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ドラゴンが巨大な尻尾を振り回し、周囲の柱や壁を次々と破壊していく。その圧倒的な威力に、ジュンとルイーザは必死に回避したが、一瞬でも動きを誤れば即死は免れない。
「これ、勝つことしか考えてないのかよ!」
ジュンが荒い息を吐きながら叫ぶ。ドラゴンの無差別な攻撃は、砦の機能すら壊しかねない勢いだ。しかし、こんな怪物を野放しにしておくわけにはいかない。ここで仕留めなければ、味方も民間人も全滅するだろう。
だが、2人は気づいてしまった。
「これ、前回と同じ戦い方、通用しないな」
「うん、私もそう思った」
状況は絶望的だ。策がない上に、ドラゴンの攻撃はますます激しさを増し、反撃の隙すら与えられない。
「くそっ!」
ジュンは拳銃を撃つが、弾丸は鱗に弾かれ、ほとんど効果がない。そんな時、ドラゴンが口を大きく開き、何かを放とうとしているのが見えた。
「ジュン、乗って!」
ワッフルに乗ったルイーザが咄嗟にジュンを掴み、間一髪でドラゴンの放った強烈な突風を回避する。突風が砦の壁を吹き飛ばし、瓦礫が辺りに散らばった。
「た、助かった……なんて奴だ。周りがどうなろうとお構いなしってか?」
ジュンは荒れ果てた光景を見渡しながら呟いた。だが、ふと気づく。クランプがドラゴンに変身してから、一言も喋っていないことに。
「おかしいな……ドラゴンって知能が高いんじゃなかったのか?」
ジュンは考えを巡らせる。そして、ある可能性に気づいた。
「おい、こっちだ!」
ジュンがドラゴンを挑発するように叫ぶと、ドラゴンは反応して突進してきた。
「ジュン、危ない!」
ルイーザが叫ぶが、ジュンは冷静だった。
「やっぱりだ。あいつ、ドラゴンになってから本能のまま動いてる。動きが単純になってるんだ!」
「ってことは……なるほど、そういうことね」
ルイーザもジュンの意図を理解した。
2人は作戦を立て、ルイーザがワッフルに乗って囮となり、ドラゴンを引きつける。そして、ジュンは隙を突いて背後から攻撃を仕掛ける作戦だ。
「行くわよ!」
ルイーザがドラゴンを挑発しながら駆け回る。ドラゴンは彼女に狙いを定め、突進していく。ルイーザが壁際に追い詰められた瞬間、叫んだ。
「ジュン、今よ!」
ジュンは全力で走り、ドラゴンの背後に回り込む。そして、大剣を振りかざし、力いっぱいドラゴンの翼を斬り裂いた。
「ぐおおおおお!」
ドラゴンが悲鳴を上げ、暴れ始める。その隙を逃さず、ジュンは背中に剣を突き刺した。だが、その衝撃でバランスを崩し、ジュンは背中から振り落とされそうになる。
「ジュン!」
ワッフルに乗ったルイーザが間一髪でジュンをキャッチした。
「やったわね、ジュン!」
「ああ、やったな、ルイーザ!」
互いの健闘を讃え、2人は笑顔でハイタッチを交わした。その瞬間、砦に光が差し込み、戦いの終わりを告げるようだった。




