表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/203

16-6

ドラゴンが巨大な尻尾を振り回し、周囲の柱や壁を次々と破壊していく。その圧倒的な威力に、ジュンとルイーザは必死に回避したが、一瞬でも動きを誤れば即死は免れない。


「これ、勝つことしか考えてないのかよ!」

ジュンが荒い息を吐きながら叫ぶ。ドラゴンの無差別な攻撃は、砦の機能すら壊しかねない勢いだ。しかし、こんな怪物を野放しにしておくわけにはいかない。ここで仕留めなければ、味方も民間人も全滅するだろう。


だが、2人は気づいてしまった。

「これ、前回と同じ戦い方、通用しないな」

「うん、私もそう思った」

状況は絶望的だ。策がない上に、ドラゴンの攻撃はますます激しさを増し、反撃の隙すら与えられない。


「くそっ!」

ジュンは拳銃を撃つが、弾丸は鱗に弾かれ、ほとんど効果がない。そんな時、ドラゴンが口を大きく開き、何かを放とうとしているのが見えた。


「ジュン、乗って!」

ワッフルに乗ったルイーザが咄嗟にジュンを掴み、間一髪でドラゴンの放った強烈な突風を回避する。突風が砦の壁を吹き飛ばし、瓦礫が辺りに散らばった。


「た、助かった……なんて奴だ。周りがどうなろうとお構いなしってか?」

ジュンは荒れ果てた光景を見渡しながら呟いた。だが、ふと気づく。クランプがドラゴンに変身してから、一言も喋っていないことに。


「おかしいな……ドラゴンって知能が高いんじゃなかったのか?」

ジュンは考えを巡らせる。そして、ある可能性に気づいた。

「おい、こっちだ!」

ジュンがドラゴンを挑発するように叫ぶと、ドラゴンは反応して突進してきた。


「ジュン、危ない!」

ルイーザが叫ぶが、ジュンは冷静だった。

「やっぱりだ。あいつ、ドラゴンになってから本能のまま動いてる。動きが単純になってるんだ!」

「ってことは……なるほど、そういうことね」

ルイーザもジュンの意図を理解した。


2人は作戦を立て、ルイーザがワッフルに乗って囮となり、ドラゴンを引きつける。そして、ジュンは隙を突いて背後から攻撃を仕掛ける作戦だ。


「行くわよ!」

ルイーザがドラゴンを挑発しながら駆け回る。ドラゴンは彼女に狙いを定め、突進していく。ルイーザが壁際に追い詰められた瞬間、叫んだ。

「ジュン、今よ!」


ジュンは全力で走り、ドラゴンの背後に回り込む。そして、大剣を振りかざし、力いっぱいドラゴンの翼を斬り裂いた。


「ぐおおおおお!」

ドラゴンが悲鳴を上げ、暴れ始める。その隙を逃さず、ジュンは背中に剣を突き刺した。だが、その衝撃でバランスを崩し、ジュンは背中から振り落とされそうになる。


「ジュン!」

ワッフルに乗ったルイーザが間一髪でジュンをキャッチした。


「やったわね、ジュン!」

「ああ、やったな、ルイーザ!」


互いの健闘を讃え、2人は笑顔でハイタッチを交わした。その瞬間、砦に光が差し込み、戦いの終わりを告げるようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