第二章 過去の話(3)
夏休みが終わり新学期に入ってすぐ俺にとって大事件が発生した。
恥ずかしい話だが、正直、俺は自分のことを内心そこそこイケメンだと思っていた。
小学校の時からちょくちょく「○○ちゃんお前のこと好きみたいだぞ」とか友達から言われていたし、中学になってまだ半年も経ってないのに告白だって1度された。
それ故に彼女がいた事もないのになぜか自分は意外とモテるという謎の自信があった。
それに彼女だって告白された時にそれを受けていれば居たということになる。
だが告白は断ったのには理由があった。
それは俺には小学5年生の時から好きだった子がいたからだ。
俺は恋愛において妥協するのは良くないと思っている。
やはり、付き合うなら自分の好きな人と付き合いたいし、他に好きな人がいるのに妥協で他の人と付き合ってもその人にも失礼だと思う。
この俺に好きな人がいるということもグループのやつらとその告白してきた子にしか言ってなかった。
これまで大っぴらにはしてこなかったのはやはり気恥しさがあったからだった。
そんなトップシークレットな俺の好きな人の名前(七瀬)を縦島はあろうことか廊下の真ん中で大声叫んだのだ。
周囲はざわめきだし、俺の好きな子と仲の良かった子が走って、七瀬にこのことを伝えに行っている場面も目撃してしまった。
恥ずかしさのピークに達した俺は急いで移動教室へと向かい、机で突っ伏した。
授業が始まったが俺は顔を一切上げることなく1時間を過ごした。
俺の好きな人の話題は思っていたより長く続いた。
俺の好きな人の話題が終息する前に一つ、大きなイベントが目前に迫っていた。