三大欲求といえば睡眠欲・食欲・あと1つはもちろん……
「行ってらっしゃい、とあいつがいなくなると急に家が静かになるな。
てかさっきまた来るわとか言ってなかったか?これから騒がしくなりそうだな」
外ではダスタナの鐘が鳴る30分前である事を知らせるため通常より高音で鳴らされる半鐘が鳴っている。
「罠の確認に行って来るか。昨日調べたばっかりだから多分なにもかかってはいないだろうがこれと言った予定もない。かと言って家でグータラする気にもならない。それに……あれをヤリたい……こっちに来てから1度もヤれてないんだ。別にあれをヤッタからって咎める人も誰もいない、ただ俺が気持ち良くなるだけだし……何もかかっていなかったらその足で冒険と言う名の周辺を散策するかー」
残念なことに俺には少し依存ぽくなってしまっている行動……いや性癖がある。
別に病気と言うわけではないのだがそれをヤらないと欲求不満に陥ってしまう最早生理現象とも言えるものだ。
それをヤると決めてからの俺の行動は駆け足気味になる。
部屋着としてもお世話になっている貰い物の服からボロボロになってしまっている転生時に着ていた洋服にいそいそと着替え昨日獲ったカヌレの肉を厚めにスライス、魔導具が出せる最大火力を出し鉄板を加熱豪快に焼いたステーキを鉄板から出しもせず齧り付きそして
「熱っ!!」
溢れ出た肉汁の火炎放射に口内を駆け回れ蹂躙された。
「水!水をぐれ!誰もいない!誰がー!ロリ神がもう少しいでぐれたら~!」
口を押さえ床に倒れ肉汁に口、さらに喉を火傷されられながらどうにか水瓶のところまで這っていき
「た、だどりづい……ようぎがない……!」
容器が無いことに気がついた。
仕方なく頭ごと水瓶に突っ込む。
火傷した口を冷たくない常温の水が通り喉を通過していく感覚がありありと伝わる。
「っは。し、死ぬかと思った……まさかあそこまで熱いとは……ヤりたいと急ぎ過ぎたな。急がば回れ、ふーはー……よし落ち着いた」
深呼吸して早る心を落ち着かせる。
「頂きます」
アッツアツに焼け今も加熱され続けているカヌレステーキを火から外し十分に冷ます。
さっきは俺の口を蹂躙した肉汁がまるで俺を包み込むかのように旨味を解き放ちその美味しさが急いで食べるに値したないと分からせる。
なんの調味料も付けずにただ焼いただけなはずなのにここまで美味しくなったことに感動した。
今度はしっかり調理しないといけないなこれはもっと美味しくなる可能性を秘めている。
「……ご馳走」
急いでいたはずの心はすっかり落ち着き平静を取り戻した。
満ち足りた気分で食事の後片付けを済ませテーブルに置かれた2挺の魔改造18cを持ち初弾を薬室に送り込んでホルスターに魔改造18cを収納する。
入念にホルスターに魔改造18cがセーフティをかけた状態で入っていることを再度確認する。
「よし今回はモシン・ナガンにしておくか」
フィンランドの凄腕スナイパー、シモヘイヘが使っていたことで有名なモシン・ナガンを召喚する。
「シモヘイヘみたいにスコープなしで当てれる自信はないからスコープはつけさせてもらおう。さて今まで溜まってきた欲求を満たすか。もう待てん!」
使用する弾薬もフィンランド仕様で7.62×53Rを使うことにした本来赤い国の7.62×54Rのほうが正式なほうだが……そんなことより早く装填した……
そこで俺は気づいた。
「今まで通り装填しようとしたらマガジンに直接弾が入るわけで……つまり普通にやったらクリップ装填が出来ない……あーくそロマンがない!欲求も満たせない!だがまぁ少し面倒だが1から作れば良いか」
7.62×53Rを5発、クリップを召喚してクリップに一発、一発取り付けボルトを後退させ露出したマガジン上部にクリップを当てる。
モシンナガンのクリップはストリッパー・クリップなので弾だけ指で押しマガジン内に装填する。ガラララと7.62㎜弾がマガジンに収まる。
空になったクリップはその場で消し、ボルトを前進させ初弾を薬室に送り込みセーフティをかけた。
「くぅ~これだよこれ!レティシアにはマガジン式のほうが圧倒的にいいとは言ったけどこの装填だけはクリップじゃないと出来ない!今度狩りに行くときはエンブロック・クリップが使えるM1ガーランドを使おう。ガーランドの最後の一発が撃たれると同時に外にはじき出されるクリップが硬い地面に当たったときの金属音ってのは空薬莢のそれととはまた違って良いんだよな。
これのせいで相手に自分の銃が弾切れだってことを伝えてしまうのが玉に瑕なんだがそれも含めてロマンがあってカッコいい!」
言葉に表せない興奮を抑えてふぅと息を吐く。
何はともあれ銃も召還したことだしさっさと狩りに出掛けねば。今日はレティシアがいないのでもしカヌレ以外の物が捕れたら安全のために今回はスルーしないといけない。
だから距離を取って罠の扉部分の留め金を破壊しないといけないしそうじゃなくてもいつも以上に気を配らないといけないのだから罠全部を見て回るためには1分も無駄にできない。
「うわ、なんか一雨降りそうな雰囲気だな……急いで回らないと」
扉を開けてふと見た空は曇り始めていた。




