第肆話 知り合いの知り合いの魔族
今回も読んでくださりありがとうございます。
そう言ってまたテレポートで寮まで帰り荷物を持ったときの出来事だった。
「ねえねえ、私のこと連れてく気はなーい?」
後ろから、聞き覚えのある声が聴こえた。
「その声は、ニコンさんのお姉さまですか?」
「そうだよ~、名前はマリ=デヴァン。よろしく」
「まだ、貴女を連れていく気にはなっていませんよ」
「なら、聞き方を変えるわ。優秀な魔法師は要らない?」
「是非ともほしいですね」
「なら、契約成立~」
「ミコトさん、帰ってきましたよ?」
「ブレミクセさん、お帰りなさい。この方はマリ=デヴァンさん。一緒に旅をする方です」
「なるほど、分かりました」
「さてと、位置だけは把握しました。後は、よろしくお願いします。」
「分かりました、ところでマリさんは旅の用意は?」
「これに詰めてあるわ」
そこに出したのは一つのポーチだった。
まあ、僕は本で読んだので察しはついた。
「?」
ブレミクセさんは相変わらず此方の道具などは見慣れないらしい。
「多分、アイテムポーチというアイテムではないかと」
「よくわかりましたね」
「本はよく読むもので」
「まあ、これで問題なしですね」
「では、行きましょう」
「そう言えばマリさんはフライ使えるんですか?」
「私はこれです」
そういうと、横から箒が飛んできた。
「なるほど、魔法の箒ですか」
「こちらの方が自分が疲れないので」
「とりあえず、早く出ちゃいましょうか」
「ええ」「そうですね」
「御主人様、私は如何しましょう?」
「とりあえずはいつも通り影で付いてきて」
「はい、分かりました。ですが、私が運んだ方が早いのでは?」
「バレが出たら騒ぎになるだろ」
「あっ、そうでした」
バレリントスはテヘッと舌を出してみせたがお前がやったところで男だから萌えないって。
というか、出発まで時間かかりすぎだろ。もう、十分くらいこのやり取りやってるぞ。
まあ、仕方ないかと割り切り改めてフライで飛んでブレミクセさんの案内によりどうにか例の魔族の人の家まで到着した。
「すみませ~ん、ギッマソスさんいらっしゃいますか~?」
「何でしょうか?私に御用ですか?」
後ろから甲高い女性の声が聞こえた。
「貴女がヴィルヴァントリ=ギッマソスさんでしょうか?」
振り向くとそこには緑髪の角の生えた女性が立っていた。
「いえ、私ではなく主人の名前ですね。主人のお客様ですかね?」
「まあ、そんな感じですね」
「とりあえずお入りください」
僕は、客間に通されそこでヴィルヴァントリさんを待つことにした。
「意外とかかりましたね」
「まあ、確かに此処まで来るのに六時間はかかってますしね」
「私寝てもいい?」
一人、能天気な奴がいた。
そう、マリだ。
「貴女、もう少し考えたらどうですか?」
ブレミクセさんの声越しに怒りがひしひしと伝わってくる。
まあ、分かる。今すぐ、一発げんこつをいれたくなるくらい腹が立つ。
今、此処未知の世界だぞ。いや、世界規模でもないけど。だとしても普通未知の地で寝るとか言えるのか?頭のねじどっか行ったんじゃないのか?
「遅くなってすみません。私がヴィルヴァントリ=ギッマソスです。多分あなた方がギルファルドから言われた方々ですよね?」
「はい、ミコト=イグナスと言います。こちらが、」「ブレミクセ=ヴァル=グレヴァルベルです。聖霊王国の第一王女です。」
「私は、ブレミクセ様に使えておりますリバエル=フォロー=デミナロールですにゃ。獣人ですにゃ」
「私は、ミコト様の使い魔バレリントス・ベリクーリです。ドラゴンです。角を触られたので服従してます」
「私は、マリ=デヴァンです。よろしく~」
まじで、一人、テンションが違うんだが。
「なかなかに豪華な面子だ。」
ヴィルヴァントリさんは笑って言ったが、こちとら一人のバカのおかげ肝を冷やしっぱなしだ。
あいつ、この前「頭の方は弱いのね」とか言ってた割にはこいつのが弱いぞ。
「それで、確か此処に止めればいいんでしたかな?」
「ええ、お邪魔にならないのであれば」
「邪魔なんかなりませんよ」
「そうだ、家事か何か手伝いましょうか?」
「それは、非常にありがたい申し出です」
「では、何を手伝いましょうか?」
「そうですね、家事のお手伝いをしていただければ」
「分かりました」
「え~、何で私が家事なんか」
「マリ、嫌だと言うならちゃっちゃっと寮まで帰れば?」
「しかたねえな」
「まあ、お部屋は……そうですね。二階の二部屋を使ってもらえれば」
「二部屋もですか!?」
「ええ、部屋は余っているので」
「では、お言葉に甘えて」
「では、私は公務の方がありますので」
「公務?」
「はい、公務です」
「ちなみにご職業は?」
「国家公務員です。国務省国務大臣と官房長官を兼任しております」
「……国務大臣と官房長官の兼任?いやいやそんなことあるわけが」
「ありますね、かなり驚きですが」
「まあ、偉い人なのは分かった」
「年収は?」
マリが笑顔でそう聞く。
僕は、こいつ寮まで帰った方がやっぱ良いのでは?
