第陸話 終わりと始まり
今回も読んでくださりありがとうございます。
予約の設定が上手くいってないようで週一ではなくなってしまっています。
すみません
僕らは、別れた後魔王城な付属している庭園に行った。
「バレ、落ち着けた?」
「はい、先程は取り乱してしまいすみません」
「まっ、落ち着けたなら良いや」
「とはいえ、魔法師教会を倒せたのは良いですがあちらには帰れませんね」
「だね、魔法師教会を完全に敵に回したからね」
「それはそうと、先程から何者かがつけてますね」
「そうなの?」
「ええ、私達が食堂を出た辺りからです」
「嘘!えっ、マジでそんな前からつけてたの」
「間違いありません、今までは気配が薄かったので断定出来ませんでしたが今さっき気配が濃くなったので」
「流石バレ」
「それより、相手が敵か味方か聞く必要が」
「分かった、それは僕が聞く」
「よろしいのですか?」
「ああ、多分僕の客だから」
「分かりました」
「もしも~し、そこに隠れてるリヴァイヤサンの人。聞こえてる?」
「ああ、聞こえている。何か用か?」
「用って言うかあなたは誰?」
「まあ、そこまでバレているならこれ以上隠れている意味もあるまい」
「話が早くて助かる」そう言うとトカゲっぽい人が出てきた。
「我は、魔王ンダボレア=マジク=エレキデス様の遣い。そなたらを監視するよう仰せつかった」
「あいつ、後で問い詰めておこう。と、そんなことは良いとして、名前は?」
「我は、フォルヴァーン=エレゴン。そなたの言う通りリヴァイヤサンだ」
「やっぱそうか」
「御主人様、分かっていたのですか?」
「いいや、バレに言われて気付いただけ」
「にしても、種族まで言い当てるとは流石です御主人様」
「これも、僕の力でもない。ンダボレアからリヴァイヤサンの忍がいるって聞いたから」
「なるほど、流石魔王様のお認めになられた人だ。その程度の情報で我の正体を見抜くとは」
「ホントは自分の力です!とか言ってみたいけど」
「そう言えば、フォルヴァーンさんの姿が全然見えませんが?」
「目の前にいるぞ」
そう言うと、フォルヴァーンはバレの目の前に移動した。
「うわっ、ビックリしました。ホントに止めてください。心臓に悪いんですから」
「すまぬな、バレとやら」
「バレ、ではなくバレリントスです」
「そうだったか、すまん」
「それより、僕はこれから用があるから行きます」
「分かりました、御主人様」
「じゃ、気を付けて」
僕はそう言い魔王ンダボレアの部屋に行った。
「ンダボレア、いなくない?」
「貴方がミコト=イグナス様でしょうか?」
「はい、そうですが。あなたは?」
「私は魔王様の第一補佐官、ヴォンエリ=ネブリと言います。以後お見知りおきを」
「これは、丁寧にありがとうございます」
「それでは、魔王様の方へ行きますか」
「よろしくお願いします」
僕がそう言い終わる前に第一補佐官のヴォンエリはパンッと手を叩いた。すると、先程まで机とベッド程度しかない部屋から豪華な椅子と机がある部屋に転移した。
「よう、ミコト」
「これは?」
「簡単に言うと魔法みたいなもの?」
「いえ、これは何度も言っていますがスキルです。魔法とは違います」
ヴォンエリガ冷静にツッコミをかましたが結局よくわからずじまいに終わった。
「それで、何の用?ただの話ならあっちでやってもいいと思うけど?」
「ただの話ではないのだ。特に魔法師教会とかいう馬鹿に聞かれたら困るからなのだ」
「つまり、魔法師教会に関係する内容と」
「物分かりがいいのだ。流石、聖霊女王と聖霊三王と契約を交わした身なのだ」
「それ、ここにも広まってたの?」
「最近の話題はこればっかりなのだ」
「マ、マジか」
「マジなのだ。それより本題に入るのだ。」
「魔法師教会の奴らの動向が不自然だったから探りを入れてみたのだ」
「それで結果は?」
「ミコト、お前、前に家族を殺されてないか?」
「何でそれを!」
「やっぱりか」
「ごめん、取り乱した」
「いや、ミコトがそこまで驚かないのが不思議なくらいだぞ」
「で、殺されたのが?」
「殺したのは魔法師教会の傘下にある聖典の奴らの仕業だったようだぞ」
「せいてん?」
「そうだ、魔法師教会は陽光聖典と暗黒聖典の二つの聖典の下に四つの聖典がいるみたいなんだぞ。で、その中の火炎聖典がミコトの家を襲撃したみたいだぞ」
「なんで?」
「そこまで情報が入らなかったのだ。何せ教祖とかいうのの意向とかいう話なのだ」
「わざわざ潜入までして探らないといけない何かがあったの?」
「まあ、あるにはあったのだ。しかし、半月前に処分されていたのだ」
「半月前?なんか引っかかるな」
「私もそう思って調べようと思ったのだがその調査をしていたのが行方不明になってしまったんだぞ」
まあ、完全にヤバいのを調べようとしてたわけか。
