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3人は再び駅の構内に戻った。幸い、ここには人が来る気配はなく、作戦を練る余裕がある。
「さて、俺たちは舟堀の街への侵入には成功したが、内部の状況が全く分からない。この先どう動くかが重要だな」
クルールが状況を整理するように言った。
そう、舟堀の街には入ったものの、敵の詳細な情報がない。どんな作戦を取ればよいかも分からず、手探りの状態だ。ジュンは街の外観を思い出そうとした。
「待って、中の様子がまったく見えなかったってことは…」
「ジュン、何か思いついた?」
ルイーザが問いかける。
「いや、街の東側を偵察したとき、タワーの中が少し見えたよね。そこに、銃がたくさん置いてあったのを覚えてる?」
「ああ、確かにあったわ。武器がずらっと並んでいた。でも、それがどうかした?」
「普通、あんな目立つ場所に武器を置くかな?あれって、自分たちの戦力を見せびらかしてるみたいじゃない?」
「確かに、それは変ね…」
クルールが考え込みながら口を開いた。
「なるほどな。もしかしたら、あれはわざと見えるようにしているのかもしれない。外部に戦力を誇示して、敵わないと思わせるための心理戦だ」
「つまり、武器はたくさんあるように見せかけて、実際の戦力はそれほど多くないってこと?」
ジュンが尋ねる。
「その可能性が高いな。古い戦術の一つに、兵士の数を多く見せて敵の士気を削ぐというやり方がある。それと同じだ」
「そうだとしたら、外部に応援を頼む余地もあるんじゃない?」
ルイーザが提案するが、クルールは首を振った。
「いや、今は俺たちだけで動いたほうがいい。外の見張りに動きを察知されると厄介だ。それに、今はまだ俺たちが侵入したことに気づかれていないはずだ。このまま奇襲をかける方が得策だろう」
「でも、ボスがどこにいるのか分からないと攻められないよね?」
ルイーザの疑問に3人とも黙り込む。奇襲を仕掛けるには、まず標的の居場所を特定する必要がある。
「あのさ、この建物の中に武器が目立つように置いてあるってことは、少なくともボスもこの建物内にいるんじゃない?」
ルイーザが思いつきを口にする。
「確かに、タワー内にいる可能性は高い。だが、この広い建物のどこを拠点にしているかだな…」
ジュンがふと、頂上のことを思い浮かべた。
「このタワーの頂上はどうだろう?上からなら360度周囲を見渡せるし、そこに武器を配置すればどの方向からも攻撃できるよね」
その言葉に、クルールもうなずいた。
「確かに。特にこの辺りは地形的に要所だし、隣国のリフィリア王国に対する脅威を示すには、頂上は格好の場所だな」
考えがまとまった3人。これで100%の成功を保証する作戦ではないが、現時点での最善策には違いない。
「よし、決まりだな。頂上を目指して動こう。慎重に行くぞ」
クルールの指示で、3人はタワーの中に向けて動き出した。




