エイリーンの母』に勝てる存在など居らぬ!!この街はお終いじゃ!!お主早く逃げ--」


「--逃げる必要はないです。くわばらさん」


 何奴!?


「……わ、わしは竹林じゃ……お主…何者じゃ?ただならぬパワーを感じるわ……」


 嘘つけ。枯れ枝みたいな男だぞ?頭にワカメ乗ってるし……

 もしかして頭の上でワカメを繁殖させる完全自給自足生命体『ワカメーン』か?


「……俺は彼岸三途」


 違うんかい。かいかい。


「……何が起きてるかは分からないが、このままでは街が大変なことになる。それは分かる」

「世界の危機じゃ……」

「町内会治安維持係『ブルーソード』の一員として、俺が責任を持って対処する。『エイリーンの母』は俺が討つ……」

「なんじゃと!?馬鹿な!!命はないぞ!?」


 ひがんさんず……?どっかで聞いたことあるようなないような名前だぜ。

 そして何故だろう。パパが偉い私がこの2本の刀を差した不審者に並々ならぬ恐怖を抱くのは……


 …………分かった。中一の時喉にワカメ詰まらせたあのトラウマのせいだ。


「……パワーを感じる。あっちだな」

「よさぬか!!若者よ!!『エイリーンの母』は万象の長!!何者も勝てぬのじゃっ!!」


 必死に止めようとするくわばら小林にワカメーンはちらっとカッコつけながら振り返る。そして言うのだ、狩人が。


「…………俺は己の自己満足でこの街に大きな迷惑をかけてきた……償いたい。俺はこの街の為なら、命だってかけてみせる」

「おぬし……」


 おしし……


「『エイリーンの母』は俺が仕留める」


 *******************


『--オァァァァァァァァァァァァッ!!!!』


 海峡公園で謎の巨人がスパークしてた。

 ニワトリかと思ったけど全然ニワトリじゃない。あの……白いシスターの服着た8本腕の骸骨の上半身がふわふわ浮きながら叫んでた。

 あとでかい。


 まぁでもニワトリと色一緒だからニワトリでいいか……



「……君は?」


 荒れる海、落雷降り注ぐ空、揺れる地面。そして雄々しく立つワカメーン…

 ワカメーンが隣に立つ私とバチルダに「何してんだてめー」みたいな顔した。おい、私のパパは内閣総理大臣だぞ?控えろ。


「私レンちゃん。君あのニワトリやっつけるんでしょ?」

「……ニワトリ…?」

「あれ私飼うから殺さないで」

「…………か、飼う?」


『オォァァァァァァァァァァッ!!!!』


「…………どこで?」

「私んち」

「……家に入るのかあれ」


 ……ふーん、鋭いじゃん。脳みそはワカメではなく、ウニ…か……


「ウニってさ、トゲトゲの中にある状態だと脳みそっぽくね?キモくね?」

「……?え?」

「この商売人めぇ!いくらだ!?いくらで売るんだいっ!!」

「か、会話が通じない……」


 おいおいワカメーン。お前この街守んだろ?だったら見る相手がちげーよ。

 私に熱い視線を送ってるワカメーンに『エイリーンの母』がターゲットロックオン!


 カルシウムの塊(指)を天に向けてから真下へ振り下ろした。めっちゃかっけぇ。しかし、その動作だけで少年のような興奮を覚えた私はその後さらなる追い討ちを食らうことになる。

 なんと指の動きに合わせて空から雷がゴロゴロドシャーンしやがった!


「ぎゃああああああっ!!」

「--ちっ!!」


 一瞬で黒焦げになるあ・た・し☆

 一瞬で燃え尽きたバ・チ・ル・ダ☆

 何故か無傷のワ・カ・メー・ン☆


「君は離れてろっ!!ここは危険だっ!!」

「やべぇぞ……あれがあれば卵焼き一瞬だぜ…?」

「馬鹿な!!超火力で一瞬で消し飛ぶぞ!!」


 IHってのは電気で卵焼くんだろ?だったら雷でもよくね?

 え?IHって火がボッて出ないから電気だろ?


 そしてワカメーンは跳ぶ!!

 雷鳴轟く空へ舞うワカメーンが2振りの刀を抜いたぁっ!!

