第拾話 魔法大学に入学する!
今回も読んでいただきありがとうございます。
そして、僕は魔法大学に入学した。
意外と大学なる場所は大体静かだったが、時たま爆発音が聞こえるという物騒極まりない場所でもあった。
僕は、穏便に大学生活をするために真面目に授業を受けて、休日はキャンピュなるアクティビティをしている。キャンピュというのは外にテントという道具を使い野営をするというアクティビティらしい。これがまた、ハマる。
何かと大変だがその分超楽しい。あと、魔界の食材はかなり特殊でグロテスクな見た目だがおいしいので見た目の分はチャラになる。
「御主人様、魔界って意外と普通ですよね」
「確かにあっちと大差ないよね」
「あっ、そう言えばマリは…」
「誰?」
「御主人様、お忘れになられている!?」
「バレは誰か知ってるの?」
「知ってるも何も途中まで一緒に来たじゃないですか」
「あー、なんかいたな」
「思い出しましたか?」
「うん、余りにも会ってなさ過ぎて覚えてなかったや」
「まあ、アレですからね」
「うん、アレは――」
「……」
「……まっ、アレのことだし大丈夫大丈夫」
「なら良いのですが」
「さてと、今日は切り上げようか」
「そうですね、お手伝い致します」
「ありがとバレ」
「いえいえ、これでも御主人様の従魔ですから」
「従魔?」
「ん?教えてませんでしたか?」
「うん、従魔って単語は初めて聞いた」
「従魔というのは血よりも濃い契約をした魔獣や獣人などのことを指します。私の場合は角を触られましたので従魔ということになります」
「それ、すごいの?」
「確か、人間が従魔にした最高記録ではファイヤドラゴネットだったはずですので今のところ御主人様が最高記録保持者になります」
「ごめん、人前で名乗るときは使い魔で頼む」
「?私はどちらでも良いのですが」
「まあ、片付けも大体終わったし帰ろうか」
「ええ、にしてもここはいいですね。自由に飛び回れますし」
「うんうん、魔法の発動も気を遣わずに出来るし」
「御主人様はそれで五棟壊したじゃないですか」
「あれは、仕方ないじゃんか。本気でやれって言われたんだから」
「いや、普通は一棟壊すほどの威力でやりませんし。一回やったら加減するものです」
「そんなもんかな~」ん?待てよこいつらと出会う前までは加減とかしてたよな。加減しなくなったのってこいつらのせいじゃね!?
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない何でもない。アハハ」
「?」
「それより、前になんかない?」
「そうですか?」
「気のせいかな~」
その時、僕は知る由もなかった。その何かが僕の敵となるということに。
一か月後……
「御主人様、今日は?」
「今日は、大学あるから」
「そうなんですか?」
「うん、今日は魔法実習のテストだから」
「じゃあ、今日はキャンピュは無しですね」
「うん、最近お金も無くなってきたし」
「分かりました、いってらっしゃいませ」
「うん、気を付けてね~」
「御主人様こそ~」
僕はいつも通りに家から飛行魔法を使って大学へ行った。
「今日は魔法第一分野実習のテストを執り行います。一年は第三魔法実習室へ、二年は第一へ、三年は特殊魔法実習室に来なさい」
大学へ行くと使い魔が案内をしていた。
僕は案内通りに第三魔法実習室に行った。やはり人間の僕からすれば魔族や悪魔がズラッと並んでいるのには慣れない。そんなこんなで魔法大学初めての実技試験が始まった。
「では、学年主席ガゥグルフェン=ヲエリトス。前に」
「はい」
「では、貴方の得意な魔法で良いのであの的に本気で打ちなさい。部屋は多重障壁が展開してあるので気にせず」
「分かりました、ではエンパイアグラズメイトを使わせて頂きます」
エンパイアグラズメイト、確か対象を結界で囲み対象に物凄い圧力をかけ押しつぶしその後ファイヤーボールを発動する超多重型魔法の典型的な例。この魔法は発動者の実力次第では複数の目標を同時制圧も可能、発動者の実力がもろ出るタイプの魔法だ。
さて、学年主席やはりものすごい実力だ。何せ十の対象に同時発動している。平均二個だということを考えれば流石と言わざるをえないな。
