可愛いは最強
「違うであります橋本先輩!なんでございますかそのカクカクした動きはっ!!」
「あなた、センスないでございます」
私、葛城莉子が巻き込まれたこの世界の存亡をかけた九尾の狐退治…それもいよいよ佳境へと突入していた。
九尾の狐--玉藻の前を唯一封印することができる妻百合秘伝の舞、継承の儀。世界の命運はこの男、橋本圭介に託された。
橋本君は地味な生徒という印象しかなかったが、いつの間にか世界を背負うまでに成長していたんだね……莉子、感激。
橋本君が神事の舞を完璧に継承し舞った時、玉藻の前は勾玉に封印されるだろう。出来なければその時は古城幸恵と玉藻の前が結婚して世界が爆発する。
橋本君と共に世界の命運を背負うのが、舞を完成させるまで玉藻の前を留めるこの2人……
「かかって……」「来なさい♡」
魔人宇佐川結愛と神と融合した男剛田剛。
『--貴様ら、もう楽には殺さんぞ?』
かつてない憤怒の形相のまま対峙する玉藻の前。その表情、それは橋本君が踊っている舞が不完全ながら玉藻の前の力を抑え込んでいることを表している。
希望があるかもしれない……
特に何もすることの無い私とトイレの花子さんはその戦いを固唾を呑んで見守る。世界と私の軽自動車の仇は託された……
--そして動く!!
「おらぁぁっ!!死ねぇぇ!!」
宇佐川君が猛進。剛田君が青白い光を放ちそれが宇佐川君を包み込んだ。
宇佐川君から放たれたのは強烈なパンチ。もはや天変地異かという破壊力のそれは玉藻の前を巻き込み強烈な粉塵と轟音を響かせる。
そして剛田君の神通力が発動する。両腕をクロスすると黒煙が晴れ玉藻の前が空間に固定されたように縫い止められた。髪の毛も着物の裾や袖も、風になびいていたそれがカチカチに固まったみたいに固定される。それは周りの飛び散った瓦礫や砂埃までだ。
捕まった玉藻の前の頭上へ浮かび上がるのは無数の家屋……誰の家とも知れない家々が犠牲となり剛田君の神通力により物量攻撃として降り注ぐ。
それらは全て玉藻の前には届かないだろう。玉藻の前の絶世の美貌は本人曰く世界に守られているらしい。
理不尽極まる力だがそれでも押しとどめるだけなら手はある。
家の雨の下、無防備で瓦礫に埋もれた玉藻の前。玉藻の前を呑み込んだ家の残骸の山。その上からさらに宇佐川君の出した無数の黒い槍や黒い雷が降り注ぐ。
--まさに、超常の戦い。私達には到底理解も及ばない。
……しかし。
絶え間なく降り注ぐ刃も雷も、押し潰した家の亡骸も、噴き出した漆黒の波もとい玉藻の前の下痢ピーに呑み込まれ、圧縮され、消えてしまった。
そこには傷どころか埃一つ付いていない玉藻の前。
……一方的に攻めていても、玉藻の前はまだ何もしていない……「本気で潰す」と宣言した時から……
「……はぁ、はぁ……くっそ。なんだ?」
「なんだか……息苦しいわね……」
いや、2人の様子がおかしい。
そう、私は思い違いをしていた。彼女は攻撃をしていたのだ。
急速に鼓動を早める心臓の異変……上昇する体温にそれを把握する。
『……気づいたか?』
「てめぇ何をした?」
「毒……かしらぁ?残念だけど、オカマと北京原人には毒は効かないのよぉ?」
「おい、北京原人って誰のことだ?」
『毒ではない』
そして本格的に玉藻の前が動く!!
いやっ!動かないっ!!古の大妖怪は怪物ふたりを相手取りその場から動くことなく攻撃を繰り出した!!
