第拾肆話 帰ってきた魔界!
僕が鑑定にツッコミを噛ましている間に終わったみたいだ。
[イグナス様、長時間もお体をお借りしてしまい申し訳ございませんでした。魔法師教会は一旦引き下がらせました]
「ありがとうございます」
[いえいえ、あと何かあればお呼びください。すぐに参ります]
「ありがとうございます」
[もう一つ、敬語はお止めください]
「あーそう?じゃあ、タメで」
[すいません、出すぎた真似でした]
「いーよ、別に気にしてもないし」
そう言って精霊賢王と別れた。別れたというよりかは分離したのが合ってるけど。
「やれやれ、まさか精霊賢王が出てくるとは想定外過ぎるじゃろ」
「だなー、まさか魔法師教会に手出しご無用と」
「いや、精霊賢王はどんな話を」
「それは~、教えれないのだ~」
「何で?」
「精霊との契約は絶対厳守」
「なるほど、口止めの契約か」
「そうだ」
「めんどくさい契約だな。まあ、解除もせんけど。帰るか~」
「そうだな~」
「では」
そう言って僕らは魔王城に帰った。
まあ、自分のスキルがかなりチートなのは理解したのでちょこっと試してみた。
まずは、強欲かな。スキル発動【強欲】。
スキル〔強欲〕を使用しますか?
はい。というかこんな能力があったのか。やっぱ、使えるな鑑定。
発動しても対して身体に異常は無かったが少しでも気になるとものすごい勢いで聞きに行ってしまうので使いどころは考えないとダメなスキルだ。
次、確か色欲?ってのを発動したいんだけど能力が分からないだけに下手に使えない。名前からして惚れさせるとかそんなんだろうから間違ってバレにかけきゃいましたテヘッ。じゃ、多分済まなそうだし。
色欲に対する鑑定結果を確認しますか?
は~い。
スキル〔色欲〕とは魅了の上位スキルであり八大罪の一つ。効果はその目で見たものを全て惚れさせ息を忘れさせる。なお、効力は個別で設定可能。
やっぱそうか。というか、八大罪?
単語〔八大罪〕に対する鑑定結果を確認しますか?
はい。
単語〔八大罪〕とはこの世に存在する全ての生物が持つ大罪。罪の重さは『暴食』『色欲』『強欲』『憂鬱』『憤怒』『怠惰』『虚飾』『傲慢』となっています。また、大罪一つ一つに対し一人の管理者及び支配者が存在する。
なるほど、確か色欲の発動しようとしてたんだっけ?まあ、色欲は機会があれば使うくらいの感覚かな。あとは、試せそうなよく分からんスキルは無いか。
そういや、付属スキルとかあったな。うん?これって称号とかにも付いてんのかな?
じゃあ、試しに『ドラゴンを倒す者』を鑑定。
〔ドラゴンを倒す者〕の解析結果を表示しますか?
はい。ん~?表示ですと?
解析結果:〔ドラゴンを倒す者〕、ドラゴンを殺したものに贈られる称号。付属スキル:龍殺し・龍化・龍属性耐性LvⅤ
いつも通り脳内音声が聞こえたと同時に目の前にやや透けている字で同じ内容が表示された。
視覚化できるとこうも分かりやすいのか。
えーと、スキルは龍属性耐性LvⅤと龍化、龍殺し?
龍殺しの検索結果を表示しますか?
もちろん、はい。
スキル〔龍殺し〕とは龍を倒す時、攻撃力を三十五%上げるスキル。
なるほどなるほど。
「ミコト、今良いか?」
何処だよ、パッと見居ないけど?
「ああ、念話で話してるぞ~」
あー、分かった。まあ、スキルの試し撃ちしてだけだから良いけど。
「で、魔界にはいつ戻る予定だ?」
まだ、決まってないけど何かあった?
「イヤー、お前が急に居なくなったから大学から捜索願いが」
確かにそうだったな~。じゃあ今日中に魔界に帰るわ。
「頼むのだ」
ンダボレアが急に念話してくるとは。驚き驚き。
まあ、帰んないといけないのは分かってたけど。
さて、どう帰るか。普通にゲート潜るだけでも良いけど。時間かかるしなー。確か、空間転移なら行けるはず。スキル発動【空間転移】
スキル〔空間転移〕を使用し魔界、エヴァリーに転移しますか?
エヴァリーって、家の所在地の地名じゃん。つまり、行きたい場所を考えて空間転移を発動すると鑑定さんが勝手に転移させてくれると便利便利。
ということで、はい!
