Sturm(突撃)
「!?アッツ!ああクソ!!遂になってしまったか!これも予想より早い、全てが悪い意味で前倒しになるとか何の罰ゲームだ!」
毒づきながら俺は覚悟を決めてMG42の上部レシーバーを跳ねあげる。
露出した機関部はマズルを交換する時のほのかに赤くなっていたものとは訳が違うほど真っ赤に赤熱していてただ手を近づけるだけでも機関部から放出される熱で火傷をしてしまいそうだ。
何故なったのかすら考える必要はない暴発の原因はとてつもなく簡単でそれでいて機関銃の最大の敵でもある加熱だ。
火薬が燃えた時に生まれる熱がマズルだけでなく機関部にも少しずつ蓄積されていき加熱されれた薬室に弾薬が入ったことで雷管が叩かれることなく火薬が爆発してしまったのだ。
これが発生してしまったからには放熱が完了するまではいつ暴発するかと危なかっかしくて仕方ない。
幸か不幸かなんとか軽装ゴブリンを壊滅させるまでは持ちこたえてくれた、むしろ適度に休ませてやれなかったのが原因のものだ。
「あれだけいた重装歩兵ゴブリン、それから軽装ゴブリンを壊滅させてくれたんだそんな奴に罵声を浴びせるわけにはいかないな。
さて、とは言っても弓兵ゴブリンは未だ健在、だがまだ大部分は登りきれてはいないな射程距離だけならこっちが圧倒的何だが手数ではあっちが有利だし遠距離戦はこっちが不利か、これ以上後ろに下がれもしないならよっぽど近距離で戦う方がマシだ」
MG42に対する理不尽な怒りを反省した俺はその場にMG42を置き新たな銃を召喚する。
出現した銃は世界で最も有名なAK47のような姿をしている。
別にマガジンが変な所に付いてるわけでもさして特殊な機構を備えているわけでもない、普通のアサルトライフル。
だがそんな特徴のない見た目をしているがその存在は特徴的である。
この銃が作られたのは大戦期のドイツが7.92×90mmモーゼル弾を推すヒトラーに幾度も却下され名前を変えながら遂にはその性能で黙らせ開発されたこの銃は世界初の実用的なアサルトライフルとして名を轟かせた。そういう意味でこの銃……STG44は兵士の一般装備として不動の地位を確立しているアサルトライフルの始祖と言っても過言ではない。
「7.92×33mmクルツ弾」
本体中央に位置するコッキングレバーを引く。
28発入りのマガジンから薬室へと弾が上がりコッキングレバーを離し送り込む。
そして俺はそれまでの待ち構え迎撃するスタイルをやめ自ら弓兵ゴブリンの方へと発砲しながら走る。
わずか10mほどしか離れていなかった有刺鉄線までの距離をグングン縮めながら既にこちら側へ降り立ったゴブリンを優先して銃撃する。
衝撃を和らげる事を重視した曲銃床とは違いコントロールを重視しているSTG44の直銃床を伝って連射の反動が肩を盛大に殴りつける。
連射しながらも狙いすました1発1発が的確に無防備な弓兵ゴブリンの頭を貫く。
そして俺の視界の半分を死体の山が占める頃にはこちら側にいた弓兵ゴブリンは全滅した。
目の前にはゴブリンが築きあげた山がある。正直見てて気分の悪いものだ。
なら壊した方が清々する。
俺はグッと体を落とし一瞬力を溜めると有刺鉄線へ向けて跳躍する。
もちろんいくら力が強くなっているからといって5kgはあるSTG44を抱えた状態で高さ155cmほどある有刺鉄線の柵を越えれるはずはない。その真ん中を突っ切ろうなんて事も考えていない。
放物線を描きながら上昇した俺の体は100cmぐらいを頂点にして降下を開始すぐ目の前には有刺鉄線の鋭い針が待ち構えている。
その内の1本をよく見ながら俺はそこにけりつけるようにして足を付ける。
村長からもらった靴を貫通して有刺鉄線の針が足に突き刺さる。
その痛みを堪えながら俺はそこでまたかがみ力を溜めると再度背面跳びの要領で跳躍し残りの高さを稼ぐ。
すぐ真下を有刺鉄線が掠め服がピリッと破ける感覚がしたがそんな事を気にしていたら地面に首を打ち付けて死ぬ。
背面跳びで得れたモーメントを生かしそのまま半回転した俺は難なく地面に着地した。
目の前に敵が居るというのに自然と安堵のため息が出る。
だがその余韻に浸る暇はない。
すぐにここから離れてしまわないと囲まれてタコ殴りにされてしまう
俺は先程の射撃で空になったマガジンをリリースし新たなマガジンを出現させリロードするとコッキングレバーを引かずに近くにいた弓兵ゴブリンへ向けて発砲し牽制すると戦略的撤退を敢行する
少し離れた位置で俺は反転するとた薬室内に弾丸が残っているのにマガジンを交換するとすぐに撃った。
これはタクティカルリロードと言われる薬室内に意図的に弾を残しておきマガジンを交換する事でコッキングをすること無くすぐに発砲出来るというリボルバー等の薬室が独立している銃やボルトアクションなど手動装填をする銃以外なら大抵できる銃の構造を利用するテクニックだ。




