第捌話 魑魅
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僕らは魔王城へ戻ると僕はンダボレアに「ずっと気になってたけどボクレミス=エヴォイトって誰だ?」
それを聞くと魔族組はムッとした顔でこっちを見た。
まあ、多分聞いちゃダメな事だったのは今更だが思った。
「いいことを教えてやろう」上から聞こえた声はそう言う。しかし、魔族組は上をクッと見上げ「何故貴様が」と一言こぼした。
「ンダボレア、誰?」
「ミコト、今すぐ逃げるのだ。こいつはお前を取り込む気なのだ」
「やだな、俺はその子と共存したいだけ」
「ふざけるでない、貴様はそう言い人、いや聖霊も喰らっておろう」
「聖霊を……喰らう!?」僕は、驚いた。しかしいつになくンダボレアはキレている。それは、あふれ出るオーラで分かった。
そして、ンダボレアが喋っている相手は古竜を超える化け物だということを悟った。
「なんですかこれ」バレが声にもならない声を出し言う。
僕は何かと思い後ろを振り向くとそこには少なくとも百以上はある腕を持ち二つある頭でにやけている化け物がいた。
「フフッ、死にたくない?」その化け物はバレの首に尖った爪を当て言う。
「ジョリゴリストス、やめろ。それ以上するなら貴様を殺す」
「君程度に殺される程落ちぶれてないわよ」そいつはもう一つの頭でこちらを笑いながら睨む。
「ならば、試してみよう。【最高方術 護符 靈郷祓反転】」というと化け物の周囲をお札が囲んだと同時にそのお札が焼かれた。
「腕を上げたわね、ボクレミスちゃん」
「何をしたのだ」
「別に核を破壊しただけよ」
「デタラメを核は私の心臓の中なのだ」
「いいえ、確かに破壊したわ」そう言い指をパチッと鳴らすと途端にンダボレアの口から大量な血が噴出した。
その後のことはあまり覚えてない。何せ僕はその場で魔力を制御できずソレを放出した。
「御主人様、御主人様!」少しずつバレの声が聞こえる。
「ん…ここは?」
「起きたのか?」
そこには、ブレミクセさん・バレ・そして賢者エゴノミクストがいた。
「なんで」僕が口を開けると同時に“あまり喋るな傷に触るじゃろう”と言った。
「にしてもよく魑魅とあって生きているとは」
「ちみ?」
「ああ、魑魅じゃ。奴らは他者への恨みや死後の後悔から生まれるのじゃ。それを封じるのが方術じゃ」
「方術?」
「おぬしも見たじゃろう。ンダボレアの方術を」
「あの、靈郷祓反転ってやつ?」
「そうじゃ、まさか現代魔法が浸透したこの世にまだ方術を使えるものがいるとは驚きじゃ」
「珍しいの?」
「まあ、低位の方術使いは居ても方術師などいるものではない」
「まあ、それはそうとンダボレアと魑魅は?」
「お主覚えてないのか?」
「ん?」
「どうやら本当に覚えてないようじゃな。バレリントスよ説明しろ」
「なぜ、あなたに指図されないといけないのか。まあ説明はしますけど」バレは少し愚痴を言いつつも僕に説明してくれた。
バレの説明を要約するとこんな内容だった。
まず、ンダボレアが血を吐き倒れた。
しかし、僕はそこで自身の魔力の制御を失い怒りに身を任せ妖術を発動したらしい。
元来、妖術というのは魂に刻まれているもので自分ではどんなものかを確認はできないが感情に任せると出ることがあるらしい。そして、妖術なるものは生まれつきのもので後天的に妖術が使えることは稀の稀だという。
そして、ンダボレアは今別室で寝ているらしい。
傷は回復魔法で治したらしい。
「んで、結局ここは?」
「あっ、ここは魔王城の客間です」
「ああ、言われてみれば僕が止まってた部屋と同じだ」
「後、気になってたんだけど魑魅は?」
「残念ながら逃がしてしまった」
「なんで、エゴノミクストが、さも自分のせいみたいに言ってんの?」
「それは、吾輩がここへ戻り貴公の命運の書を呼んでいた時のことだった」
「なんで僕のを?」
「なぜか、それは吾輩の干渉が強すぎたためその後がどうなるのか調べようと思っていてな。そこで、吾輩は魑魅が出ることを知った。そして、また吾輩は干渉しすぎた」
「どう干渉したの?」
「吾輩は魑魅に対し方術を発動した。しかし奴はバレリントスを人質とし吾輩の方術から逃げよった」
「一つ疑問なんだけど方術って人に害は?」
「それは人による。厳密には方力によって影響を受ける。多ければ受けるし少なければ人体に影響があるほど受けるというのはまずありえない」
「てことは、方術師と方術師で戦ったら」
「もっともな疑問だ。しかし方術師は方術に対する耐性を取得していることが多い」
「なるほど、というかエゴノミクストがバレを巻き込まなかったってことは方力があんの?」
「ああ、この者磨けば光るぞ」
「てことは、方術使えるってこと?」
「ああ、魔法適正はあまりないが方術の才能は有りそうじゃ」
「あっ、バレって魔法使えない感じ?」
「…はい、私は魔法はめっぽう無理で」