まっ、何となく分かってたっちゃ分かってたけど。
「あっそうだ、僕多分もう人間の方はいけないと思うけどどうなの?」
「まっ、予想通りだぞミコト。今、人間どもの方ではお前を殺すための特殊魔法を開発中とか聞いたから用心するに越したことはない。そこで、うちの魔法大学に入ってほしいのだ」
「いいの?」
「何をいまさら、わざわざお前のために軍を率いたのだ。大学くらいどうってことはない。あと、居住地だがここの客室を使うと良いのだ」
「あと、なんでリヴァイアサンの忍なんか」
「お前の身を思ってだ」横に現れたヴォンエリが一言そういいまたどこかへ行った。
「そうなのだ、ミコトを狙っている魔法師教会の奴らがいつ此処へ攻めてくるかわかったものではないからな」
「なるほど」
「じゃあ、ヴォンエリ解除していいのだ」
「はっ」ヴォンエリは短くそう言い先ほどと同じく手をパンッと叩いた。
すると、また机とベッドくらいしかない部屋に戻った。
「ねえ、此処ってンダボレアの部屋?」
少し気になっていたので聞いた。
「いや、此処は負傷者治療用の部屋なのだ」
「やっぱそう」
「じゃあ、私はこれにて」ヴォンエリが言うとンダボレアと手を繋いでどこかへ消えた。
「御主人様、マリ様が魔王城の門番と戦闘しております」
「はぁ~」僕は思わずため息をついた。まさか、そこまで馬鹿だとは、想定外だ。
「どういたしましょう?」「放置」バレリントスが聞いてきたが即答。
「バレ、僕部屋戻るからなんかあったら来て。というか、どこに泊まるか聞いてる?」
「はい、ここの客間を貸していただけるとか」
「うん、分かってるならいいや」
僕はそう言って部屋に行き燭台のある机に座り燭台に蠟燭をおいてライターという魔道具を使って点火して魔法の本を読んでいた。やはり魔族の本は、というより魔族の生活自体が質が高い。
魔法創造のページまである。人間の本では空間魔法しかなかった。
空間魔法は最底辺の魔法で最高位の魔法が源流魔法なのだが、その中間の魔法が二つある。上から一つ下が宇宙魔法、もう一つ下が世界魔法というのが基礎的な魔法で、その応用として魔法創造等がある。
まあ、これ全部身に付けるには二千ページ以上は読まないといけないが。
というか、空間魔法も人の本の倍近くある。
流石魔族、と終始感心していた。
そんなことを考えているとノックが聞こえたので「はーい、誰?」と聞いた。
「我は、フォルヴァーンだ。そなたに来て貰いたい」
「何か?」
「それは後で話す、我の手を掴んでいるだけで良いぞ」
というか、毎度毎度気配を消すの止めてほしいのだが。
急に前に出てくるのは流石にビックリする。
「まあ、今は聞かないでおこうかな。で、手を掴めば良いの?」
「ああ」そう言われたので僕はフォールヴァーンの手を掴んだ。
すると、いきなり城下町に出た。
「えっと、どういうこと?」
「我のスキルだ。あまり気にするな」
「それって、僕も使えるようになる?」
「そなたの適正なら後で見てやる」
「ありがとう」
「礼には及ばぬ、まだ見てやってない」
「そう?で、用ってのは?」
「あれを見てほしい」
「あれって、何?」
「見えぬか?前に三千アルのところにあるのだが」
「…多分普通の十四歳には見えないと思う。しかし、千里眼を使えば別だ」
「ならば、早く使え」
「ごめん、余興が長すぎた」
ちなみにこの千里眼という魔法、三千九百二十七アルまで見ることが出来る魔法だが、場合によっては眼力を使った方が良かったり。
そして、僕は千里眼を発動して例の『あれ』があるという前方三千アルを見た。
「見えたか?」
「ああ、まさかとは思うが」
「そうだな、もし奴らの仕業なら行動が早すぎる」
「何があったのだ?」
「これは、魔王様。すみません、これは先にミコト殿に報告すべき内容かと」
「それで、何があったのだ?」
「はっ、北より古竜の群れがこちらに向かい時速三百アルで」
「なんだとー!」ンダボレアが大げさに言う。
「で、どうする?」
「さあ?私にはどうしようにも」
「やっぱそうか」
「御主人様、あれは?」
「古竜の群れ」と短く言う。
「…、それはかなりまずいのでは?」
「ああ、下手に動けばここら一帯が焼け野原になりかねない」
「次から次へと悪運が強いのか運がいいだけなのか」
後ろで誰かがぼやいた。
声からしてブレミクセさんではないとなれば念の為にも聞くべきだろう。
「すみません、貴女は?」
「ん?僕ですか?」
「あなた以外にいます?というかあなた男だったんですね」
「いえ、僕は女ですよ」
「ん~?まっ、ややこしいし考えずにいこうかな」
もう、年明けです。読者の皆様は如何してこの一年どう過ごされましたでしょうか?
私はお恥ずかしながら基本的にグータラな生活を送っていました。
次回も読んでくださるとありがたいです。
では、皆さん良いお年を~。