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双子星の下に響く切削音

 時は僅かに過ぎその日の夜。普段は村人が寝静まり誰も聞くことがない夜に鳴るダスタナの鐘が村に響く頃


「今日はそこそこ明るい、明るさの増減は1週間単位ぐらい、正確には6日単位か……」


 空を見上げると月よりも巨大で存在感のある星が2つ煌々と輝いている。


 地上ではこれから始まる事等知らぬとばかしにさわさわと木の葉がしずかに星の光を浴び夜の会話を楽しんでいる声だけが周囲に満ちている。


 2つの星から降り注ぐ光によって闇のベールは薄れよく見れば人相がわからなくもない程度の視界が提供されている。


「今日は比較的明るいんだがなぁ……フレンドリーフォイヤは絶対にやらないように気を付けないとレティシアは大丈夫なのかな……はぁ、来るなら早く来てくれ……」


 憂鬱な気分になりながらついたため息は未だ星の反射光を拒み漆黒の闇を抱える森に吸い込まれた。


 だがその森も夜が明ける前にはそれどころかさほど時間を置かずに村中に響く音で溢れかえるのだろう。


 現在俺は村の東側、森との間に()()()()()()()()()()()()対して何もない場所で陣取っている。

 後方4メートルには俺の家がポツリと立っておりその更に6メートル後ろに村の門と柵がうっすらと見える。


 だが周りを見渡しても村人は1人たりともいない。

 自分1人でゴブリン程度蹴散らせるとも思っていない、もちろん自分のスキルを過信しているつもりもない。


 まずこの方向には大して重要な防衛対象が存在しない。

 ここにあるのは俺の家と村へと続く簡素な道ぐらい、普段から魔物が来やすいらしいこの方面にはあまり重要な施設や物を配置しておらず目立つものは俺の家と柵程度である。


 代わりにここを守るはずだった予備選力は全て南側へと回ってもらっている。南側には畑があり戦えない人達が避難している北側よりは優先度が落ちるものの主戦場になる西側よりある意味では重要な場所だからだ。

 ここが使い物にならなくなると後々に響いてくる、そのため移ってもらっているわけだがもう1つ、ここに俺1人しかいないのには目の前に鎮座するものが関係してくる。


「あんまりこっちに来てほしくはないんだけどなぁ……リーク達が上手くやってくれたらこいつのキャパシティーオーバーな数が来ることはないはずだが……いやこれでダメなら地雷を置きまくるぐらいしか対応策はないか……」


 後処理が途轍もなく面倒くさくなる最終案をやってしまおうかどうかと真剣に考えそれを却下した俺は地面に伏せ目の前に2脚で立てかけられたダツのような細長いフォルムを持つ銃の銃把(グリップ)を握った。


 その銃は本来そのほとんどが露出しているはずの銃身(バレル)が肉抜きが施された四角いカバーに覆われており細長い角柱を思わせるフォルムになっており突起と飛び出しているのは銃把(グリップ)と銃床だけ銃床は片方の手を添える為に設けられたハンドレストが下へ伸びていて鰭のように見えなかなか特殊な見た目をしている。


 だがそんな特徴的なフォルムだがそれと同等なほど目に付く事があった。

 それはその銃の機関部左側,後方よりの部分から伸びる帯のようなものだろう。

本来そんなものは()()()銃にはない。

 機関部から伸びている帯を目線でたどっていけばその一端は隣に置いている金属製の箱の中へと続いている。


 帯には鋭い頭をマズル方向に向けた7.92×57㎜モーゼル弾が一列になって挟まっている。


 この帯の正体はベルトリンクと呼ばれているもので普通のマガジンよりも遥かに大量の弾丸を装填することができ激しく動くことをがあまりなく連射をする事が多い銃によく使われている。


 そしてこの銃もその例に漏れないがまた一風変わったものなのである。

 たった一丁で何十人という敵をなぎ倒しだがさして重い物を持つこともできない人間が1人で運ぶことができるほど軽量さらに面制圧という点で他よりも優れるその銃は汎用機関銃、平たくいうとマシンガンと呼ばれろジャンルに分類される。


 だがこの銃は連射速度という点でその中でも群を抜いている


 その連射速度は毎分1200発、派生型ともなると1500発にもなる高レートを誇る。


 その連射速度はかのWWⅡ、ドイツへの反攻戦に移った連合国軍が行った史上最大規模の上陸作戦、ノルマンディー上陸作戦で猛威を振るうこととなった。

 ノルマンディー上陸作戦では連合国艦艇及び航空機の対地攻撃によりドイツ軍は上陸作戦が始まる前から敵を一網打尽にすることが出来る榴弾砲や野砲の多くを失っていた。


 激しい対地砲撃に連合国軍は勝利を確信しながら上陸部隊は上陸用舟艇に乗り込み悠々と上陸する()()()()()


 吞気に上陸してこようとしていた連合国軍の上陸用舟艇に砲爆撃を免れた砲達からのサプライズプレゼントが撃ち込まれ次々と船は沈んでゆく。


そのとき迎え撃つ側だったドイツ軍には冗談を言う余裕すらあったほどだ。


砲たちのプレゼントを幸運にも受け取り損ねた船は這う這うの体で上陸したがそこに待ち受けていたのが今目の前にある機関銃であった。頑丈な鉄の装甲に覆われた戦車ならいざ知らず薄いヘルメットを被ることしか出来ない人間は話にならなかった。瞬く間に積みあがる人の山(死体の山)何故か聴こえる布を切り裂くような音、それが射撃音だと気づいた死にゆく者達は最後にこうつぶやいた。


「Hitler's Buzzsaw(ヒトラーの電動のこぎり)」と


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