「そこで、バレには方術を習ってもらおうと思うんだけどどう?」
「方術、ですか」
「なんか問題あった?」
「いえ、うちの家系は皆が魔法が使えるのですが私は使えないため家族にはあまり良い顔をされなかったのです」
「じゃあ、あのでっかいドラゴンは?」
「ああ、ドラゴエボスさんですか?」
「そうそう、会ってなさすぎて名前忘れてたや」
「あの方は親戚です。家系図的に言うと私のお祖父様になりますね」
「ドラゴエボスは何でバレのことを受け入れたの?」
「あの方もまた魔法の使えないドラゴンです。しかし、それに見合うだけの権力と富と秘術を持っておられましたので」
「秘術?」
「はい、ドラゴンには秘術と呼ばれるスキルと似たような生まれつきのものがあります。そして、僕は人化だったわけです」
「ってことは、普通のドラゴンって人の姿には化けれない?」
「稀に同じような秘術を持っている方がいますが確率は三千匹に一匹なので基本的にはいませんね」
「あっ、そういやヴォンエリにスキル、教えて貰うんだった」
「そういえば、そんな約束していたな」
「うわっ、ビックリした。というか居たんだ」
「いえ、この空間には居なかったですよ」
「てことは、あのスキル?」
「そうです、まずは適正を見ましょう」
「ミコト、がんばるのじゃぞ~」
「御主人様、私は方術を習いにいきます」
「はいはい、頑張ってね」
「はい!御主人様も頑張ってください」
「そのつもり」
そう言って、僕らの稽古が始まった。契約通り僕が魔法大学に入学するまで僕はヴォンエリにスキルをバレはエゴノミクストに方術を習った。
=============稽古一日目=================
「まずは、ミコト様のスキル適正を見ていきます」
「なにすれば良い?」
「それでは、この水晶にさわってください」そう言うとヴォンエリは懐から色違いの水晶を三つ取り出した。
「それが?」
「はい、この青色が移動系スキル、そして、この赤色のものが攻撃系スキル、最後にこの白色のが空間操作系スキル、となっています。そして、水晶達に触れ明るく光ったものが貴方のスキル適正です」
「じゃあ、触るよ」僕は一声かけて青色、赤色、白色と触っていた。
結果は移動は適正あり、攻撃は適正なし、空間操作は適正抜群。
最後の適正抜群というのは水晶の光り方がちがう時に使われる言葉だという。
「ふむ、これなら私のスキルであればすぐにでも使えるようになりそうですね」
「えっ、ほんとですか!」
僕は、嬉しくて思わず声に出した
「ええ、多分ミコト様であれば習得は早いと思います」
「まあ、まずはイメージを掴んでもらいます」
「イメージ、というと?」
「私のスキルは空間を新しく作り指定したものや人をその空間に閉じめるスキルです」
「つまり、その場に部屋を作るイメージですか?」
「そんなところです」
「まあ、何はともあれ一度見ていてください」そう言うと、前と同じようにパンッと手を叩いた。
すると、また僕は部屋に入れられた。
「これが、私のスキルです」
「一つ聞いても良いですか?」
「なんでしょうか?」
「ヴォンエリさんっていっつも手を叩くじゃないですか。それって必要なんですか?」
「いえ、単に私がイメージをしやすくするためにやっているのでやらなくても発動は出来ますよ」
「なるほど、では僕も一度」
「やってみてください、練習無しで」
「はい、まずイメージすれば良いんですよね?」
「はい」
僕は、そこに一つの部屋もとい空間を想像した。
すると、僕が想像した通りの部屋が出来た。
「流石です、やはり才能がありそうですね」
「才能ですか!」
「しかし、少しこれでは強度にかけますね」そういうと、ヴォンエリさんはナイフをポケットから出しそれで思いっきり壁を切った。
すると、壁は真っ二つに切れた。
僕が愕然としているとヴォンエリさんが、どちらにせよ、しごきがいがありそうですね、と言った。
「ほどほどにしてくださいよ」
「それは、ミコト様の出来によります。まあ貴方なら大丈夫でしょうが」
「そうですか」
その頃、バレはというと…
「まずは、基礎の方弾だ。これを応用するから必ず身に付けるのじゃぞ」
「なるほど、では、方弾を作りだせばよろしいのでしょうか?」
「そうじゃったな、まずは方力を安定させるのからじゃったな」
「方力を安定?」
「ああ、まずは手のひらの上にボールを作るイメージで。ボールを作る時は体の奥にあるカップの中の液体を体の奥から引き出してくるイメージだ」
「カップを引き出す?」
「そういうことだ、まず自覚しろ」
「自覚自覚」と唱えていると自分の奥に器があるのがなんとなくわかった。それを体外に出して球体とする。
そうすると、バレの目の前に青白いボールのような何かが出来た。
「おお!できてるではないか!」
「これが、そうですか?」
「まだ、ゆがんでるな。これが安定して出来る様になれば次のステップに行けるの」