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ウ〇コはいつまでもイジられる

「では文化祭のクラス展示はバチカン半島のチョチェクの披露になりました」


 ……あかんなぁ。腹痛いわ……


 今は文化祭の出し物決める時間なんやけど…今ウチモーレツに腹痛いねん……

 あかんなぁ……買い置きしとった卵……あれがあかんかったんかなぁ……?


 どーしようかなぁ。トイレ行こかな……

 でもみんなの前でトイレ行きたいとか恥ずかしくて言えへんしなぁ……ウチ、小学校の頃のあだ名が『楠畑うん子』やねん……

 ……いや、落ち着け。

 そうやって躊躇って何度失敗した?繰り返すんか?ウチは成長したんや……


 人は成長する生き物や。

 経験から学び、一世代で大きく成長することができる……それが人やろ?

 そしてそれを次の世代へ--

 ウ〇コは我慢せんでもええんやで?ってみんなに教えてやるのもウチの使命やろ?


「では今から体育館で練習--」

「あー…ちょっとお手洗い行ってええ?」


 ………………………………沈黙。


 え?

 まさか裏切らんやろ?おどれらもう高校生やで?15、16にもなって「うわぁ!あいつウ〇コ行くんやってぇ!!」とか言わへん--


「おー、委員長、うん子がウ〇コだって」「ははははははっ!」「遠足の時みたいに漏らすなよー」「急がないと間に合わねーぞ?」


 …………………………………………


 *******************


 ウチは今日一つ大事なことを学んだ。

 それは神なんて居ないっちゅうこっちゃ……

 一体いつまでウ〇コネタでいじられるんやろウチ……ウチの高校生活は終わってしもたんやろか……


「あーーーーっ!!あいつら殺すっ!!」


 女子トイレの角の個室--人の気配のないトイレでウチは叫ぶ。世界の理不尽を……


 さっきウチを笑った連中はウ〇コせんのやな?そういうことやろ?なぁ?今度弁当に下剤盛って確かめたるわ!!


「くっそ…また下剤盛らなあかんやつ増えたわ……てかそもそも、こうなったんも全部あのウ〇コ野郎のせいやんけ……そうや全てあの銀行で始まったんや……うっ…痛……」


 --ブリブリブリブリっ!!


 ……快便やな。


 ケツを拭きながら思う…

 やっぱりウチの高校生活はあの空閑睦月と決着つけな始まらへん……そう、あいつにも糞を垂れ流させなあかんのや……そうやろ?


 ジャー


「あーあ……便所に関わるとええことないわホンマ……みんな体育館やったな。ウチも行かな……てかなんやねんチョチェクって……」


 ガチャ--


「まぁええわ…屋台はたこ焼きや。ウチの本領発揮っちゅうところやな……」


 ガチャガチャ--


 ……?


「ん?」


 個室から出たいねんけど……おかしい。

 入った時はなんのストレスもなく動いた個室の鍵が……

 渾身の力でスライドラッチを引っ張るけど……


「なんやこれビクともせんやんけっ!!」


 鍵が開かへん!!開かへんねん!!

 これどないするん!?つか、さっきまで普通に動いたやんけなんやこれ!!


「ちょ……っ、待ちや……え?嘘。嘘やんけ!!」


 ……ウチはトイレ運が最悪みたいや。茶色い方のウンは付くのに運の方はさっぱりや。


 …………閉じ込められてしもた。


 *******************


 --学校でウ〇コしよ思て個室入ったら閉じ込められる……

 ウチが小学生やったらパニックで号泣もんのイベントに見事に巻き込まれてしもた。これ、どないな確率やねん……


 便座にゆっくり腰を下ろして、ウチは考える。

 今起きてる事態--てかなんでこないツイてないのか……

 ウ〇コ行きたい時に行けんで、行ったら行ったで今度は出れへん。どないなっとるん?え?


