トイレ溢れちゃった
『二学期が終わっちゃう…』
「せやなあ……」
--この学校の3階女子トイレの1番奥の個室…そこにはかつてこの高校で死んだ女子生徒の亡霊が住み着き今も出没するんだとか……
それが私、花子。
そして今至高の肛門をご開帳していらっしゃるのが私の友達、楠畑香菜。「脱糞女」の称号を持っている世界でただひとりのお人。
彼女の持つ究極と呼んで差し支えない肛門は私の誇りですらある。
私は美少女の肛門と排泄物が好き。主食。
それを全身全霊で楽しもうとして便器に潜り込んだら死んだ。
でも後悔はしてない。
脱糞女に日比谷真紀奈、浅野姉妹、妻百合花蓮、速水莉央……我が校屈指の美少女達の糞尿を心置き無く浴びれるこの日々は私にとって生きていては味わえない至福の刻…
なんだけど……
「3年なったら三学期は自由登校らしいねん……せやから実質学校来んのもあと何日やねんって話やからなぁ……」
『……そうね、今のうちに沢山糞してって』
「ホンマはここで糞すんの嫌やねん、アンタ居るけ……」
『酷い……私には糞尿しかないのに?餓死しろっての?』
「もう死んどるやんけ……」
--学校のトイレ。たくさんの美少女達がやって来る。毎年毎年新しいフレッシュな美少女達が新しい肛門を連れてここに来る。
まだ見ぬ肛門とウ○コに想いを馳せるのは幸せではあるんだけど……
……当然、やって来る子達がいるなら居なくなる子達もいるわけで……
『……香菜、無事に卒業できそう?』
「任せときや」
『ほんとかなー?来年もここでウ○コしてたりしてー!』
「なわけあるか」
*******************
--今まで寂しいなんて思ったことは無かった。
だって、卒業していく子もいるけどすぐにまた新しい肛門がやって来るんだもの……
「凪ー、さっさと済ませてよー」
「はいはい、日比谷さんは鏡とでも会話してて……よいしょ……」
ほらこんなふうに…トイレへの来訪者は途切れることなく、今日もまた入れ替わり立ち代り、芳醇な香りを漂わせた肛門がやって来る……
でも……
香菜はもうすぐ居なくなるんだな……
「鏡よ鏡よ……鏡さん。世界で1番美しいのは日比谷真紀奈ですか?まぁ……そりゃそうか……はぁ。なんか虚しい…凪ー、トイレまだー?」
「日比谷さんが癇に障るから出ない」
友達なんて、できたことなかった。
このトイレで死んでから、ずっと独りだった。誰も私に気づく人は居なくて、私の顔面に糞を垂れていくだけ…
それだけで幸せだったはずなのに。
「……?なんか毎回ここでトイレする度に見られてる気がするんだけど……気のせい?」
「え?また盗撮されてるんじゃない?……まぁ、凪のトイレシーンなんて別に…」
「ねぇ日比谷さん。今日の日比谷さんはいつもより顔が微妙だね。寝不足?」
「うわぁぁぁぁぁぁっ!?どどどどどどこが!?どこら辺がっ!?凪ぃぃぃぃっ!?!?」
ここでお喋りしたり、たまに肛門に取り憑いてお出かけしたり…
誰かが私に会いにここに来るなんてこと、今までなかったからさ……
……もう香菜に会えなくなるのは、嫌だなぁ…………
便器の中の水に顔を沈めていけば頬を濡らしていく感触を誤魔化せる気がする……
でも目の奥の熱さは消えない。
ああもう……さっきまで香菜とおしゃべりしてたせいでいつもより意識しちゃって……
「……うーん、便秘気味……」
「やーいやーい。妖怪お便秘怪獣ウ○コマン!」
「…………日比谷さん、さっき小比類巻君と喋る時顔に鼻くそ付いてたよ?」
ぐすんっ!
