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【20章】目指すは始まりの異界!探検隊ルイーザと不思議な物語  作者: 旅立 マス
1章 現実とファンタジーの間で
8/203

1-5

リズとジュンは、パトカーが集まっている工場に向かった。

そこは江戸川町で一番大きな建物で、家からも煙突が見えるゴミ処理施設だ。


「あの工場か…ただのゴミ処理施設にこれだけ警察が集まるなんて、普通じゃないな」


社会科見学で訪れたことがある建物が、今や異様な光景に包まれている。周辺には野次馬が集まり、警官たちがその先への立ち入りを制限していた。


「近づかないでください!」

何人もの警官が群衆を制止している。


すると、工場の奥からスーツ姿の男が現れた。剣のような武器を手に持ち、その鋭い目で辺りを睨みつける。


「おいおい、ずいぶんとギャラリーが多いな。ここは見世物じゃねえぞ?」


警官の一人が男に詰め寄る。


「君たちがこの施設を不法占拠していると通報を受けた。直ちに撤退しろ」


「ふん、俺たちに刃向かう気か?」


「お前たちは包囲されている。これ以上の抵抗は許さない!」


警官の言葉に、スーツの男は冷笑した。


「この世界の奴らは、俺たちの力を知らないらしいな。見せてやるよ…」


次の瞬間、男の手から炎が現れ、それが警官目掛けて放たれた。


「なっ!?ど、どういうことだ!?」

警官たちは目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。


「魔法だ…」リズが低く呟いた。


「魔法って、あの魔法?」ジュンは混乱した様子で問い返す。


「そう。あれが異界の技術。間違いなく、この世界の人間じゃないわ」


「まさか…追ってた奴らか」


「そうみたいね。偶然にも見つけたなんて運がいいわ」


ジュンは息を飲む。異界から来た人間がこんな近くに潜んでいたとは予想外だ。


「リズ、君…まさか戦うつもりじゃ…」


「当然よ。ギルドの依頼を達成するためには避けられないもの」


彼女の目には迷いがない。その様子に、ジュンは彼女の本気を感じ取った。


「だったら…自分も行くよ」


リズは驚いた顔をするが、すぐに笑みを浮かべる。


「頼もしいじゃない。じゃあ、一緒に行こう!」


工場の前に立つスーツの男は、2人を睨みつけた。


「なんだ、今度は何者だ?」


「私の目的は一つ。この世界でお前たちが何を企んでいるかを知ることよ」


リズは堂々と宣言する。その態度に、ジュンは改めて彼女の強さを感じた。


「なかなか肝の据わった嬢ちゃんだな。だが、そんな簡単に教えるわけがないだろう」


「なら、力づくで吐かせるわ」


スーツの男が再び炎を放つ。しかし、その攻撃はすべて空を切り、リズは身軽に回避する。


「な、なんだと!?」


次の瞬間、リズの蹴りが男の脇腹に炸裂する。たった一撃で男は地面に崩れ落ちた。


「ば、バカな…!」


その間、ジュンはただ呆然と立ち尽くしていた。目の前で繰り広げられた戦闘は、一瞬のうちに終わってしまった。


「リズ…君、本当にすごいんだな」


病み上がりのはずのリズが、この圧倒的な実力を発揮するなんて。ジュンは彼女への尊敬とともに、自分の無力さを痛感していた。

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