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Stg44とポテトマッシャー

 マガジン3個分を惜しみなく連射したことでゴブリンだらけだった場所に少しの余裕が生まれる。


 時間にして一分に届くかどうかの電撃作戦で弓兵ゴブリンの反応も遅れている。


 それをいい事に俺は敢えてSTG44をリロードすること無く左手に持つと右手に《M24型手榴弾》を同時に3つ召喚、柄に取り付けられたねじ込み式の安全キャップを外し中にある紐を口にくわえ一気に引っ張る。


 紐が外れた瞬間に自分の正面へ向けて全て放り投げると自分はその場で膝立ちになるとリロードしなおしたSTG44を連射する。


「1、2、3、よん!」


 4秒を数えたとき前方で爆発が起きる。と同時に俺は弓兵ゴブリンの人混みへと突っ込みそのまままっすっぐSTG44を乱射しながら抜けさらに走る。 振り返ればまだ弓兵ゴブリンはこの状況を、よく理解しきれず動きがもたついている。


 まるでバグった機械みたいだなと思っていると左足に僅かな抵抗を感じた。


 そして4秒後ゴブリンの文字通り血肉によって築かれたゴブリン山が爆発した。


 爆発によって起きたゴブリン山の雪崩により近くにいたゴブリンは下敷きになった。


 うまくいった事を内心で喜び、俺は再度ポテトマッシャーを今度は10個同時に、召喚した内5個を地面に放るとまた紐を引っ張り、今度はサイドスロー気味で全体に行き渡るように投げる。投げたポテトマッシャーの爆発を待たずに更に置いて置いた残りのポテトマッシャーを掴み今度は下投げで自分に近いゴブリンの足元に投げていく。


 攻撃用手榴弾と言われるこのポテトマッシャーは爆発の威力でしか殺傷しないため比較的近くに投げても被害が及びにくい。


 遠くに投げたポテトマッシャーに次いで近くに投げたポテトマッシャーが爆発しいい感じに人口密度(動いているゴブリン)が減った所で全力で走りながら銃撃をする。


 ここでようやく度重なる爆発にめげず状況を理解した弓兵ゴブリンの反撃が始まった。

 一斉にこちらを向き弓を引き絞り矢継ぎ早に矢を射かけてくる。


 1番近いところで約3m


 軽く100本は飛んできている矢を左右に細かくステップをふみ避けながら撃ち続ける。だがどうしてもリロードの時だけはマガジンを召喚する為に動きが鈍くなってしまう。さてどうしたものかと素早く辺りを見渡し近場に俺一人が余裕で身を隠せそうな木を見つけた。まだ残弾はあるがこれから何が起きるかわからない。余裕があるうちにリロードを済ませておきたい。弓兵ゴブリンが放つ矢の密度が少なくなったと思った瞬間、片足できれいな右向け右をすると目の前にある木の裏に転がり込む。即座にマガジンを召喚、リロードする。チラッと木の陰からゴブリンたちを見るとやはりというか木を取り囲むように展開してきている。このまま目の前に広がる森の中に入れば障害物を盾にしながら戦えるが、そのメリットよりゴブリン達が身を隠せてしまうデメリットの方が大きい。なんせ相手は小柄なうえに天然の迷彩服を持っているのだ。おそらく茂みに隠れられでもしたらこちらが一方的に撃たれる羽目になる。やはり広いフィールドで戦うしかないなとまた走り出す遠くにいたゴブリンも前列のゴブリンを誤射しないように曲射で矢を放ち始めどんどん投射量が増えていく。


 しかしその全ては結局直線的、上からくる矢も最終的にはまっすぐに来る。そう考えれば弾速の遅い銃弾と同じだ。それなら自らこんな粗末な弓から放たれる矢より速い、音速を超える銃弾へと向かい全て避け、弾く。我ながらキチガイだなと思うスタイルを貫いてきた俺なら高々三方向から200本程飛んでくるこの状況でやっと同等かそれ以下だ。


 上から飛んでくる矢は大きく動くことで避け左側から飛んでくる矢は腕甲で弾き、逆に防御しずらい右側はSTG44で徹底的に叩き潰す。


 流石に後ろからの射撃は防ぎきれない。包囲されそうになれば完全に逃げ道が塞がれる前に敢えてゴブリンの1団の中に突っ込み中からかき乱し、そして突破する。


 それを繰り返している内に瞬く間に弓兵ゴブリンは数を減らしていく。

 だがそれでも弓兵ゴブリンはまだ大量にいる。

 まだだ!ここにいるゴブリンを撃ち殺すまでは止まるな!撃ち続けろ!