……九尾の狐との戦いの時一時的に肉体を得たけど、あの時は霊体が恋しかった。
でも今は逆……
霊体の呪縛霊のままじゃここからずっとは離れてられないもの……
うう……
香菜とお別れしたくない……その強い気持ちが溢れ出す。
溢れ出した想いは水にトイレの溶けて増幅してって……
「……?…!?うわぁっ!?なんか水がっ!!日比谷さん水が溢れてきてるっ!?」
「うわっ!!汚っ!!」
悲しみによる不安定な精神が霊体を不安定化させ、トイレのお水に私が溶けていく……
あぁ……
私にもあなた達みたいな身体があれば……
--ザバァァァァァァァァァァッ
「うわぁぁぁぁぁっ!?」
「ぎゃああああっ!?床がっ!?凪アンタどんだけ糞出してるの!?えぇ!?」
「まだ一欠片も出てないんだけど……これな--っ!?」
--ドクンッ!!
……自他の境界が曖昧になった世界で私の形は瓦解し、どこかに取り込まれた……
ぼんやりと溶けた世界がハッキリ像を結んだ時、私の世界は全く違うものを映している。
そして……
『…わ、私は……阿部凪……』
「え?……私も阿部凪だけど……?」
『……?』
「……?」
「ひぇぇぇ……汚いよぉぉ……この上履き捨てよ……」
「『私が阿部凪です』」
「……え?何言ってんの?」
*******************
--曖昧になった私の精神のカタチ、とでも言うべきものか……
それが再び固まった時、おかしなことになっていた。
私の中に明確に“別の誰か”が居るの。
いや、正確には私と別の誰かが隣り合わせに引っ付いている。ふたつの魂がパピコになってる。
--そして私は3階女子トイレの最奥の個室から出ていた。
それは誰かの肛門に憑依してる訳では無い……そう。
『これは……生身の身体?まさか私……私の身体を手に入れたの!?』
「いやいや、これ私の身体だから。というか、誰ですかあなた」
「えぇ……凪、さっきからなに1人で喋ってるの?」
なんてこった。
私トイレの花子さん……阿部凪なる人物の肉体に完全に憑依してしまった……
「……日比谷さん、なんか私…………変だ」
『こんにちは、日比谷真紀奈。あなたの肛門、素敵ね』
「……!」
「なんか…私の中に私じゃない誰かが居る!!」
『凄い……これが本物の肉体…!これがJKの肉体!!日比谷真紀奈、今すぐケツを出して!!』
「……っ!」
--ちょっと、あなた誰ですか?
……ん?なんか私の中で……ん?私の?中?じゃないか……阿部凪の中で私に話しかける声がする。
--あなたは?阿部凪の精神?
--一体どこから入ってきたんですか?どうやって?私をどうするつもりですか?
--分からない……感情的になってた時あなたがトイレに入ってきたら…吸い込まれるように……
--トイレ?
--私花子。トイレの花子さん。
--…え?あの噂ホントだったんですか?
--うん。
--え?じゃあ私、トイレの花子さんに取り憑かれてるんですか?
--そうなるね。
--…ごめんなさい今すぐ出てってもらっていいですか?
--いや、どうやって出てったらいいのやら……
--……
--……
「……凪?どした?本当におかしくなった?え?保健室行く?」
「……日比谷さん」
『肛門貸して』
「ねぇ!!さっきから私のおケツへの執着凄いね!?」
「お願い黙って?」
『おケツ……』
「…………な、凪…」
「日比谷さん私…」
『肛門…舐めたい……直絞り……』
「じ、直絞り!?」
「違うんだ日比谷さん」
「り…莉子せんせーーっ!!凪が直絞りとか言ってるーーーっ!!」
--友との別れを惜しんだ私の精神が肉体を欲した結果、波長の合ったあなたの身体に乗り移っちゃったみたいなの。
--つまり…生き返りたいんですか?
