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2-5

二人は水江のギルド支部へ案内された。ギルド支部は駅の建物のすぐ横に位置している。


建物の中はシンプルな造りで、受付カウンターと壁に設置された掲示板があるだけだ。

正直、酒場のような場所を想像していた。冒険者たちが集まり、酒を酌み交わしながら情報を交換する――そんな雰囲気があると思っていたが、どうやら違うようだ。


「さっきの奴らは舟堀のギルドへ引き取ってもらったよ。」


あの騒動を起こした連中が片付いたことを知り、少しホッとする。ところで、「舟堀」と聞いて驚いた。


「舟堀?舟堀もこの世界にあるのか。」


水江から2駅先の街だ。元の世界では、高いタワーがシンボルになっている大きな街だった。住んでいた場所からタワーが見えることもあったが、この世界ではその姿が全く見えない。どうやら、場所が離れてしまっているらしい。


「舟堀を知っているということは、君は『青き星』の異界の出身だな。」


「青き星?」


「君が住んでいた地球のことだ。宇宙から見ると青い星に見えるそうじゃないか。それに因んで、君の故郷の異界をそう呼んでいる。」


「管理局が管轄する異界にはそれぞれ名前が付いているのよ。」ルイーザが補足する。「例えば、私が住んでいた異界は『遺跡を探求する異界』と呼ばれているわ。過去の文明を調査して現代に役立てようとする人が多いから、そんな名前がついたのかもね。冒険家がたくさん住んでいる場所よ。」


異界に名前が付けられているのは、管理局の管轄下にある証だ。いずれ、自分の住んでいた異界もそうなるのだろうか。


「さて、改めて自己紹介をさせてくれ。」

目の前の軍曹っぽい人が言った。「私はライオット・クルール。この水江支部の支部長を務めている。」


自分も名前を名乗り、ここに来るまでの経緯を話した。


「ジュンか。ようこそ、ギルドの世界へ。レベル3だな。ウルフめ、なかなか鍛えているじゃないか。」


「知り合いですか?」


「ああ、あいつとは古い仲だ。人を鍛えることは滅多にしないウルフが君を育てたというのは、なかなか興味深い。」


そう言いながら、クルールは自分とルイーザにバッジを手渡した。

それはブロンズに輝く、リュックを模した形のバッジだ。


「さて、手続きをしよう。ジュン、ルイーザ。今日から君たち2人を探検隊として認める。これが君たちを探検隊として証明するバッジだ。」


クルールの説明によると、このバッジの色は探検隊のランクを表しているという。

最初はブロンズから始まり、シルバー、ゴールドとランクアップしていくそうだ。

ランクを上げる方法はさまざまだが、基本的にはギルドの依頼をこなすことが条件になる。


また、探検隊ならではの依頼もあるらしい。土地の調査や宝物探し――まさにゲームの世界でお馴染みの設定だ。


「説明は一通り済んだ。さて、次は探検隊の名前と隊長を決める番だ。」


「隊長はジュンに任せるよ。」


「えっ!?」


突然のルイーザの提案に驚く。まさか自分が隊長に指名されるとは思わなかった。

言い出しっぺのルイーザが隊長になるものだとばかり思っていた。


「え?自分がやるの?ルイーザでいいんじゃないの?」


しかしルイーザはまっすぐこちらを見て答えた。


「ジュンにお願いしたい。私だと一人で突っ走っちゃいそうだから。それに、さっきの店での出来事も後先考えずに行動しちゃったし……ジュンなら冷静に判断してくれる。そう思ったの。」


「ルイーザ……」


「もちろん、私も探検隊の一員として、暴走しないよう気をつけるわ。」


彼女の真剣な言葉に、どうすべきか考えた。



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