それは玉藻の前の全身が突如発光し始めた事で可視化する。なんか薄ピンクの光を放つ発光体と化した玉藻の前。
その光の仕業か……先程よりもより心臓の高鳴りは激しくなり胸が苦しい。息も苦しい。立っているのもなんだか憚られる。
これは……肉体的なものではない。
例えるならそう……これは精神的な要因。まるで立っている事すら申し訳ないような…ひれ伏したくなるような……
それにこの鼓動の早さ……いや、胸のドキドキ!!
「……あぁ?」
「くっ!これは……結愛ちゃん、これは、この感覚は……」
とうとう宇佐川君も剛田君も膝を着いてしまった。
奥で神事の舞を継承していた妻百合姉弟と橋本君もだ。トイレの花子さんは卒倒した。
「……美しい」
それは自然と口からこぼれた呟き。そしてそれこそ、この異常事態の正体に他ならないと私は確信した。
周りの全てが認識の外へ……全ての意識が玉藻の前へ向かう。彼女以外が目に入らない。言い換えるなら、夢中になっている。
『言うたはず……妾は傾国の美女。至高の美貌を持つ存在ぞ。妾の前に立つ…それはつまりこの世の究極の美との対面を意味する。つまり、貴様ら如きでは自我を保つことすら叶わん』
「てめぇさっきから自分の面を鼻にかけやがって……」
「でも確かに……食べちゃいたいくらい美しいわぁ♡」
『世界に護られる程の究極の美貌は同時に究極の矛。妾が本気でこの美貌を振りまいたならば何人たりとも妾を前に立つことすらままならぬ。立つのはそう……ち○こ位のものじゃろう』
「うぅっ!妻百合さん僕……なんだか下半身が熱いんだっ!!」
「気持ち悪ぅございます橋本先輩!!」
よく分からないが美しすぎて何も出来なくなったらしい。くそ、まるでミケランジェロの彫刻を眺めているかのような多幸感と満足感だ。確かにもうあの美貌を眺めるのに夢中で他のことに頭も意識も回らない。
『今の貴様らは妾の美貌を堪能することしか考えられぬ猿に等しい……戦うなどとても……そしてっ!!』
次の瞬間、玉藻の前の顔面が突然猛烈な輝きを放つ。放たれる薄ピンクの光は美貌の色香を濃縮したかのようだった。
そしてその輝きは--
『ご尊顔ビームっ!!』
閃光のように放たれた顔面の輝きは一直線に宇佐川君と剛田君へ……2人のすぐ近くに着弾した光線は大爆発を引き起こした。
……なんで?
「くあっ!!」
「あはぁんっ♡」
『……妾の美しさを凝縮してビーム砲として放つ……妾の十八番、ご尊顔ビームじゃ。何人も避けることは許されぬし、受けたならば消し炭じゃぞ?』
美貌を凝縮したビームらしい。そして当たると爆発するようだ。
なんで?
しかしその破壊力たるや恐ろしく間近でビームの余波を食らった私達は直撃してないにも関わらず肌がジリジリと焼けるような痛みを覚えた。
……美しさとは突き詰めると破壊力を帯びるのか。可愛い女の子が童貞を殺すのはもしかしたらこういう原理なのかもしれない。
余談だが私は容姿で人を殺した経験はない。
『終わりじゃな人間ども……妾の美しさにひれ伏しながら塵となるがいい』
「……っ、調子こいてんじゃ……ねーーぞっ!!」
『ご尊顔ビームっ!!』
放たれるご尊顔ビームは吠える宇佐川君へ一直線に向かう。咄嗟に剛田君の神通力が青白い防壁となり宇佐川君の前に展開する。
ガードにより直撃はまのがれた…しかしその破壊力は神通力の守りの受けから宇佐川君にダメージを与えるに充分。
「……っ、は、橋本君!早く神事の舞を舞うんだっ!!」
「でも……莉子先生……っなんだか下半身がムズムズするんですっ!!」
なんだ?男には別の効果でもあるのか?
「玉藻の前から目が離せなくて神事の舞どころじゃないです」
「おい圭介!!てめーまじでふざけんなよ!?なんだ、お前あんな女がいいのか!?」
「莉子先生何とかしてくださいっ!!」
なんとかとは玉藻の前かね?それとも下半身かね?