--どうなんだろ…分からないけど……
「……つまりそう言う事らしいんだ日比谷さん」
「日比谷さんじゃないんよ。なに?乗り移られたの?」
--こういう時は霊の気持ちを知るのが1番と考えた少女凪は私との対話を終えて親友だという日比谷真紀奈に説明した。
多分だけど、こうも惹き付けられるように精神が定着したり、霊への対話に抵抗がなかったり、この子は霊感がとてつもなく強いんだと思う。
『強力な霊感を持ってるが故に私が凪の自我を塗りつぶすことなくこうして共生出来てるってことね…』
「共生したくないんですけど……」
「なに?つまり凪はトイレの花子さんの器になったの?トイレの花子さんが受肉したってことでいいの?」
中庭で何が起きているのかを生理……間違えた整理する私達を通り過ぎていく生徒達が奇怪な目で見る。それもそのはず、1人の少女の口から異なる声音で交互に喋ってるんだから…
「……事情は分かりました…お友達とお別れするのは悲しいかもしれませんが私の体に居座られるのはちょっと……」
「凪、トイレの花子さんって強い?特級?」
『そう言われても私自身望んでやったことじゃないからさぁ……』
「ずっとトイレに居た人が体の中に居るって凄い嫌です……早く出てってもらえます?」
『そう言われてもなぁ……私自身、人の肛門を依代に便器から離れることは出来ても人の身体に移り住むのなんて初めてだし…』
「じゃあさ、あの3階女子トイレの個室は特級呪物ってこと?」
日比谷真紀奈、さっきからうるさい。
「……トイレの花子さん」
『花子でいいよ』
「あくまで仮説ですが…恐らく呪縛霊だったあなたの憑依の経緯を考えると呪縛霊ってその場所への未練とかで繋ぎ止められるものなんじゃないですか?つまり卒業してトイレに来なくなるお友達とのお別れを惜しみ、肉体を望んだ--身体というものに未練を抱いた時にたまたま私が居て……」
『つまりトイレの呪縛霊から阿部凪の呪縛霊になった?』
「呪縛霊というか……まぁ……」
「すごいじゃん凪、呪霊使いじゃん。乙骨君じゃん」
「いや…日比谷さんはさっきから気楽でいいよねホント。私、幽霊に取り憑かれたんだよ?」
「私、まだ凪の1人芝居だと思ってる」
「え?日比谷さんが幽霊のストーカーに取り憑かれた時協力してあげたのに……」
「それ、凪のおじいちゃんおばあちゃんの幽霊旅館のせいだから……」
……待って?
だったらさ、私香菜とお別れしなくていい?だってこうしてトイレから離れられた訳だし!?
「ダメです」
『……一緒に暮らそ?』
「嫌です」
主食はウ○チとオシ○コだから自給自足で食費はタダよ?
「主食がウ○チとオシ○コってそれ私の体で摂取するつもりですか!?」
「凪!スカトロプレイなら私に任せて!!ビデオ貸すから、勉強しな!!」
「しない!断固出てってもらいます!!」
『でも元はと言えばあなたの身体から出てくるものだし……』
「あなたは自分の糞尿を食べるんですか?えぇ!?」
『……え?うん』
「えぇ……」
「凪、トイレの呪縛霊だから。てか、今まであそこで用を足してた全女子生徒この人に監視されてたってこと……?」
女子だけじゃないよ?
「なんか……やだな。トイレシーンの覗き見という興奮シチュとそういうのは好きな人にしてもらいたいっていう現実と……」
『日比谷真紀奈、あなたの肛門は最高の一品だよ』
「ねぇ待って?女子だけじゃないってのは?」
とにかくですね?私自身にどうしようもないものはどうしようもないので。
しかし日比谷真紀奈の親友とはまた優良物件に住みつけたものですな。日比谷真紀奈の肛門、あれは良かった……
「日比谷さん!?私の中でなんか言ってるけどこの人!!この人に肛門貸したの!?」
「ばっ……!!私そんな尻軽じゃないもん!!」
『ヌルヌルで温かかった……』
「適当こいてんじゃないよ!!」
「……こうなったら成仏してもらうしかないですね……」
な、なんてこと言うのこの子はっ!?冗談じゃないっ!!未練があるから呪縛霊やらせてもらってんですけど!?
「そんなこと言われても……」
『いいじゃんケチ!!私はもうこの身体でやってく決心してんだけど!?』
「嫌ですよ!!家賃取るぞ!!」
『いくらよ!!』
「……ねぇねぇトイレの花子さん。あなたの未練がそのお友達ならお友達の身体に乗り移ればそれが1番なのでは?」
……っ!!日比谷真紀奈。あなた……
『……なんて素晴らしいアイディア。確かに乗り移るならあの子の肛門に……そうよ。今までは一時的だったけどこれ程安定して定着できるなら香菜の肛門が1番に決まってる!!』
「……そんなホイホイ乗り移れるものですかね?」
「この汚物を身体に入れとくよりは試した方が良くない?それとも凪はこの汚物と共存するの?」
汚物!?
「そのカナさんってうちの生徒ですか?」
『うん、多分みんな知ってる有名人だよ。楠畑香菜--脱糞女って言ったら分かるかな?』




