6-4
牢屋の中は交流会のような雰囲気で盛り上がり、その熱気は夜遅くまで続いた。そして翌朝、またしても看守によって叩き起こされ、食事を済ませた後に強制労働が始まった。相変わらず荷物運びの作業が続くが、ジュンたちは昨日の経験から、この作業中に隙があることに気付いていた。それは荷物を運んで戻る際の移動時間だ。この時間を利用すれば、他の強制労働者たちから情報を集めることができる。
ジュンは荷物運びの途中、ふと見覚えのある顔を見つけた。
「ケンさん!」
声をかけた相手は宮ノ下 健二郎――通称ケンさん。彼はジュンとヒロの部活時代の友人だった。思わぬ再会にジュンの胸が躍る。
「ジュンか?おお、生きてたか!」
「久しぶりに会って、その第一声かよ。でも、まあ、お互い無事でよかったな。まさかこんな場所で会うとは思わなかったよ。」
「お前もな。ヒロのやつ、この辺に住んでたから、街ごと巻き込まれたってわけか。」
「そうそう。高校の集まりがあった日にな。」
「ってことは……高校のメンバー、他にもここにいる可能性があるってことか?」
ジュンはそれを聞き、知人が多ければ協力を得やすいと考えた。これもまた一つの収穫だった。
「しかし、ジュン、お前はこの異世界で初めて会う知り合いだな。他の街にも行ったのか?」
ジュンはこれまでの冒険――水江の街や舟堀の街での出来事を簡単に話した。
「そいつはまた、大変な目に遭ってるな。で、ヒロのやつもどこかにいるんだよな?」
「ああ。ケンさん、ヒロ見なかった?ここにいるはずなんだけど。」
「ヒロがここに?っていうか、お前がなんでここにいるんだ?」
ジュンは自分が探検隊として活動していること、ヒロがリフィリア王国で兵士として働いていること、そして今はこの街で兵器が開発されているため、その対策のために動いていることを簡潔に説明した。
「お前ら、ずいぶんと大きな話に首を突っ込んでるな。でもまあ、大変だってことは分かった。」
「ところでケンさん、どうしてここに?」
ケンはジュンの問いに答えた。この鶴小島の街は、世界改変によってイーストキャッスル平原に孤立した状態になっていた。外部との情報共有は難しく、一部の住民は情報収集のために外に出たが、多くの人は街に留まっていた。そんな中、ローデン率いる軍団が武器開発拠点としてこの街を占拠。抵抗する術もなく、住民はあっという間に支配され、今の状況に至ったという。
「そっか、そんな状況だったのか……。早いところ戦士団が動けるようにしたいけどな。」
「聞いた話じゃ、ここには戦える力を持ってる連中も囚われてるらしい。そいつらを解放して、武器を手に入れられれば、状況は変わるかもしれないな。」
ジュンは自分たちがその作戦に関わっていることは伏せた。相手に戦える力があることを知られるわけにはいかなかった。
「ところでジュン、武器のありかって気にならないか?」
「え?」
ケンの思わぬ一言に、ジュンの目が輝いた。
「武器のありかを知ってるの?」
「ああ。この前、看守が武器をしまってるところを偶然見ちまったんだ。」
「本当か!?」