では、スキル〔空間転移〕による身体の転移を開始します。行き先は魔界、エヴァリーです。目的地変更の場合は今申請してください。
では、開始します。
脳内で一通り声が響いたあと目を開けると家の前に着いていた。
流石、スキルレベルMAX。
ここまで来たらあといつも通り鍵を開けるだけ。
鍵を回してドアを開ける寸前中からいつもとは違う気配を感じた。僕は攻撃用意をしながらドアをくぐる。
廊下を忍び足で相手がいるであろう寝室に向かう。
寝室のドア一歩手前まで来た。中ではなにかを漁っているような音が聞こえる。
そうとなれば拘束魔法【ロープシェル】で拘束してからどうするか決めよ。
【ロープシェル】を発動しますか?
はい。対象は部屋の中にいる誰か。
では、ロープシェルを発動します。
「魔方陣!?」中にいる誰かが声を上げる。
まあ、わざわざためる必要も無いし入るか。
僕は家の中に入る。しかし、そこにいたのは二人の奴隷だった。
つまりは、奴隷の主人がいるわけでこの子らに非はないんだよなー。
いっそのことアレで調べるか。
ただ、そこまでしてと思うけど取りあえず調べるか。奴隷魔術って杖いるからめんどくさいんだよなー。
奴隷魔術【縁】
魔術【縁】を発動します。対象の縁は約五千アル後方です。
ということは、縁を視覚化。
縁を視覚化します。
おっ、見える見える。なるほど、貴族か。
「そこの二人、ごめんけど着いてきてね」僕は問答無用で二人のことを抱えてその貴族の家にフライで向かった。
ん~、貴族なら盗みなんてやんなくてもな~。というか、遊びくらいの感覚説。
というか、あの家か?めっちゃ豪勢なんだけど。
「あの、私達は…」かたっぽの獣人の子が言葉を濁した。
「あー、大丈夫。ちょっと君らのご主人を成敗しにくだけ」
「お言葉ですが、ご主人様はかなり強いですよ?」
「まあ、僕もそこそこ強いんで」
あと、ンダボレアに念話で市街地戦闘の許可取ろ。
はろー、ンダボレア市街地戦闘の許可出して~
「急にどうしたのだ?」
いやー、家帰ったら奴隷が二人家漁ってたもんで~
「理解したのだ。つまりはその奴隷の主人を潰しに行くってとこか?」
その通り、よくご存じで。
「まあ、良いが」
せんきゅー
さてさて、まずは一発【フェニクスブレード】。これで戦う気になってくれたか?
おー、騒いでる騒いでる。
では、着陸。
「はい、解放してあげる」
「ありがとう…ございます…」
予想通りの反応。多分暴力を振るわれてたか性欲の捌け口にされてたか。どちらにしろクソみたいな主人何だろうな。
「おい!そこのお前か。うちを焼いたのは!」
おっ、来ましたよ。クソみたいな主人。
「なんとか言えばどうだ!」そう言いながら肩を掴みにかかってきたのでそのまま放り投げてやった。
「貴様、私が誰か知っての行為か!」
「残念ながら、僕は貴方のことを知らない。しかし、貴方よりかは身分は上なので」
「何様のつもりだ!私は魔王ナリトン=デヴィル様配下エリオート=デミトリスだ!」
「あっそ、それが?」
「なんだと!魔王ナリトン様だぞ!」
「あっそ、ナリトン?ってやつが強いのかどうかは知らんけど一つ覚えておけその気になればここら一帯焼き尽くせる程度には強いのでな。腹が立って僕を殺したければ殺しにかかってこい。貴様程度で勝てるか?」我ながらものすごい暴言。そして、かなりの長文。
「ならば、殺しに行こう。【グラビティカノン】!」
あーあ、しょうもない。グラビティカノンってバカなの?その程度簡単に防げるから。
【ガードオブエレメント】っと。
「貴様、何故攻撃が効かない」
「だから言ったでしょ殺しにかかってこい。貴様程度で勝てるか?と」
「馬鹿にするのもいい加減にしろ!私は!貴様なぞには負けん!」
「はいはい、じゃあ本気で行こうか」
「かかってくれば良い。どんな攻撃だろうと防いでみせよう。」
こいつ、魔力探知持ってないの?馬鹿だな~。行くって言ったし【時間停止】【位相空間】【爆炎】【時間開始】
はい。終わり。
「ご主人様!」「ご主人様!」奴隷の二人が叫ぶ。まっ、いくら叫んでも帰ってこないけど。
何せ位相空間で別次元送りにして爆炎を使って塵にして位相空間を切ったから、別次元に塵だけ浮かんでる状態。これぞ、完璧な戦略。
「そこ二人、大丈夫?」
「あ、あの、ご主人様は?」
「あいつだったら塵になって別次元で飛んでるよ」
「そうですか」その時、彼女らの顔に笑顔が浮かべているのを僕は見てしまった。
今回も読んでくださりありがとうございます。
僕が連載を初めてから早四ヶ月。
読んでくださっている皆様には感謝の念が絶えません。
これからもメイメイをよろしくお願い致します。