16-8
ジュンたちは砦の機能を支えていたサーバーを物理的に破壊した。
砦内の明かりが一斉に消え、暗闇の中で兵士たちのどよめきが響き渡る。
それを合図にしたかのように、外で待機していたアスター軍が一気に攻め込んだ。
混乱する敵兵たちを次々と制圧し、タルテン鉱山の砦は瞬く間に陥落したのだった。
砦の外で待機していたウェンディたちと合流したジュンたちは、戦況を報告する。
「まったく、アンタたちは無茶ばっかりして…」
中での出来事を聞いたウェンディは、呆れたようにため息をついた。
「結果オーライだけど、胃が痛くなるわね…」
「まあ、勝ったから良しとしようよ」ジュンが笑って応じる。
一方、ヒロとケンは驚きを隠せなかった。
「まさか、本当にリフィリアが絡んでいたなんてな…」
ヒロが悔しそうに呟く。
「一歩間違えてたら、オレたちもあっち側だったかもしれないって思うと、ゾッとするよ」
「でも、国全体が悪いわけじゃなくて良かったよね。内部の裏切り者がいたってだけで…」
ケンは安堵のため息をつきながらも、怒りを滲ませる。
「それにしても、そのクラーンとかいう奴、許せないな」
ケンの言葉に、ジュンたちも静かに頷く。
倒すべき敵は明確になった。次なる目標は、クラーンとその背後に潜む存在を討つことだ。
「いよいよ次の戦いで、フーラン村のみんなを助けられるね」
ジュンがクロックの肩を軽く叩く。緊張しているように見えたからだ。
「うん。それと…ありがとう」
「ん?」
「ここまで付き合ってくれてさ。オイラ一人じゃ、ここまで来れなかったよ」
「まあ、そうだな。でも、その言葉は全てが終わった後に取っておけよ」
ジュンが少し照れくさそうに答えると、クロックがにやりと笑う。
「ジュン、照れてる?そんなこともあるんだね」
「うるさいな…」
軽口を交わしながらも、ジュンは心の底で思う。この仲間たちと一緒にここまで来られたことは、本当に良かった、と。
今回のタルテン鉱山の制圧は、戦局を大きく変えた。
第二の都市マルクス、第三の都市ビレアを奪還したアスター軍は、いよいよ最後の目標へと向かう。
それは中央都市ヴァニタス――。
そこにはカラスカ団とリフィリア軍の残党が待ち構えているだろう。
次が、サウスエンドランドを取り戻すための最終決戦だ。
サウスエンドランドの平和は取り戻せるのか?
そして、フーラン村の人々を救うことはできるのか?
数々の謎と試練を抱えながらも、ジュンたちはアスター軍と共に、決戦の地へと向かうのだった――。