 いや泣き言言うてもしゃーあらへん。考えるんや……


 個室の鍵はよーあるスライド式のやつ。問題はその鍵の開閉の為のスライドラッチがうんともすんとも言わへん。鍵が開けられへん……

 錆び付いてんの?これステンレスとかちゃうん?てかさっきまで動いとって急に錆びるか。


 あれか?ウチがよー扉閉めんで鍵かけたけなんかズレて固定されたんかな?引っかかって動かへんの?鍵の丸受にスライドラッチが斜めに入ってもーたとか……?


「ちゃんと閉めたけどなぁ……」


 構造上考えられへんけどやってみよ。それやったら扉を押したり引いたりしたら引っかかりが取れるんちゃう?


「ふん!むん!ふん!」


 細いスライドを摘んで扉ごと前に後ろに押しまくる。しゃーけどガタガタ扉が揺れるだけで開く気配無し……


 鍵の部分よー見てみたけどどー見ても普通にハマっとる。スライド部分にゴミでも噛んどんのか思たけどそれらしき物もあらへん。


 ……あかん。なんでや?


 考えうる可能性を整理してもどれも当てはまらん……ホンマにいきなり開かんくなりおった。

 徒労感と無力感にウチの膝が折れて再び便座に座り込む。途方に暮れるしかない……


 ウチが一体何した言うねん……


「鍵は開かん……こうなったら無理矢理開けて脱出するしかあらへん……」


 やるべきことを口に出して整理して落ち着かせる。昔テレビのVTRで観たトイレに閉じ込められて脱水症状になって苦しむ主婦の姿が浮かんで嫌な予感がし始めるけど、無理矢理振り払う。

 高校生になっても密室に閉じ込められたら有り得へん想像とかして怖くなるもんやな……


「ドアを蹴破る……いや、ドア壊したら怒られるやろな……最終手段やな。となるとや……」


 スライドラッチの鍵を見る。鍵は扉にネジで固定されとる。これをなんとか外せれば開くんちゃうか?後でネジを締め直せば直るしな……

 問題はネジがプラスやっちゅーこと。マイナスネジなら一円玉とかで開けられるんやけど……


「考えるんや。いや…無理矢理回せんやろか……プラス穴の横か縦の筋に一円玉入れたらその引っかかりだけで開くんちゃう?」


 試す。財布から一円玉を……


「なんやねん10円しかあらへん……くそ」


 入るやろか……


 10円玉は厚すぎるみたいや。ちっこいネジ穴にはハマってくれへん。


 失敗。鍵は外せん……となると……


「……上から出るか」


 個室の壁は天井とくっついとらへん。上が空いとるよくある形や。あそこまで登れば体をねじ込めるやろ……


「よし……トイレットペーパーはめる所に足かけたら届きそうや……くそっ、何が悲しくてこんなこそ泥みたいな真似--」


 滑らへんように気をつけながら便座に立ちトイレットペーパーのカバーに足をかけた。

 その時!!


「……はぁ、疲れた」


 ……誰か来た!!


 今はホームルームの時間や……人なんて来へんと思っとったけど、トイレの中に上履きの足音とため息混じりの声が響いた。

 教師ちゃう……生徒か……


 ここでウチは息を潜めて動きを止めた。

 この状況--普通なら助けを呼べると喜ぶべき場面やろう……

 しかしここは高校や。

 まずただ用を足しに行くだけでうん子呼ばわりされる低俗な世界……その上トイレの個室から出られへんなんて言うてみ?

 その瞬間からウチのあだ名は『トイレの香菜子さん』や……間違いない。


 これ以上ウチの尊厳を傷つけられることを避けるためには誰にも気づかれずに脱出せなあかんのや。


「……鏡になんか…映ってない…オッケー、今日も可愛い……可愛い」


 ……なんや?1人でブツブツ言いよる。

 個室に入ってくる気配はない。トイレやないんか。はよ出てけや。


「はぁ……」

「なんか大騒ぎになっちゃったね?」

「凪」


 なに!?もう1人来よったっ!くっそ。便所に女子が2人……これは便所会議が始まる予感……いつまでウチをここに閉じ込めとくつもりやねん!!


