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【20章】目指すは始まりの異界!探検隊ルイーザと不思議な物語  作者: 旅立 マス
19章 海賊船マクロセプター
200/203

19-3

フォークスが鋭く剣を一振り。

刹那、刃先から轟音とともに衝撃波が放たれ、空気が裂ける。


「うわっ!!」


ジュンとルイーザはとっさに飛び退き、辛くも回避。

だがその直後、二人の背後にあった分厚い壁が、爆音とともに崩れ落ちた。


――なんて威力だ。

あんなものをまともに食らったら、跡形もなく吹き飛ぶ。


二人は顔を見合わせ、即座に船のデッキへと駆け出した。


「逃げたって無駄だぞ!」


追いかけようとするフォークスに、ジュンが応戦。

拳銃を抜き、引き金を引いた。


「くらえっ!」


銃声が響き、弾丸が飛ぶ――しかし。


「そんな小細工、通じるかよ」


フォークスは微動だにせず、剣を軽く振るだけで弾を弾いた。


「ダメだ…全く効いてない」


「剣の力が規格外ね…あれを何とかしないと、勝ち目はないわ」


「何とかって言っても、どうやって…」


「分からない! でも今は逃げるしかない!」


ルイーザが叫ぶ。ジュンも同意し、再び拳銃を撃った。


「ちっ、またか!」


弾丸の一つが命中直前に破裂し、辺り一帯に濃い煙を撒き散らす。


「煙幕か!」


「今のうちに!」


煙に乗じて、二人はデッキから船内へと滑り込むように逃げ込んだ。

息を切らせながら、倉庫の中に身を潜める。


「くっそ…強すぎるよ、あのキツネ野郎」


「このままじゃジリ貧ね。逃げ道も塞がれてるし…」


ルイーザが焦りをにじませる。ジュンも頭を抱えた。


「うーん……どうしたものか…」


フォークスの剣は一撃で壁を破壊し、銃弾すら無力化する。

正攻法では太刀打ちできる相手ではない。


だが――


「…あっ!」


「ジュン!? その声は何か思いついたってこと?」


「うん、ちょっと無茶だけど、もしかしたら…!」


ジュンはルイーザに作戦を耳打ちした。


「…ふふっ、あまりにも無茶苦茶だけど、ゼロじゃないわね」


「0%スタートから、1%くらいにはなった?」


「そうね。やってみる価値はあるわ!」


その頃――船の外では、フォークスが警戒を強めていた。


「チッ、煙幕で撒かれるとはな…思ったよりやるじゃねえか」


驚くほどの戦闘力ではないが、あの二人は油断ならない。

知恵と機転を持ち合わせているタイプ――厄介な存在だ。


「どこかに潜んでるな…。逃げ道は塞いだ。ここにいるはずだ」


フォークスは周囲を見渡し、目を細めた。

そして一つの扉の前で足を止める。


「ここか…食料庫。障害物も多い、隠れるにはもってこいだな」


ギィ…と重たい音を立てて扉が開く。


「……やっぱりな。ここに隠れてやがったか」


中を見回し、ジュンとルイーザを視認する。


「見つけたぜ、探検隊さんよ。さて、第二ラウンドといこうか!」

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