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獲物は箱罠の中に

「ふむ……こいう罠もあるのか」


レティシアはおそらく初めて見るであろう箱罠を興味深げに観察していた。


「レティシアが気に入ったなら1個あげようか?俺はいつでも作れるから」


俺はスキルで作りまくれるのだからレティシアがほしい分だけ何個でも良いのだが持ち運びも考えると1個ぐらいが妥当だろう。


「良いのか!?ならありがたく頂く村の皆も目を輝かすだろうな、特に鍛冶屋のおっちゃんが」


よほど気に入ったのかレティシアは目を輝かせ尻尾を左右にフルフル揺らしている。


その可愛らしい姿に俺も思わず微笑んでしまう。


「わかったでもまだ罠の確認が終わってないから、箱罠は帰ってから同じものを渡すよ。罠はそのままで良いから次に行こうか」


二つ目はここから北西に進んだ所にある。大体歩いて4分ぐらいでつくだろう。


「ねぇレティシア、村でなんか困ったこととかない? 俺が解決出来そうなものは協力したいんだけど」


今後の交流の糸口になればと俺はレティシアに村で困っていることについて聞いてみる。


「んー、困ったことか……あえて言うなら井戸だな。村には井戸があって、子供達が大人達の代わりに朝に水を汲みに行っている。だが使っているのが桶にロープが付いているだけのもので大人は良いが子供が扱うには少し重労働なんだ」


井戸か、日常的に使うものだし大人達の代わりに手伝っている子供の為に、軽い力でも扱えるようにしてやりたい。


「その井戸、滑車って付いていないの?」


ふと気になってレティシアに滑車の存在を聞く。


「かっしゃってなんだ?」


滑車は知らないか。それとも滑車という言い方がこの世界では通じないのか?

ならこの世界にありそうなもので想像しやすいものは……


「そうだ、馬車に付いている円形のものだよ

こう円形で転がるやつ」


正確に言えばそれは車輪なのだが、何となくイメージはわくはずだ。これで通じるのか……


「ああ、あれのことか。そんなもの付いていないが?そもそもロープにそれをくくりつけたところで重りにしかならないぞ?」


うーん……伝わりはしたけどやはり滑車というものは存在しないようだ

そりゃ大変だよな。かのアルキメデスが作り上げた滑車がないと。あれがあるとないとでは負担が全然違うからな。てかなんで車輪はあるんだよ。


「付いてないか……ちなみにその井戸、上に雨避け用とかで屋根って付いてる?」



暇なときにやっていたネットサーフィンのおかげで各分野のある程度の知識は身に付いてるのだが建築に関しては完全に専門外だ。あれは知識だけではどうにもならないことが多すぎる。実際に経験を積まないととても出来そうにないことが山ほどあるからだ。もし付いてないなら村長にでも頼んで建ててもらおう。


「屋根は付いているぞ」


それは好都合、改善までの時間が大幅に短縮できる。


「わかった、今度村長に許可をとって改善してみるよ」


そもそも村の中だから村人が入れてくれるかもわからないけがそこはどうにかするしかない。

結局は地道に努力して認めてもらうしか方法はないのだ。


「さてと、そろそろ次の罠に着くはずなんだけど……レティシアどうしたの?」


急に止まったレティシアは無表情でフカフカの毛に覆われた耳をせわしなく動かしている。


「おい龍之介、なんか音がしないか?」


レティシアが袖を引っ張りながら言うので俺も耳を澄ませてみるが聞こえない。


「どこら辺から聞こえる?俺にはまったく聞こえないんだけど」


「あっちの方からなんだが……」


レティシアが指を指した方向に向かいながら耳を澄ませていると確かに聞こえた。

あっちの方向には俺が設置して箱罠がある。


「これは多分罠に何かかかっていると思う」


走って物音のする方に向かうと俺が仕掛けた箱罠の中に牙が以上に発達した体長1.3mほどのイノシシがいた。


改めてレティシアの耳の良さに舌を巻いているとレティシアが前に進み出てきた。


「これは、カヌレだな、ここら辺ではよく獲れる奴で魔物だが美味い」


そう言うと剣を引き抜き罠の方にさらに近づく。


「待って!レティシアなら別に危なくはないと思うけどここは俺にやらせてくれないかな?」


「良いがどうしたんだ?」


振り向いたレティシアは不思議そうに尋ねてくるが素直に戻ってきてくれる。


「少し試したいことがあってね。折角の罠で捕まえた獲物だし実験には持ってこいだからね」


レティシアと場所を交代して罠から10m程離れた所で足を止め腰に二挺分付けておいたホルスターの内1つから俺が作った魔改造銃を1挺、引き抜く。


「珍妙な剣だな、だがそこからじゃ届かないと思うぞ。しかも刃が短すぎる、それではカヌレを突けないじゃない」


この世界に銃がないからなのかそれともレティシアが見たことないだけなのかどちらなのか。


「突く必要はないよ、これは遠距離から相手を攻撃するための物だからね」


「ならどうやってカヌレに攻撃するんだ?」


銃剣に目をつけたのは凄いがレティシアの反応を見る限りレティシアは銃の存在を知らないようだ。

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