「日比谷さん、ああいうの苦手?大勢の人に囲まれるの慣れてなさそうだもんね?」

「スターは大変なの……凪は大きい方?出しすぎてトイレ壊したらダメよ?」


 いやもう壊れとる…出れへんくなるぞ?


「日比谷さんが気になった着いてきたの!そんなに出さないから!トイレ壊れるとかどんだけ!?……で?結局どうなの?」


 こいつ日比谷か?うちのシューズ借りパクした奴やんけ。


「………………私は美の女神だし、みんなのものだから--」


 何言うてんのこいつ。


「それまだ引っ張るの?いい加減聞き飽きたけど……日比谷さんはまだ好きなのかはっきりしない感じ?」

「うーん……」

「好きなんだと思うけどなぁ……体育祭であんなにムキになるんだもの。」

「うーん……」


 なんやこれ、恋バナ?


「でも、チャンスだと思わない?」

「なにが?」

「文化祭だよ!?普段接点のない人と関わる大チャンスだし、みんな浮かれてるんだから、アプローチ仕掛けるには絶好だと思うけど?」

「はいはい、凪はぼっちだからこういうイベントに参加出来て興奮してるんだね?」

「……殴っていい?」

「アプローチか…確かにずっとモヤモヤしてても気持ち悪いし、ここらではっきりさせようか……」

「ここまで素直に行為を認められない人、私初めてだよ。引っ付きそうで引っ付かないラブコメ主人公じゃあるまいし…」

「それは凪の人間関係が乏しいからだよ」


 --ドスッ!!


「うえっ!」


 え?なに?殴られた?


「ねぇなにすんの?」

「聞きなよ。劇でさ、日比谷さんがヒロインで空閑君に主役をやってもらうんだよ」


 ………………ん?

 んん??今なんて?誰君?


「……私がヒロインで、彼が主役……」

「そう!漫画とかであるじゃん!!やだー、素敵!憧れるなぁ…本番で告白とかしちゃってさ……」


 ……んんん??????

 なんやて?告白???

 え?なんや?日比谷って睦月が好きなん?え?あいつ女子に脱糞させるクソ野郎やけど……


「空閑君が主役とかやると思う?私がヒロインは確定として、あーいうのはクラスのイケてるグループから選ばれるんじゃないの?」

「そう?劇の主役なんて案外誰もやりたがらなそうだけど…それにそこはさ、日比谷さんの恋愛に興味津々な女子達が上手く根回ししてくれるんじゃない?」


 ……どうなっとんのや。日比谷っちゅたら学校一可愛いとか言われとる奴やろ?そんな奴があんなウ〇コタレを……?


 いや落ち着け……今の会話、相手の女が一方的に盛り上がっとっただけや。日比谷本人が好意を口にしてはおらへん……

 でも……えぇ?


「そろそろ戻る?」

「うん……ところであの奥の個室、ずっと閉まってるけど出てこないね……」

「うん……てか物音ひとつしないけど…」

「……まぁいいか」

「日比谷さん大きい方は?いいの?」

「私は大きい方なんてしないの……美の女神からは汚物は出ないの」

「うーん……仮に恋人になれても長続きしない気がするよ……」


 *******************


 …………えぇ。えらいこと聞いてもうた。

 せやったんか…知らんかった。あのクソ野郎モテるんや。

 思えば一学期の球技大会とかあいつ日比谷のこと……ん?好きなんは向こうもなんか?相思相愛?


 いやそないなことどうでもええねん。


 あいつら文化祭で引っ付くんやろか?なんか劇やるとか言いよったな……

 ええやん……


 文化祭の劇で日比谷が告るんやったらそこで糞漏らさせてやろ。

 文化祭なら屋台の飯とか食うやろうしクスリ盛るんも簡単やろ…

 ウチだって往来で漏らされたんや。あいつにも相応の仕打ちを--


 ……いやそないなことどうでもええねん。


「……行ったな?」


 2人分の足音が遠ざかって行くのを扉に耳を押し付けて確認する。トイレの中が再び静寂に包まれる。

 よし……


「脱出や脱出。全くやってられへん…」

『あの……』

「なんやねん忙しいねんウチは…後にしい」

『待って……』

「急ぐねん悪いな」

『待ってってば……』

「なんやねん!やかましいねん!!急いどる--え?」


 え?誰?