橋本君が玉藻の前に魅入られた事実に宇佐川君、激昂。般若の如き形相で怒号を放つ。
「てめぇぇぇぇえっ!!!!なに人の男誑かしてんだぁっ!!!!」
怒りのまま突進する宇佐川君。「ダメよっ!!」という剛田君の悲鳴じみた静止の声が飛んだ。
『--頭が高いぞ』
全身激しく発光する玉藻の前を前に猛ダッシュで襲いかかる宇佐川君の足が止まった。まるで力を抜かれたみたいにへなへなと情けなくその場にへたり込む。
「……くそっ!私もこんくらい女っ気があれば……っ!」
玉藻の前の美貌は理性を飛び越え人を支配する。
『ご尊顔ビームっ!!』
足下の宇佐川君へ、超至近距離からご尊顔ビームが放たれた。
間違いなく直撃したそれは灼熱の爆風と真紅の豪火と共に天高く舞い上がる。
「いかんっ!!宇佐川君!!」
「直撃よっ!!」
「ゆっ……結愛ぁぁぁぁぁぁっ!!」
爆炎の奥から吹っ飛んでくる宇佐川君はズタボロで大火傷だ。大変だ早く治療をしないと……
なんて養護教諭としての使命感すらも煙の中から瞬間移動してくる玉藻の前を前にすると霧散してしまう。自分のやるべきことに集中できない。美しすぎる…見てしまう。
玉藻の前は勝ち誇った笑みを湛え足下の宇佐川君を踏みつけた。
『……褒めてやろう宇佐川結愛。妾の美貌を前にそこまでの闘志を保てるとは…しかしここまでよの。貴様はよくやった。もう楽になるがいい』
「……うっ……くっ!」
「大変でございますっ!!宇佐川様がっ!!」
『メガネくん私らがあの美しい顔を見てる隙に早く踊るんだよっ!!』
「なんの隙なのさっ!僕にも見せてよっ!!てかっ!結愛ぁぁぁぁぁぁっ!!」
ぬけぬけと放つ賞賛も足下で踏みつけていればただの侮辱。敗北感と体の痛みだろう…苦しげに玉藻の前を見上げる宇佐川君の目はそれでもとろけた様な見惚れる視線を帯びていた。
玉藻の前の顔が光る。
『--滅してやる。死ぬがいい』
大変だ……っ!!
大変なのに……今はあの顔を眺める事が忙しいっ!!
宇佐川君っ!!
--そして私達の目の前で……
『ご尊顔ビームっ!!』
とうとう放たれる滅殺の一撃。そのご尊顔の輝きは光線となり今度こそ足下の宇佐川君を消し炭に……
……すると思われた。
放たれるかと思った顔面の発光が突然しょぼしょぼと収束して消えてしまうまでは。
一体なにが?
その場の全員が宇佐川君の死を覚悟した直後なだけに全員がぽかんとする。そしてそれは玉藻の前本人も同じだった。
『……なんじゃ?ご尊顔ビームっ!!』
再び光る顔面。が、それはビームとはならずにただ一瞬周囲を照らすだけに留まる。
突然の玉藻の前無力化。そしてそれだけに留まらず……
「……えぇいっ!!」
このタイミングで剛田君の神通力が炸裂した。衝撃波が玉藻の前を襲い、あろうことか玉藻の前を吹き飛ばした。そしてそれは明確に玉藻の前へダメージを与えたようだ。
『痛っ!?痛ぁっ!?ば、馬鹿な!?』
……思考がクリアになっていく。胸のドキドキも収まって……
…………てか、冷静に見たらそこまで綺麗な顔ってわけでもないよなぁ。
全員の顔に理性が宿っていく。とろけるようだった宇佐川君の顔色も怒り一色だ。
『……なんじゃこれは…消えていく……妾の美しさへの世界からの寵愛が……っ!妾の至高の美貌による魅了と守護が……これは……っ!!』
信じられないといったふうに彼女は遥か先の明後日の方を向く。
その先には何者かが立っていた。この台風直撃の中。
誰だ?
