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フーラン村の人々を救うためにサウスエンドランドに上陸したルイーザ探検隊。そこで出会ったアスター軍のリーダー、ティムから、カラスカ団の背後にさらに別の侵略者がいる可能性を知らされる。
「この島を守るために協力してほしい」というティムの提案を受け入れたジュンたちは、アスター軍と共に反撃を開始することを決意した。
次の日、戦いが始まった。
ルイーザ探検隊とアスター軍の目指す先は、サウスエンドランド中央都市セリウス。現在、カラスカ団に占領されているこの都市を奪還すれば、戦況は大きく有利に傾くとティムは考えた。
だが、まずは都市周辺の村々を解放し、レジスタンス活動をしている住民たちと合流する必要があった。最初の目標は、海岸の北にある小さな村。しかし、その村には既に危機が迫っていた。
「村がカラスカ団に囲まれてるよ!」
ヒロの声に全員が緊張を走らせる。遠目にも、島に上陸した際に襲ってきたカラスカ団のメンバーが何人か混ざっているのが確認できた。
「このままだと、また廃村みたいになっちゃう。早く助けないと!」
「待て!」
突然、忍び装束をまとった男が現れた。鋭い目つきでティムに一礼する。
「安心してくれ。彼はサンゾー。僕の部下で密偵をしている者だ」
「お見知りおきを。ティム様、報告します。村では既に戦闘が始まっています。おそらく、レジスタンスの人々が抵抗している模様です」
「そうか。報告ありがとう」
ティムは険しい表情を浮かべながらも、すぐに決断を下した。
「ジュン、どうすると思う?」
「聞くまでもないでしょ。助けに行くんだよね?」
「その通りだ。全軍、突撃準備!」
ティムの指揮のもと、アスター軍は一斉に村へと向かって突撃を開始した。
「僕たちも行くぞ!」
ジュンが声を上げると、ルイーザがワッフルにまたがり手を差し出した。
「乗って、ジュン!急ぐわよ!」
「了解!」
ジュンとルイーザはワッフルに乗り、突撃の先頭に立つ。風を切るワッフルの疾走はカラスカ団の包囲網を突き破る勢いだった。
「本当に、あの二人はすごいな……」
ケンが感心したように呟くと、ヒロが拳を握りしめた。
「僕たちも負けてられないよ!行こう、ケンさん!」
「おう、行くぞ!」
二人も村へと向かって駆け出す。
一方、後方ではウェンディとクロックが自分たちの役割を果たそうとしていた。
「さて、私たちは私たちでやるべきことをするわよ」
「オイラたちも戦うの?」
「いいえ、戦いは前線に任せるわ。私たちは武器や防具を補充するための鉱石を集めるの。近くに小さな鉱脈があるって情報を聞いたのよ」
「分かった!オイラ、全力で集める!」
ウェンディの指示に従い、クロックは鉱石探しに走り出した。
こうして、それぞれが自分の役割を果たすべく動き出した。
ルイーザ探検隊とアスター軍、そして村を守るレジスタンスたち――。
この戦いは後に「サウスエンドランドの解放戦」と呼ばれ、数々の伝説を生むことになる。だが、ジュンたちはまだその始まりに過ぎないことを知る由もなかった。




