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Mg42と戦線維持

 

 肩付けしたストックからのバイクの振動に似た反動がズッシリと伝わってくる。


 反動に煽られ銃本体も動き時に銃口を目標とは違った位置へと引っ張る当然そんな事では全弾命中なんて事は出来ないそれこそゼロ距離で撃ったりしないかぎりは。


 そもそも機関銃なんて弾幕で敵を倒す銃なのだ1発1発を当てたいと思うなら単発で撃つなりそれこそ高倍率のスコープを付けた狙撃銃でも使えば良いのだ。


 ま、そもそもMG42にセミオート機能なんてはなから着いてないからなやりたいならMG32でやるしかない。


 15発に1発入っている曳光弾の光跡とアイアンサイトの照準を参考に横薙ぎに連射し続ける。


 トリガーを引き続けてから数えて37秒と少し、またMG42が沈黙する時には有刺鉄線沿いに倒れていたゴブリンは軒並み物言わぬ肉塊へと成り果てていた。


 その死体の中で運良く生き残って動いているものもいたが動いているだけで這ってすらいなかったまさしく死に体である。


 暗くて部分的にしかわからないが200匹ほどは倒しきれたか?


 倒したゴブリンの数を推し量ってみてはいたが1人でその数のゴブリンを薙ぎ払った達成感より何か喉に引っかかったような違和感を俺は抱いていた。


「本当にこれで終わったのか?いくら何でも予想戦力の10分の1が倒されたっていうのにロードの1匹も出てこない……もしくはさっきまでは近くにいたりしたのか?ここは突破する事は出来ないと判断して別へ移った?リークの誘導はそこまで成功したのか?それとも俺がこう考えることまで想定してまだ森の中で待っている?ああ、クソ!マトモな判断を下せる材料がない!動くに動けないじゃないか!」


 湧き上がる葛藤と怒りで俺は地面を殴りつける。


 跳ね返ってきた痛みで強制的に頭を冷やすと深呼吸を1つしてほのかに赤くなったMG42の銃身を交換する作業に移った。


 銃身のロックを外し右側から銃身を丸ごと引き抜き予め用意していた新しい銃身を入れてまた固定する。


 銃身は連続している弾丸の摩擦熱で少しずつ熱を持ち最終的に溶けてしまう。また、中に刻まれたライフリングも摩耗するためこの後も戦闘があると考えれば余裕のあるうちに新しい銃身に交換しておきたかった。


 外した銃身を消した俺はしばらく悩んだ後リーク達のいる西側の応援に向かおうと考え開いていたバイポットを閉じてから立ち上がる。


 そしてMG42を抱え重たい弾薬箱を持ち西側へと体を向けた瞬間甲高いゴブリンの声が重なりながら森から響き俺が振り返ったときには先程よりもさらに多くのゴブリンが飛び出してきていた。


 それは歪な地形に見えるどころかまるで小さな津波が目の前で起きているかのように思えてしまうほどだった。


「これは完璧に狙ってやがったな!それから戦力こっちに持ってきすぎじゃないか!?リーク達は成功してるんだろうな!?あーもう!とにかく間が悪いんだよ!」


 完全に俺が油断する場面まで待ってからの奇襲、さらに運が悪かったのは移動する為に弾薬を全て外し弾薬箱に納めていた事だった。


 もたつきながらもベルトの端をMG42に装填した俺はそのまま弾薬箱から手を離す。


 弾薬箱はジャラララ!!とベルトリンクを吐き出しながら落下し運良く逆さまになる事もなく地面に着地した。


 だが既にゴブリンは有刺鉄線の付近まで近ずいてきている、伏せてバイポッドを展開してゆったりと狙いを定める時間はまったく残されていないかった。


 俺はMG42の銃身カバーの中程に左腕を添えるとそのまま手当り次第に撃ちまくる。


 前2回の射撃を大きく下回る雑な連射、命中した弾丸より外した弾丸が圧倒的多い事は明確であった。


 だがそれだからと言ってMG42の脅威がなくなるかと言えばそうじゃない。


 ゴブリンの甲高い声をMG42の発砲音が切り裂き、命中した弾丸はたった1発ですらゴブリンに致命的なダメージを負わせる。


 また弾薬が無くなる頃にはどうにか有刺鉄線周りにいたゴブリンを倒しきり有刺鉄線の数ヶ所に小さな山がうまれた。


 再装填をしてさらに撃つ。


 ただ突っ込むだけでも有刺鉄線に阻まれ、少しでも止まればあっという間にMG42の餌食になるという事が分かりきっているにもかかわらず未だにゴブリンは愚直に突撃を仕掛けていた。


 そしてまた200匹を超えるゴブリンが壊滅した。


 有刺鉄線沿いに出来た死体の山は1番高いところでは有刺鉄線を超えそうなほどであった。


 その地獄のような風景をただぼんやりとMG42に弾薬を装填する事も忘れ、眺めていた俺は自分が犯した過ちに気が付き体温が急激に下がるような感覚に襲われた。


「俺は今まで自分が勝っていると思わされていたのか……!この300匹はいるゴブリン全ては捨て駒だ……モナルカはここを何としてでも突破するつもりか……!」


 積み上がった死体の山、それはモナルカやロードが意図して作らせた東側陥落への布石だったのだ。


 その仮定を裏付けるように新たなゴブリンの1団が姿を現した。

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