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第漆話 賢者と古竜

古竜とは人間が神より魂を賜る以前より神より賜りし際限無き力で生態系の頂点に立っている生物である。

そして、その力は一千年に一度この世を統治するためのみに行使されてきた。しかし、そのサイクルを崩す事態が起きた。そう、異世界より来たれし『勇者』なるものの召喚だ。

『勇者』は世界間を渡る時この世ならざる力を持ち生まれてくる。

そういう者が召喚されると古竜は即座に召喚された国へと飛んでくる。 

また、古竜が危険だと判断した者が現れた場合にも飛んでくる場合がある。

   ~~~~~~~~~~~~~~~~~

「で、貴女は何者ですか?」

「貴公は僕を何者だと思う?」

少しふざけた口調でその人形のような顔立ちの少女は言う。続けて、古竜、いや彼らは何を目指しているのか

と言う。

「何?何を目指してるかだと?」

ンダボレアが少しキレ気味に言った。

「ああ、魔王ンダボレア=マジク=エレキデスいやボクレミス=エヴォイト」

「何故その名を」疑問というより憤慨しているように見えた。

そして、その場の空気も凍り付いた。

そんな時だった。

古竜が魔法を放った。その魔法は【エルゴリッジ・フォールダウン】相手に物凄い圧をかけ潰す魔法だ。

僕らはかろうじて結界によって一命は取り留めたものの半数以上は戦闘不能にさせられた。

戦えるのは僕、ンダボレア、『僕』と呼ぶ少女、バレだけだった。

「御主人様、お逃げください」

「バレの方が重症だと思うけど?」

「確かにそうですが」そう言いながらバレが血を吐いた。

これは、バレも戦闘不能と考えるべきだな。

「バレリントス、お前は退いとくのだ」

「ですが」「お前が居ても足を引っ張るだけだ」バレが答えるより先にンダボレアが言い放った。

「……分かりました、どうか御武運を」

「任せときな、バレも気を付けて」

「さてと、彼らのご到着だ」

しかし、古竜は後ろに控えている少女のことを見るなり「賢者エゴノミクスト、なぜ此処に?」と言った。

「ふっ、貴様らこそ何故ここに来た?」

「決まっているであろう、そこの少年を殺しに来たのだ」古竜の群れの一番前にいた古竜が僕のことを指さしながら言った。

「成程、確かにこの少年は異質だ、しかし使い方次第では貴様らの味方になるやもしれんぞ」

「馬鹿を言え、我らの味方になるような者が今までいたか?」

「吾輩がいるではないか」

「エゴノミクスト、貴公も老いたものだな」

「貴様が言える口か?」

「では、その少年自身に聞けばよい。それを断ったのなら貴様らの言う通り殺せばよいだろう、しかしその申し込みを受諾したのであれば生かせ」

「よいだろう、そこの少年貴様は我らに手を貸す気はあるか?」

古竜はあえて、声のトーンを一つ下げて言った。

「ああ、あなた方に手を出さないことを約束しよう」僕は古竜が言い終わると同時に言った。

僕がこれを受諾したのには理由がある。今現在の状況を鑑みると手数は増やしておかねばまずいものがある。

「なに!?手を貸すというのか?何故貴様が」古竜が続けるより早く賢者エゴノミクストが言う。

「貴様らの思っているほど人間は愚かでもあるまい」

「なるほど、貴公は分かっていた、ということか」

「ああ、この少年の立場であれば吾輩もそうするであろう」

「さて、少年よ名を聞こう」

「ミコト、ミコト=イグナスだ」

「そうか、我はエゴバレ、エゴバレ=フォーリンだ」

「よろしくな、エゴバレ」

「ああ、我の友ミコトよ」

「ミコト、お前…すごいな!」

「え?」

「だって、私も会ったことがない古竜と友達だろ!」

なんか、物凄い勢いでンダボレアが言った。まあ、魔王ですら会ったことのない古竜と友達だから凄いのかもしれないがそれにしてもはしゃぎすぎだろ。例えるならそうプレゼントを貰った子供みたいだ。

「さてと、吾輩は書庫に戻るとするかの」

「いやいや、ちょっと待とうな」

「なんじゃ?吾輩に恋したか?」

「そんなんじゃないから」

「それなら、うーんそうじゃな~。知恵を貸せとかそんなのかのー?」

「まだ、そっちのが近いな。賢者エゴノミクスト」