 誰かまた来たん?

 そう思ったウチの考えは再び聞こえてくる声にかき消された。


『まだ行かないでよ……』


“トイレの個室の中”から聞こえてくる女子のか細い声に全身の毛がぶわって逆だった。冷たい汗が吹き出して途端に足下が頼りなくなる。


 個室の中はウチだけ……当たり前や。

 でもそこには確かに姿なきもう1人の声があった。


「……………………え?誰?」

『私、花子』


 はははははははは花子!?花子!!!?花子ってトイレの花子さん!?

 どないなっとんねん!!こんな簡単に学校の怪異に遭遇することがあるんか!?花子さんて高校生やったん!?


 いやいや待て、イタズラや。誰かが仕掛けたイタズラ……そや!それやったら鍵が急に開かんくなったのも説明がつく…

 多分スマホかなんかが便器の後ろとかに……


 仕掛けを暴いたろ思て個室の中を物色し始めたウチが便器の蓋を開いた--

 さっき用を足したばかりの便器の中で真っ黒な目とバッチリ目が合った。


 まるで河童かなんかみたいに便器の中の水から顔を出したそれは髪の長い女の顔。

 べちゃべちゃに濡れた真っ黒な髪の毛はボサボサで顔は真っ白。まるで白粉塗りすぎたみたいに……

 そして白目を埋め尽くす真っ黒な生気のない黒目が--


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 あまりの事態に大きく仰け反って絶叫。勢いよく後ろの扉に後頭部を強打。目の前で星が散った。


『あぁ…危ない。死んじゃう』

「いやぁぁぁ!!殺さんとって!!」

『いやちょっと…聞いて……』

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

『うっさいってば、静かにしてよう〇こ女。』

「なんやとおどれ!今なに言うた!?おどれの方がウ〇コ女やろーが!口に手突っ込んで鼻の穴広げたろか!?」

『怖い怖い……』


 全く失礼なやつやで。ユーレイだか花子だか知らんがウチ相手ならなんでも言うていいみたいに思うとらんか?どいつもこいつも……


『落ち着いた?別に命取る気とかないんだ。ちょっと話を聞いてよ』

「なんやねん!!てか、個室から出れへんのもしかしておどれのせい!?」

『話聞いてくれたらすぐにでも出してあげるから……』

「おどれ……なんでや?なんでウチばっかりこないな目に遭わなあかんのや!!えぇ!?言うてみ!!言え!!」

『いや……ちょっと……あなたを選んだのは全くの偶然……』

「なんや話って!!しょーもない話しやったらいてまうぞこら!!」

『ひっ……』


 立場が逆転してもうた。すっかり縮こまってしもーた花子とやらは便器の中に顔を半分沈めてから話し出した。


『……私は花子』

「聞いたわ。大阪人は気長くないねん、はよせい」

『…………私は生前ここの生徒だったの…なんの取り柄もなく、クラスでも目立たなくて……友達なんて居ない寂しい学生時代……』

「そか……」


 なんか聞きとうなくなってきた。

 なんでうちの生徒がトイレなんぞで花子さんになっとんのか想像してみたけど、これトイレでいじめられてそのままとかトイレで不審者にとかそーいうやつやろ?


『そんな私は高校2年の時にこの世を去ることになる……まさにこのトイレで……』

「あー、それはご愁傷さま……あんまり聞きとうないんやけど…」

『あの日この個室に1人の女生徒が訪れる。目的はもちろん用を足すこと…しかも大。でもその日そこには不審者が居たの』

「ほらやっぱり」

『その不審者はあろうことか自分の体を無理矢理この便器の中に押し込んで息を潜めてた……』

「怖すぎなんやけど……そないなこと聞いたらもうトイレ出来へんやん……」

『それが私……』

「は?」

『便器で息を潜めてたのが私……』

「は?」

『……だから、ここに潜んでた不審者ってのが私--』

「なんでやねん!?ウ〇コしに来たんがおどれちゃうんか!?」

『それは同じクラスの桜井さん……ヒップのラインが素敵な子だった……』

「どーいうこと!?」

『……私はその日、女子の大きいのを顔に浴びたい欲求に駆られてトイレに潜入したの…今までは使用済みナプキンとかトイレットペーパーを顔に押し当てるだけで満足してたけど…この日はどうしても我慢出来なかった。出来たてのウ〇コをこの顔面で受け止めたかった……』