『これは……妾よりも美しき者による美貌の上書きっ!!世界からの寵愛を妾から横取りする究極の美貌!!有り得ぬっ!!傾国の美女たる妾よりも美しい存在など……っ!!』
玉藻の前が答えを言った気がする。その時こちらへ向かってくる人影がなんか白く神々しく輝いた……気がした。
『何奴--ぎゃあああああっ!!』
玉藻の前へ針のように突き刺さった…気がした白い光が玉藻の前の体を焼いた。もがき苦しむ玉藻の前。
強風と豪雨で視界の悪い中、とうとう輝きを纏ったその人が私達と玉藻の前の前へ降臨する。
風になびくウェーブのかかった茶髪。
雨に濡れる白い肌と華奢な身体。
黄金比で纏められた目鼻口。
色気を放つ泣きぼくろ。
……そう。
「--私より美しい?至高の美貌?」
「おーーーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ!!」
『あ、あれは……っ!校内美少女ランキング堂々不動の1位!!この人の排泄物に埋まってみたいランキング第1位!!モデルとして大活躍、世界最高の美少女--』
「--この日比谷真紀奈を差し置いてっ!!」
『日比谷真紀奈だぁぁっ!!』
「おーーっほっほっほっほつほっほっ!!」
トイレの花子さんの実況の下なぜか姿を現したのは高笑いを続ける気が狂ってる少女とテレビカメラやスタッフを引き連れた我が校の生徒、日比谷君だった。
「それにっ!じょっ……城ヶ崎麗子さんっ!?」
「おーーーっほっほっほっほっ!!久しぶりですわーっ!!ケースケっ!!こんな所で何をしておりますのーーーっ!!」
そして気が狂ってた子はトップアイドル、本気坂48の城ヶ崎麗子ではないか。
「え?いや……城ヶ崎さんこそ」
「おーーっほっほっほっほっ!!私達、本日はおロケですわーーーっ!!」
「あの女は……この前圭介と週刊誌に激写されてたアイドル……っ!!」
何故だ?宇佐川君の警戒レベルが玉藻の前へより上昇している。
「日比谷君、こんな所で何をしてるんだね?」
「莉子先生。だから今日はロケなんです」
「こんな日に!?」
「そしたらなんか……この日比谷を差し置いて世界一可愛いみたいなこと言ってる不遜な奴が居る気がして……その気配に導かれてここへ…」
……恐るべき、自身の容姿への自負。自分より美しい者は自称でも許さないと。
そして玉藻の前の急速な弱体化。それは2人のヌルッと始まった戦いの明暗をくっきり分けている。
「で?みんなしてここで何を?」
「日比谷君、何も聞かずに手を貸してほしい。世界の危機だ」
「?」
再び橋本君の舞がスタートを切る。
その中で日比谷君の美しさに焼かれた玉藻の前が苦しげに近づいてくる。あの顔は女としてのプライドをかけている。そういう顔だ。
「新たな町人発見ですっ!お姉さんは今日はなにを--」
『やかましいっ!!』
玉藻の前へ寄っていくテレビスタッフがビンタで張り倒された。城ヶ崎麗子は1人でずっと笑っている。
カオスな状況でついに、玉藻の前が日比谷真紀奈の前に立つ。
『……何者だ貴様』
「究極の美的生命体、日比谷真紀奈」
恐らく中高の入学後の最初の自己紹介で口にしたら変人認定は免れない自己紹介だった。
『……貴様、この妾よりも美しいつもりか?』
「あなたが誰なのかは知らないけど…つもりとかじゃなくてこの日比谷より美しい生命体はこの銀河系に存在しないから。ごめんけど、その思い上がりは直した方がいいと思う」
『貴様、誰に口をきいておる…死にたいか?』
この日比谷、まさに絶体絶命の中駆けつけたヒーローだが、彼女は何も知らない。故に彼女が玉藻の前の前に立つのは自分の美しさを主張するため……のみ!