「ハハハ、まあ悪くはありませんよ」
「すいません」
「まあ、このくらい砕けて喋れる者も中々居ないので良いんですよ」
「まあまあ、ミコトいいじゃない、この人が良いっていってんだし」
こいつに関しては諦めよう。
「まっ、よろしくお願いいたします。ヴィルヴァントリさん」
「ええ、こちらこそ宜しくお願いします」
それから僕らはヴィルヴァントリさんの奥さんのエヴァルさんを手伝う日々が続いたある日のことだった。
僕は、ヴィルヴァントリさんに呼ばれ客間に来ていた。
「ミコトさん、すいませんが一緒に来ていただきたい場所があるんですが来ていただいても宜しいでしょうか?」
「どこへ、でしょうか?」
「それは、魔王城です」
「なっ」
僕からすれば魔王など遠い遠い存在のはずだが、まさか今呼ばれるとは。
とはいえ、断れば殺されかねんしな。
「まあ、付いては行きます、付いては。」
「ありがとうございます」
その後、僕はヴィルヴァントリさんと魔王城に『魔動車』と呼ばれる何と言うか馬車の馬の部分を無くしたようなものに乗せられ向かった。
「此処が、魔王城です」
ドアを開けてはいると魔族の人たちが色々なところで仕事をしていた。
「此処から地下五階まで下がります。そのあとに、四番エレベータを使い十階まで登ります。ちなみに、此処から上の五階までは国家公務員の仕事場になってますね」
「なるほど」
というか、魔族の土地は何かと便利な道具があるんだな。
僕は、感心しながらヴィルヴァントリさんの後ろをついて行きエレベータとやらに乗った。
ぱっと見は完全なる正方形の箱なのだがその箱に乗り箱の中の魔法陣に触れて階層を指定するとその階層に自動で行ってくれるもののようだ。
僕は、その後もヴィルヴァントリさんの後ろついて行った。
そしてついに、魔王城最奥玉座の間にきた。
「こちらです」
「ここが魔王様のお部屋でしょうか?」
「いえ、此処は報告などをする場所です」
「なるほど」
「ではいきましょうか」
心なしかヴィルヴァントリさんの声に緊張感がある。
ヴィルヴァントリさんはドアをノックをし「魔王様、例の方を連れてまいりました。」ヴィルヴァントリさんがそういうと、ドアが開いた。
「魔王様、こちらがミコト=イグナス様です」
「なるほどー、案外若いんだな」
と、聞こえた先を見ると美少女?美青年?が椅子で足を組んで偉そうに座っていた。
「ミコト、と言ったか貴殿は我の従順なるしもべと」
僕は、魔王の言葉を遮り一言「ならない」と言った。
「そうかそうかならないのか、って何故?」
「だって、身元がよくわからん奴したとかつく気もないし」
その後、非常に気まずい空気になり沈黙が続いた。
その沈黙を破るように後ろから「魔王様ー!緊急事態でございます!」と荒っぽい声が聞こえた。
「おい、接客中だぞ。まあ良い。で、なんだ?」
「はっ、隣国の魔法師協会の連中が魔王城まで押しかけてまいりました」
まじかよ、あいつらよく足取りつかめたよ。[あきれた連中ですね]またもやエアリエルさんの乱入。
だが、良いタイミングだった。[エアリエルさん、力をお貸しください。三王のの方々も]
[御意、では計画を考えましょうか。]
[その前に少々お待ちください。]
「魔王様、私の敵です。魔王様にご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。」
「良いんだけど、取りあえず庇護する理由。…友達?」
「えーと、僕は全然いいんですけど」
「じゃっ、決定だ。宜しく。我は、魔王ンダボレア=マジク=エレキデスなのだ。性別は女なのだ。」
「僕は、知っての通り。ミコト=イグナスだ。宜しく」
こうして、僕ミコト=イグナスと魔王ンダボレア=マジク=エレキデスとの間に絆が出来たのだった。
現在絆1
第四話です。
バシバシ書いていきますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。
次回も読んでください。よろしくお願いします。