「どーいうこと!?」

『それが私の性的趣向なの。それでその日私は念願の顔面ウ〇コキャッチを実現したんだけど…桜井さんのウ〇コは予想外に大量だった……』

「ほぅ!」

『私は受け止めきれずにウ〇コに気道を塞がれて、そのままここで死んだ。』

「もう聞きたくないんやけど!てか同じ空間に居たくないんやけど!はよ出てもらっていい!?」


 こないぶっ飛んだ花子さん初めてやで、ドン引きや。

 こいつは今までここでウ〇コする女子のそれを嬉々として顔面で受け取ったちゅうこと!?てか、さっきウチがひねり出したアレも!?気持ち悪っ!!


『まぁ私がトイレの呪縛霊になった経緯は理解してもらえたと思う…』

「理解できへん……」

『で、話っていうのはここからなの……』

「まさか毎日ウ〇コ持ってこいとか言わへんよな?みかじめ料!?」

『それはもういいの……』

「もういいってなんやねん……」

『さっき言った通り私には生前友達が居なかった……それに体も弱かった。私はどういう訳か体調を崩しがちで学校も休みがちだったの……』


 そりゃ使用済みナプキンとかトイレットペーパースーハーしよったらな……


『さっきトイレに来た2人…会話を聴いた、もうすぐ文化祭なんでしょ?お願いがあるの。私文化祭に出てみたい……』


 ……え?


『あなたが来た時なにかビビっと来るものがあったの……なんだろう。あなたの肛門に引き寄せられるパワーを強く感じた。私トイレから出られないのだけど、あなたの肛門なら私を引っ張ってくれる気がしたの!!』

「それはウチの肛門はトイレレベルって言いたいん!?」

『違う!!違うくて……私は排泄物への未練が強いから……あなたのお尻は何故か強く惹かれるというか…むしろ引っ張られるというか……』

「付いとらんわ!!ちゃんと拭いたし!!」


 なんで便器から顔出しとる奴にケツが汚物まみれって言われなあかんの?こない心外なことあらへんやろ。


 腸煮えくり返すウチを見つめながら花子は顔を悲痛に歪めて黒い瞳から雫を流し出した。


『お願い……私、普通の学校生活を送りたいの!!』

「無理やろ。まずおどれがふつーやあらへん」

『今更手遅れって分かってる!だからせめて…せめて!文化祭に参加する気分だけでも……私トイレから出られないの!!』

「嫌や。なんでケツに幽霊ぶら下げて文化祭出らなあかんの?」

『断るならここから出さない』

「あっ!汚いで!!」

『汚いのはあなたの肛門よ!!』


 ………………なんなんやろ。なんか……もう……あれなんやろか?ウチは一生ウ〇コまみれの人生なんやろか。呪われとんの?


『1度でいいの……お願い……』


 声を震わせる花子の嗚咽と心の叫び。なんか悲劇のヒロイン面やけど多分全部自業自得やけな?


 ……まぁ、こいつの要求呑まなウチここから出られへんのやろな……


「分かった分かった……その代わり文化祭当日の一日だけやで?終わったらこのトイレに帰るんや……約束できるか?」

『……っ!?いいの……?』

「引き受けなここから出さんのやろ?もうええわ……今更一日幽霊肛門に引っつけるくらい……」

『あなた……ウ〇コも素敵だけど肛門も素敵ね……愛してる……』

「せめて人間性褒めてくれへん?」


 感涙を流す花子にウチは近づいて--やっぱ汚いけやめといて花子の目の奥を覗き込む。黒に反射するウチの顔は中々の悪人面になっとった。


「--その代わり、条件があるんやけど……」

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