この子は世界とか背負ってない。強烈な自負心、まさに女界の範馬勇次郎。
『……妾のご尊顔ガードが消えておるわ。くく……なるほど。ゆきぴーとの婚儀、その最大の試練となるのは妻百合ではなく貴様だったか』
「おーーーっほっほっほっほっ!!日比谷さーーん!カメラが雨でお釈迦になりましたわーーっ!!ロケは中止でしてよーーっ!!」
『よかろう……貴様には実力で打ち勝つしかないらしい』
その瞬間玉藻の前の顔が光る。アレだ!またご尊顔ビーム……
『ご尊顔ビームっ!!』
…は撃てないんだったな。
案の定ご尊顔ビーム、ひょろひょろと頼りなく日比谷君の方へ飛んでいきそのまま散った。日比谷君のご尊顔にはなんのダメージもない。変わらぬご尊顔である。
いや、むしろ雨に濡れて色気が増している。
「あなたもいい線いってるけど…私の美貌を見習ってもっと精進した方がいいよ」
--ピカーーッ!!
今度は日比谷君が発光体となる。私は美人はホタルみたいに光るんだっていうことを初めて知った。つまり美人かどうかを見極めるには「光れますか?」って訊けばいいわけだ。
全国のマスク美人よ、震えて眠れ…
玉藻の前のそれよりも激しく神々しい光。どこぞのオカマより余程神様だった。
『ぎゃああああああああああっ!!!!』
なんと玉藻の前、日光を浴びた吸血鬼の如く白い煙を立たせながら燃えだしたっ!
あれ?
「あ、姉上……あの方は一体……っ!封印の儀もなしに玉藻の前を……っ!!」
「……あの方は…………天照大御神…」
「あれ?僕のダンスは?要らない?」
『おっ……おのれぇぇぇ!!』
しつこい。玉藻の前悪あがきに頭を下げ高く突き上げたケツら辺から金色の九尾を飛び出させたっ!
「姉上!!あれはっ!!」
「本気でございますっ!!」
「おーーっほっほっほっほっ!!なんですのあの方ーーっ!!」
『日比谷真紀奈っ!!妾より美しい存在など認め--』
ブォォォォッ!!
その時玉藻の前の起こしている台風による暴風が吹き抜ける。突風は私達の前を…そして日比谷君の前を駆け抜けて、彼女の短いスカートを持ち上げていった。
「あっ!ピンクっ!!」
「あ?(怒)」
こういう時だけ素早く反応する橋本君に宇佐川君の殺気が向くが、今は彼の身を案じている時ではない。
『ぎゃああああああああああああっ!!』
全身発光体の日比谷君の、ご開帳してしまった下半身がさらに強く輝いた。
それを受けた玉藻の前、九つの尾が呆気なく塵と化していく。どころかさらに激しく全身が燃焼する。
『なっ……なんじゃこの……っ!!芳醇な色香と幸福感は……っ!!妾は一体何を目にしたと言うのじゃっ!!あんな……下半身を覆うただの布切れ1枚に……っ!!』
「ただの……?今日の下着はとっておきの勝負下着だよっ!!」
もはや太陽のような輝きだった。
世界からの寵愛を帳消しにする美少女日比谷真紀奈の生パンである。もう太陽と呼んで差し支えないと思う。太陽が寿命を迎えても人類はこのパンティーで太陽光発電できるだろう。
とうとう原型を留めることすら出来なくなり、究極の美貌を前に玉藻の前が消滅していく。
この場の全員、こんな形で決着するとは……特に神事の舞が全く決め手にならないとは夢にも思わなかった。
『おのれ日比谷真紀奈ぁぁぁっ!!許さぬ……っ!!貴様の一族末代まで呪ってやる……っ!!それまでは……それまでは妾は……っ!!』
「おーーーっほっほっほっほっ!!日比谷さーーん!!雨でシャツが濡れて、ブラが透けてますわよーーっ!!」
--ピカーーンッ!!
その輝き、もはや太陽どころではなかった。台風の雨雲すら吹き飛ばしてしまった。
雲間から差し込む日差しはずぶ濡れの究極美的生命体を勝者として讃えるかのように降り注ぐ。
『ぐわっ……ぐぅわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!』