「ふふっ、やはり吾輩の存在は世界を超越しているとということか」

「なに勝手に納得してるんだよ」

「なに、この前見た命運の書とは違う会話だったからの」

「めいうんのしょ?」

「ああ、命運の書だ。見た方が早いと思うが?」

「あるのか?」

「ああ、今すぐ出せるぞ」

「なるほど、それが命運の書か?」

僕はエゴノミクストの手にあった金色の表紙に赤色の紐で縛られている本だった。

そして、エゴノミクストが本を見ながら、青色のページは見るな。と言った。

「もし見たら?」

「この青色に染められたページはこれより先、詰まる所、未来というわけだ」

「未来…だと」

「ああそうだ、未来を見ればその者のオリジンが破壊される。いわゆる、死だ」

「なるほど、だがエゴノミクスト、今の説明では矛盾が生じる」

「矛盾だと?」

「ああ、エゴノミクスト、お前は先ほど“命運の書とは違う会話〟と言ったな」

「ああ言ったとも」

「つまり、お前はこの青色のページが見れたということだな」

「そうだ」

「では、何故お前は死なない?」

「なるほど、流石だな。そうだ、吾輩は未来を見たとて死ぬことはない」

「なぜだ?」

「答えは簡単。先ほど吾輩は‟世界を超越している”と言っただろう」

「なるほど、お前は世界の理、いや神が定めし掟から逸脱しているということか」

「その通り、よってこの後何が起きるかも予測済み。しかし、吾輩が干渉すればその運命は変わる」

「なるほど、ではお前が干渉した僕の運命は変わるということか?」

「もう既に」

「そうか、ではそのことを踏まえてその本を見せろ」

「……分かった貴公に見せてやろう」

そう言うとエゴノミクストは僕に本を手渡した。

その本の中には僕のとった行動が事細かく記されていた。

そして、一番驚いたのは僕の思考まで書かれていたことだ。

例えば、エゴノミクストを誰だ?と思ったこと等々だ。

「どうだ?」エゴノミクストが声をかけてきた。

「ああ、凄いな」

「ちなみにこの本はこの世に存在する吾輩以外の生物にあるのじゃ」

「なんで、お前の本はないんだ?」

「簡単だ、束縛より開放されたからだ」

「束縛?」

「そうじゃ、人に限らずすべての生物には枷が付けられている」

「枷とは?」

「例えば、死や魔法の適正なんかがまさにそうじゃ」

「つまりは?」

「では、皆が制限のない力を持たせるとどうなるか。それを防ぐための枷じゃ」

「つまり、神に刃向かわないようにするための制御装置と?」

「ああ、その通りだ。しかし、吾輩はその枷を壊しほとんど自由になった。しかし、それでも魔法の適正を変えるのだけは叶わなかった」

「なぜ?」

「簡単だ、そこだけが異様にロックが固かった」

「なんでそこだけ?」

「例えば、死を克服したとて神への実害は殆ど無いに等しい。しかし、魔法の適正を変えられた場合神の絶対領域に侵入する魔法を開発し自分達に危害を加えるものが出てくる可能性がある」

「なるほど」と僕が納得しているとエゴバレが声をあげた。

「すまないが我らは里へ帰る。また会わぬことを願って」とよく分からない別れの挨拶をし来た方向へと帰っていった。

「会わぬことを願って、ってどういう意味?」

僕が聞くとンダボレアが答えた。

「考えてみよ、古竜が来るそれすなわち厄災の時、と言うわけなのだ」

「ああ、つまり厄災が起きませんようにって意味ね」

「ああ、そう言うことだ」と少し悔しそうな感じでエゴノミクストが言った。

そんなこんなで話していると周りの倒れてた組が起きた。

「じゃあ、私はここで帰るのだ」

「じゃあ、僕も乗っかろ」

「物理的にか?」

「いやいや、一緒に帰ろうって話」

「ああ、少し安心したのだ」

というか、マリってどうなってだろ?

「まあ、そう言うわけなので」

「ふむ、ではさらばだ若き英雄よ」

「?まっいっか。じゃね」

僕はこの後知ることとなるこの“若き英雄”ということの意味を

読者の皆様、明けましておめでとうございます。

今年もメイメイをよろしくお願い致します。

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