 ツッコミも刀もキレッキレのワカメーン真剣。骨密度高めの骸骨の腕の1本を容赦なく切り飛ばした。


『オァァァァァァァァァァァァッ!!』


 痛そうだ。


「あの骨密度を切断するとは……あの男出来る……なぁ?バチルダ」


 プスプス……


「マッ……マチルダァァ!?」


 まちるだがしんでしまった。


「おっ!おのれっ!!お前はペットにしても1日3食だっ!!」


 私がこんなに怒り狂ってるってのに全く無視。『エイリーンの母』とワカメーンがピュンピュン飛び回りながらバチバチやってた。


「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

『アアァァァァァァッ!!!!』


『エイリーンの母』口から「はかいこうせん」ワカメーンにダイレクトアタック。

 衝撃の余波が私にダイレクトアタック。


 ワカメーン、「けんをもやす」。火を纏う剣で斬りかかった。『エイリーンの母』へダイレクトアタック。


『エイリーンの母』の「つめでひっかき」ワカメーンへアタック。ワカメーン刀で防いだ。

 斬撃が飛んできて私にダイレクトアタック。

 さらに『エイリーンの母』の追加攻撃。「うみをもちあげる」でワカメーンへ海水を浮かせて叩きつける。

 ワカメーンにダイレクトアタック。


「うわぁぁあ!!」


 ワカメーン、海水の爆弾に地面まで叩き落とされる。海峡公園を呑み込む海水が私にもダイレクトアタック。


「くそっ!!」


 ワカメーン「とぶざんげき(ほのおぞくせい)」『エイリーンの母』へダイレクトアタック。凄まじい二筋の斬撃が飛んでって『エイリーンの母』の後方まで激しく斬り裂いた。

 周辺の街へダイレクトアタック。


『--キィェェェェァァァァァアッ!!!!』


『エイリーンの母』の「ほえる」。ワカメーン1ターン行動不能。


「--かぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 ワカメーン「きあい」。行動不能を解除。

『エイリーンの母』の「やつあたり」。7本腕で地面を無茶苦茶に殴りつける。ワカメーン避ける。私にダイレクトアタック。


 もうボロボロだ……


「やべぇ……死んじゃうぽよ……」


「おぉぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

『キェェェァァァァァァァァァァァッ!!』


 超絶死闘が繰り広げれられる……無茶苦茶に飛び交う斬撃。天候や不可視の攻撃を倍以上の手数で返す『エイリーンの母』。

 巻き添えで地面をバウンドする私。


 天が割れ、地が砕け、海が爆ぜる--


 なんだこれ。地獄か?



「--一体何事かしらね……」


 もはや瓦礫の山と化した戦場にそのぽややんってしやがった声がとろーり溶けだした。


 んだてめーはと思って振り返るとなんか謎の女性トレーナーが立ってた。


『ミャーーッ!!』


 横に買い物袋引きずったポケモンみたいな毛むくじゃら居るから間違いないだろ。ジムリーダーだ。


「……なぁに?あの空飛んでるの…」

『ミャーーーッ!!』

「バッチよこせてめー」

「……この子息子のペットなんだけど…お利口さんでしょ?買い物の手伝いもできるのよ?これ?ムッチャラキコキコ」

『ミャーーーッ!!』


 ムッチャラキコキコ…?どこかで聞いたことがあるような気がするぜ…たしか……エスパータイプだよな?


「--くばぁぁっ!!」

「クバラ焼き肉のタレ♪」


 なんかワカメーンが落ちてきた。血まみれである。おそらくもうライフポイントはゼロだ。


「……はぁ……はぁ……つ、強い……こんな怪物が……九尾の狐以外に居るのか……」

「おいおいしっかりしてよワカメーン、アイツ私のペットにするんだからよ……」

「……あら?」


 地に落ちたエンジェルもといワカメーンを追って『エイリーンの母』が「とっこう」を仕掛けてきた。

 多分ヤスリかなんかかけてあるやたら尖った指先をなんか小学生がやりそうな形に構えて引っ掻こうとしてくる。


 ぜったいぜつめいだ。


「なぁにこの子……」


 ……しかし。


『エイリーンの母』がピタリと止まった。突然動きを止めた『エイリーンさんのお母さん』のその目は(ついてないけど)突然現れたジムリーダーを見ていた。


『……それは……ムッチャラキコキコ……貴様……伝説の勇者か?』


 ……え!?喋った!?『エイリーンの母』喋った!?


「……?」

「なっ……まさかくわばらじいさんの言っていた……っ!!」

「誰やねんくわばらじいさん」


 ジムリーダーではなく勇者だと?

 た、確かに言われてみればこの状況でこの余裕……まるで己の力を過信した主人公を待ち構えるジムリーダーかのような……


『エイリーンの母』ビビってる……そりゃそうだ。手持ちポ○モンゼロでジムリーダー戦に来てしまったのだから……


 しかしそこは主人公……


『いいだろうっ!!貴様の首を刈り取って、妾こそ真の超越者だということを証明--』

「玉ねぎスラッシュ!!」


 ジムリーダー「たまねぎすらっしゅ」買い物袋から取り出した玉ねぎを手刀でスライスしながら飛ばし『エイリーンの母』にダイレクトアタック。


『ぎゃあああああああああああああっ!!』


『エイリーンの母』叫ぶ。共鳴するように天が震え、真下の海が大きく渦巻く。パイレーツ・○ブ・カリビアンのワール○エンドの最終決戦の時みたいだ……


 大渦の底から光が伸びて『エイリーンの母』を照らす。その光は『エイリーンの母』を呑み込んでそのまま海中に引きずり込んでいく……


『おのれ……おのれぇぇぇぇっ!!』

「ば、馬鹿な……っ!俺の剣で倒せなかった奴が玉ねぎでっ!?」

「ちょぉぉいっ!?私のペットになるんじゃないのかよぉ!!」


 --各々心の叫びをぶつける中、『エイリーンの母』はゆっくりと海の底に沈んでいきましたとさ。



「うぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!待ってくれっ!!玉ねぎなんかに負けないでくれ……俺は……俺はぁぁぁぁっ!!!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!お前の超火力で炒飯作ってくれよぉぉぉぉっ!!もう風香のべちゃべちゃ炒飯は嫌なんだよぉぉぉぉっ!!」

「あら!?玉ねぎが……特売の玉ねぎが……」


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」

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