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ジュンとルイーザは、リフィリア王国の西に広がる平原「イーストキャッスル平原」に向かった。この場所はエドガー平原と似た雰囲気だが、出現するモンスターの種類が異なる。2人は、実戦を通じて心の問題を克服しようと考えた。緊張感のある状況に身を置けば、恐怖を克服し、いざという時に武器を咄嗟に使えるようになるかもしれない。そんな期待を抱いての行動だ。
もし武器が使えなくても、手持ちの普通の武器で戦い、最悪の場合は逃げるつもりだ。この平原に出現するモンスターは比較的弱く、リハビリにはうってつけの場所だった。
2人はモンスターを見つけるたびに挑みかかった。しかし、武器を出しても、記憶が蘇り恐怖に襲われ、すぐに武器を落としてしまう。そのたびに手持ちの武器に切り替えて戦い、なんとかモンスターを倒す。その繰り返しが続いた。
夕方、2人は草むらに腰を下ろし、空を見上げた。
「ダメだね……。今回も何かきっかけを掴める気がしないよ」とジュンがため息混じりに言う。
「根本的に別の問題があるのかしら?」ルイーザも悩んでいる様子だ。
「本当にどうしたものか……」ジュンが腕を組み、考え込んだ。
その時、遠くからリフィリア王国の方向に大勢の人影が見えた。王国とギルドの連合軍が調査を終えて戻ってくるところのようだ。
「あの様子じゃ、今日も進展はなさそうだね」とジュンが呟く。
舟堀タワーの戦い以来、人質にされたギルド長や街の住人たちの行方は依然として不明のままだった。連合軍は街を取り戻した後も、行方不明者の調査を続けている。
「一体、何のために誘拐なんかしたんだろうね?」とジュン。
「どうせ、どこかで引きこもって、王国を攻める作戦でも考えてるんじゃない?」とルイーザが肩をすくめた。
「まあ、それ以外には考えられないよね……」ジュンは悔しそうに目を伏せる。あの時、ローデンを倒せていれば、こんな事態にはならなかったのではないか。そう思うと、自分の無力さが胸に刺さる。
祈るような気持ちで、2人は誘拐された人々の無事を願った。
すると、不意に男性の声が聞こえた。
「やあ、2人とも。こんなところで何をしているんだ?」
「ヒロか!」ジュンが声を上げた。
声の主は、王国の兵士の鎧を着た男性だった。彼の名前は雪林広宣、通称ヒロ。ジュンの小学生時代からの友人である。彼もまた、異世界への転移に巻き込まれ、このリフィリア王国で騎士団の見習いとして暮らしていた。
ジュンとヒロが再会したのは数週間前、リフィリア王国の城下町でのことだった。異世界で知り合いに会えるとは思わなかったが、友人が元気そうな姿で騎士として働いていることに、ジュンは安堵と感心を覚えた。
「見ての通りだよ。リハビリ中さ」とジュンが答えると、ヒロは笑みを浮かべた。
「そうか。リフィリア王国の英雄殿が、ね」
舟堀タワーでの戦いの功績により、ジュンとルイーザ、そしてクルールの3人は国の英雄と称されていた。ジュンとルイーザは辞退したかったが、街への侵入経路を発見し、敵の正体を明らかにした功績を王国が称えたいという意向は覆せなかった。仕方なく、2人はその称号を受け入れるしかなかった。