「では次、特待生ミコト=イグナス。ヲエリトスと同じ様に」
「はい」
さてと、何を使うか取りあえず無言発動『超多重結界』。これで、アレが使えるか。僕の言う“アレ”とはスペーサーマジック【インテンスヒート】のことだ。この魔法単体ではあまり効果は無いが【テンペストサヴィヴ】と併用することで大規模な爆発を起こす。これを僕はグランドエクスポーネントヴィポーレネと呼ぶ。要は、先ほどと同じ多重型の魔法だ。この試験では自作形の魔法も許可されているためこれを使う。
「貴方は?」
「では、自作魔法でよろしいですか?」
「いいでしょう」
「では、【グランドエクスポーネントヴィポーレネ】」
僕はそう唱えるするとそこには大量の砂が風によって吹き荒れ始めた。この時点で部屋は壊れかけなのでもう一重にかけといて正解だった。
僕の予想通りそこに灼熱地獄を作り出すインテンスヒートが砂を温め爆発を起こした。
もちろん、部屋を壊さない程度の威力したので怪我もしてないし部屋も壊してない。
しかし、これを本気で使うとこの大学を吹っ飛ばせる程度になるので自重した。
「自作の多重型魔法ですか。威力もあり威力調整も可能。合格です」
その後も、順調に試験は進んで昼ごろには家に帰れた。
「御主人様、お帰りなさいませ。ご飯、作っておきました」
「おっ、ありがと」
「それは、そうと今日の試験は」
「合格~」
「流石、御主人様です」
「そういえば、ブレミクセさんから連絡が来てマリを迎えに来てほしいと」
「そうなの?」
「ええ、何せブレミクセさんが重要参考人として呼ばれたとかなんとか」
「まっ、ご飯食べたら行こうか」
「はい!」
僕らはご飯を食べて表面世界の方へと向かった。
「おはようございます、ミコト様バレリントス様」
「あっ、おはようございますヴォンエリさん」
「では、こちらにお乗りください」
「これは?」
「収容所にいくための護送車です」
「ああ、なるほど」
「では、向かいましょうか」
「はい」
僕はそう言って護送車に乗り込んだ。護送車の中はかなり快適だった。椅子はフカフカだしテーブルも付いていた。
「着きました、ヴォンエリ様」
「うむ、ご苦労。留守番を頼む」
「はい」
「ヴォンエリ、誰?」
「ああ、紹介し忘れていましたね」
「どうも、ヴォンエリ様の使い魔。パレです」
「へー、ヴォンエリさんの使い魔も人型なんだ」
「いえ、私は――」
「?」
「すみません、こちらにも事情が」
「こちらこそすみません」
「いえ、では参りましょうか」
「ええ」
僕らは収容所の中に入った。収容所の中は陰気な雰囲気が立ち込めていた。
「ここからは、犯罪者どもがいる気を付けろ」そう言うとヴォンエリは小声でオーラ開放とつぶやいていた。その直後からヴォンエリの気配が変わった。
おー、流石魔王の第一補佐官。というか、魔族は全員こういうの使えるのかな?というか、バレもなかなかオーラを出してるんだけど。あれ?もしかしてオーラ出してないの僕だけじゃね。これはマズイ。早めにオーラを使えるようにならねば!
「ここですよ」そこに居たのは他の囚人と賭けをしているマリの姿だった。
「……、やっぱこいつこのままで良くね?」
「そう思いますよね~」
「まあ、私情を挟む前にこちらの事情がありますのでどうか」
「バレ、ブレミクセさんにこれあげても良い?」
「いやいや、御主人様!?まあでも、邪魔なだけですし。いっそのこと人間の方に送り返してやるのは?」
「良いんじゃない?」
「ちょっと待った!」牢の中からマリが大声で叫んだ。まあ、構わず話を続ける。これの話を聞いたところで利点がないと言うことを知ったから。
「で、どちらに?」
「あー、取りあえず魔族の国境辺りに置いといてください。多分、誰か助けに来るでしょうし」
「分かりました、では手配しておきます」と、僕らは笑顔で会話を続けていた。
「いやいや、ちょっと待ってください。あっ、そうだ私の知ってる魔法全部教えますから~」
「大丈夫、僕魔族の魔法大学行ってるから」
「――嘘でしょ」
「いや~残念だな~」
「ぐぬぬ、こうなれば魔法で」
「は~い、ちょっと黙ろうね!」ヴォンエリはそう言うと杖をマリの頭をめがけて殴って気絶させた。
結構血流れてるけど大丈夫か?