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タルテン鉱山の要塞
タルテン鉱山——サウスエンドランドでも有数の大きさを誇る鉱山だが、その土地は不安定で、資源採掘には適さないとされていた。
そんな場所に、リフィリア軍が陣取っている。何の目的でここにいるのか、何をしようとしているのかは謎に包まれている。
「資源回収なんて到底無理な土地なのに、どうして…」
ジュンたち、ルイーザ探検隊は不審を抱きながらも、アスター軍の命を受け、先行部隊として鉱山の偵察と陽動を任されていた。
だが、彼らが目にしたのは、想像を遥かに超える光景だった。
「タルテン鉱山って…あんな要塞みたいな場所だったのか?」
ジュンの驚きの声に、ウェンディも言葉を失った。
「違うわ! あんな要塞、私が知っているタルテン鉱山じゃない!」
目の前に広がるのは、まるで異世界の技術で築かれたかのような要塞都市。
灰色の高い壁が鉱山全体を囲み、鋭利な形状の防御塔が天を突いている。
見張り台にはリフィリア軍の兵士が配置され、周囲には見慣れない機械が配置されていた。
「これ、どう見ても普通の鉱山じゃないよな…」
ルイーザも困惑の表情を浮かべる。
ジュンは壁の構造や配置をじっと見つめた。
「この建築技術…異界のものだね。僕たちの世界でもこれほどの要塞を短期間で作るのは難しい。それがサウスエンドランドでできるなんて…」
ルイーザが頷く。
「ってことは、敵側に異界出身者がいる可能性が高いってことね。しかも、かなり優秀な技術者よ。」
「そんな厄介な相手がいるのか…」
ウェンディが溜息をつくが、ジュンは逆に目を輝かせた。
「厄介だけど、面白そうだね。攻略しがいがあるよ!」
「いやいや、無茶しないでよ!」
ウェンディが慌てて釘を刺すが、ジュンとルイーザのテンションは上がる一方だった。
「それにしても、足場が悪いと思ってたのに、意外と整ってるね。」
ルイーザが周囲を見渡しながら言う。
「それは逆に、守りが固いってことだよ。油断はできない。」
ジュンが冷静に答えるが、その口元には挑戦的な笑みが浮かんでいた。
「さて、僕たちの役目は陽動だ。本隊が攻めやすいように、派手に暴れるよ。」
ジュンがそう言うと、ルイーザがワッフルの背に飛び乗った。
「ワッフル、準備はいい?」
ワッフルは低く唸り、力強く地面を蹴った。巨大な体が一気に加速し、要塞に向かって突進を始める。
「ちょっと! あんまり無茶はしないでよ!」
ウェンディが叫ぶが、ジュンとルイーザは振り返りもせず、笑顔で手を振るだけだった。
「さあ、行こうか! ワッフル、全力で突っ込むよ!」
ジュンの声に応え、ワッフルはさらにスピードを上げる。
その巨体が要塞の前に迫ると、リフィリア軍の兵士たちが慌てて警報を鳴らし始めた。
「派手に暴れるから、あとは任せたよ!」
ジュンとルイーザの声が響き渡る。




