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【20章】目指すは始まりの異界!探検隊ルイーザと不思議な物語  作者: 旅立 マス
1章 現実とファンタジーの間で
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1-6

リズに倒された男は、さっきの二人の警察官に身柄を引き渡された。

とはいえ、この世界の常識が通用しない相手だ。手錠をかけるだけで本当に大丈夫なのだろうか? 魔法のような力で簡単に外されたりしないだろうか。


「大丈夫よ」

リズがさらりと言った。

「この手錠には、魔力を封じる効果があるの。だから安心して。魔法で手錠を外す人もいるからね」


「そりゃそうだよな」

ジュンは考えすぎた自分に苦笑した。どうやらこの世界の人々は、こうした魔法使いへの対策もきちんと講じているらしい。特に心配することはなさそうだ。


しかし、気がかりはもう一つある。


「これで終わり、って感じじゃないよな……」


「ええ、たぶんね」

リズは真剣な表情で周囲を見回した。

「おそらく、中にもっと大物がいるわ」


止めても無駄だと思いつつ、ジュンは一応尋ねてみる。

「で、行くのか?」


「もちろんよ」

彼女の答えは期待通りだった。

「ギルドから受けた仕事は、最後までキッチリやらないとね」


「やっぱりか。なら、自分も行くよ。この工場は小さい頃、社会科見学で来たことがあるから。道案内くらいはできる」


リズは嬉しそうに笑った。

「ついてきてくれるの? ありがとう!」


そう言うと、リズはジュンを引き連れ、工場の中へと入った。


工場内部

工場の中は、思ったよりも単純な構造だった。一本道が続くだけで、迷う心配はなさそうだ。だが、そのシンプルさがジュンを逆に不安にさせた。


「ねえ、ジュン」

リズが問いかける。

「なんでこの工場が占拠されたと思う?」


「え? どういう意味?」


「だって、ここってゴミ処理施設でしょ? こんな場所を占拠して、一体何をしようとしているのかなって」


確かにそうだ。ただのゴミ処理場を拠点にする理由がわからない。


「そうだな……隠れ家にするにしても、もっと目立たない場所を選びそうなもんだけどな。そもそも、あいつらがここで何を企んでいるのか、まったく想像できない」


「ギルドから何か情報は聞いてないの?」


「ううん。ギルドからは『動向を調査してほしい』って指示だけ。だから、彼らが何を企んでいるのかまではわからないの」


「ふーん……」

ジュンは腕を組みながら考え込んだ。

「まあ、気にはなるけど、自分としては荒事に巻き込まれたくないんだけどな」


「大丈夫よ」

リズが微笑んだ。

「今回は調べるだけにしておくわ。深追いはしないって約束する」


その言葉を聞いても、ジュンの胸騒ぎは収まらなかった。調べるだけで済むとは、とても思えない。


一本道を進むと、やがて体育館ほどの広さのある部屋にたどり着いた。そこでジュンたちは、思いもよらない光景を目にする。


「な、なんだこれ……?」


部屋の中には、大型のコンピュータのような機械が並んでいた。見たことのない形状の機械ばかりだ。しかも、こんな装置は社会科見学当時にはなかったはずだ。いや、この施設の用途を考えれば、こんな機械が置かれていること自体がおかしい。


「リズ、これって一体……?」


「わからないわね」

リズが眉をひそめる。

「ただ、画面に表示されている計算式……見たことのない形式ね。この計算式が何を意味するのかもわからないけど……」


ジュンは画面をじっと見つめたが、そこに書かれている内容はまるで理解できなかった。だが、この部屋で何かしらの「実験」が行われているのは間違いないようだ。


「リズ、このことをギルドに報告するべきじゃないか?」


「報告の必要はありませんよ」


不意に背後から声が響いた。振り向くと、白衣を着た男性がこちらに歩み寄ってきていた。


いつの間に近づいてきたのか、全く気配を感じなかった。


「あなた……誰?」


リズが鋭い目つきで男性を見据える。


「おや、あなたはリズさんですね。管理局の」


「……私を知ってる?」


「知っているも何も。貴方ほどの実力者が無名なわけないじゃないですか。有名ですよ」


「そういう意味じゃない」

リズの声が低くなる。

「さっき、『管理局のリズ』と言ったわね。私がギルドから依頼を受けていることになっているのに、なぜそのことを知っているの?」


「当然ですよ。我々は用心深いですからね。貴方は要注意人物としてリストに載っています」


「つまり、管理局に動かれると困るということね」


「困る?」

男性は肩をすくめて笑う。

「いいえ。管理局が何をしようと、今さら手遅れですよ。この装置の起動を止めることなど、誰にもできません」


「……何をしようとしているの?」


「ふむ、せっかくですから教えて差し上げましょう。この装置は『世界を融合させる装置』です」


「世界を融合……?」


話のスケールが大きすぎて、ジュンは思考が追いつかない。


「そうです」

男性はゆっくりと頷いた。

「簡単に言えば、今いるこの世界を、別の世界と『融合』させる。それが、この装置の役割なのです」

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