 撃って撃って撃って撃ちまくって、弾く、殴りつける遠い所はポテトマッシャーで牽制プログラム化された機械のようにただひたすら敵を屠る動き。それが読まれ始めればまた違った軌道を死体を盾にしようとするならそれごとポテトマッシャーが起こす爆発の餌食にし殺し続ける。


 無限に加速していくような感覚に陥りながらも自分の痛覚はどんどん鈍化していく。


 息切れし始め荒い呼吸すら発砲音と爆発音のBGMにかき消され聞こえない。


 苦しいと体が訴えているとは容易に想像できるだがそれを無視し、顔に笑みすら浮かべ俺は血で赤く染まった地面を踏みしめ一陣の風のように駆けずり回る。


「!?」


 もう何分そうしていたかもわからなくなってきたころ後ろからまるでワープでもして来たかのように突然気配がした


 反射で横薙ぎにそちらへと向けた銃の横腹を小さな白い手が掴む。


「もう、危ないじゃない☆痛いけな小さな子にこんな物騒な銃口を向けちゃダメだよ龍之介君☆」


 その憎たらしいまでの無邪気な声が耳に届き俺はふっと我に返る。


 目の前にはやはりロリ神が立っていた。


 そして周りを見渡せば弓兵ゴブリンと思わしき死体がゴロゴロと転がっている。

 全てが原型が分からなくなりそうなぐらいにぐちゃぐちゃになっている。

 当然生きているゴブリンはいない。


「獅子奮迅の戦いぶりとでも言うのかしらね☆凄いじゃないこれ400匹は倒しているわよ☆あなただけでゴブリン1200匹、大戦果ね☆」


「……ここに何の用できた」


 久しぶりのように思える自分の声は酷くしゃがれているように聞こえた。


「まーたそんなぶっきらぼうに〜☆折角この超絶美少女のロリ神様が来たのよ泣いて喜んだろどう?☆」


「……1つ訂正させてくれ、美少女じゃない美幼女だ、鏡を見てからそれは言え。それにこの状況で喜べるわかないだろ。普通は」


 どっと溢れ出てくる疲れの影響でぶっきらぼうにそんな酷いことを言ってしまう。


「ひ、酷いわ……もう!私はそんなに子供じゃないって!本当に老婆にでもなってやろうかしら!」


 いつもの口調は何処へやら少し乱暴な口調になりながら地団駄を踏むロリ神はやはり美少女ではなく美幼女だった。


「ま、まぁ良いわ☆じゃあ本題に入るわね☆急がないと、あ……」


 ただ無言で地団駄を踏む所を見られるのが恥ずかしくなったのか早口気味に喋っていたロリ神は突然話をやめた。


「おい、どうしたんだ?」


「ごめんね、龍之介君、手遅れだったみたいだわ……」


 なにをと問いただす前に背後が僅かに明るくなったような気がした。


「な、なんだ、なにがおき……て……」


 振り返ると西の空が明るくなっている。


 まだ日が登るには速いはずだ。


 そう、これは炎だ。


 黒煙を立ち登らせながら何かが燃えている。

 あれは魔法の類ではないはずだ。


 そしてあっち側は防衛戦の主戦場、リーク達が戦っている場所。


「まさかあっちで何か……まさか……?」


「いいえ、そういう訳ではないわ、でも早く行った方が良いわよ。もしかしたら……」


 久しぶりに見る真剣なのロリ神の顔が何よりも雄弁に語っていた。


「レティシア!」


 俺はSTG44を放り投げると足がもげるのではないかと思うほど足を早く動かし反対側へと向かう。


 ただレティシアや他の村人達が傷ついていないように、そう願いながら走る。


 そしてたどり着いたその火元へ。


 燃えていたのはレティシアの家だった。


 ごうごうと音を立てて燃える家はつい先ほど火が上がったはずなのに既に大半を燃やしつくしていた。


「うそだろ、陥落したのか……?他はここにいた皆は……!」


 周りを見渡しても人っ子1人いない。


 ただレティシア宅を境としてゴブリンの死体が散乱している。

 果たしてこれが村側が勝ったからなのかゴブリン側が勝ったからなのか全く見当がつかない。

 だがもし負けたもしくは損害を被ったのなら村人の死体が1つも転がっていないのはおかしい。

 だったらどこに……


「他に皆が集まる場所は……村長の家しかない……!」


 そう思い至った俺は胸に溢れる不安を振り切るかのように走る。


 村長の家へと続く坂を息を切らしながら速度は落とさず走った。

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