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4-5

ワッフルを全力で走らせて数時間。あっという間に水江の街に戻ってきた。到着したのは早朝、太陽が昇り始めたばかりの時間だ。


「うう…やっと着いた…」


ジュンはフラフラになりながらワッフルから降りた。目的地であるクルールがいるギルドの前に到着するや否や、ルイーザはさっそくノックをしてギルドの中へ入る。


「クルール、いる?」


「うわっ!?ルイーザ、それにジュンもか。急にどうした?」


「舟堀の街が謎の集団に占拠されてる話、知ってるわよね。そのことで来たの」


「まさか…お前、あれに首を突っ込んでるのか?」


「仕方ないでしょ。あの街を通らないとリフィリア王国に行けないのよ。何とかしなきゃって思うでしょ?」


クルールは大きなため息をついた。エドガー平原の件もそうだが、ルイーザは本当にトラブルに飛び込むのが得意だと感じる。


「あの件は、王国のギルドが対応を進めてる。お前たちが出しゃばってもどうにもならんぞ」


「何とかって、そもそも街に入る手段すら分かってないんじゃないの?それに、王国ギルドなら実力者も多いはずでしょ?」


「そう簡単にはいかん。知っての通り、人質を取って立てこもってる。それも、ただの人質じゃない。リフィリア王国のギルド長が囚われてるんだ」


「ええっ、ギルド長が!?」


「ああ。用事で舟堀に向かった際、謎の集団に捕まったらしい。その後、ギルド宛に声明が届いた。『人質にした。まずはそちらの出方を見たい』とな」


ギルド長が捕まった経緯は不明だが、これではギルドも動きが取れないのは理解できる。人質が無事である以上、下手に動けない状況だ。


「…つまり、ギルド長を救出できれば状況は変わるってことね?」


「簡単に言うが、ルイーザ、何か手があるのか?」


「まずは街に入る手段よね」


「そんな方法があるのか?あの街は四方を囲まれてるんだぞ」


「それなら、あるわよ!ジュン!」


ルイーザが意気揚々と相棒の名前を呼ぶ。しかし、その場にジュンの姿はない。


「あれ…?ジュン?」


「そういえば、お前の相棒はどこだ?姿が見えないが」


ギルドの外を見ると、ジュンがワッフルに寄りかかりながらぐったりしているのが目に入った。


「ジュン、大丈夫?」


「…ごめん、少し休ませて…」


ワッフルの全力ダッシュは驚異的な速さだが、一晩中乗り続けるのは流石に厳しすぎた。落ちなかっただけでも奇跡のようだが、このスピードに慣れるにはまだまだ時間がかかりそうだとジュンは思う。


「どんだけスピード出してここまで来たんだ…」


「まあ、ちょっと…あはは…」


クルールも気の毒に思うほど、ジュンの顔色は悪かった。その後、回復薬を飲んでジュンはようやく元気を取り戻す。そして、舟堀でルイーザと話した内容を改めてクルールに伝えた。


その話を聞いたクルールは驚きを隠せない様子だ。


「地下が繋がっている…だと?」


「絶対とは言えないけど、可能性はあると思うんだ」


「確かに、あの地下道は謎だらけだ。もし元の異界と繋がっているなら…」


「だからこそ、調査して確かめたいんだ」


クルールは腕を組んで考え込む。ジュンの言う通り、地下で水江と舟堀が繋がっているなら、侵入経路として極めて有効だ。仮に繋がっていなくても、あの地下道を調査する価値はある。


「分かった。調査を許可する。ただし、俺も同行する」


「流石クルール!話が早くて助かるよ」

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