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「なあ、それより何か聞こえないか?」
ケンの言う通り、どこかから音が聞こえてくる。
馬の足音だ。否、これは・・・何か大勢の足音が混じっている。
「まさか、さっきのカラスカ団が追ってきたのか!?」
「あわわ・・・ど、どうしよう・・・」クロックが動揺する。
ジュンは冷静に周囲を見回した。
「落ち着け、クロック!どこか隠れられる場所を探すんだ!」
「見て、あそこに洞窟があるわ!」
ルイーザが指差した先には洞窟の入り口があった。
「よし、あそこに逃げ込むぞ!」
ジュンたちは洞窟へ向かって走った。
洞窟に着いた頃には、足音が聞こえなくなっていた。
「どうやら、俺たちを追ってきたわけじゃなさそうだな・・・」
「とりあえず、助かったわね・・・」ウェンディが胸をなでおろす。
ジュンは洞窟の奥を見つめながら首をかしげた。
「しかし、都合よく洞窟があったものだな。ここは一体・・・?」
「ね、ねえみんな、洞窟の奥からも足音が聞こえるんだけど・・・」
クロックの怯えた声に、全員が緊張を走らせた。
「まさか、ここも敵の拠点なのか?」ケンが警戒する。
「足音がこっちに近づいてくるわ!」ルイーザが声を上げた。
「次から次へと厄介事が続くわね・・・ワッフルでまとめてぶっ飛ばしちゃおうか?」
「いや、ルイーザ、それは最後の手段だ。こんな場所で暴れたら洞窟ごと崩れるぞ!」
「分かってるわよ。でも、どうするのよ?」
ジュンは思案する間もなく、洞窟の奥から現れた人物に目を奪われた。
現れたのは、赤髪の若い男性だった。全身に鎧をまとい、鋭い眼差しをこちらに向けている。
「お前たち、何者だ?」
その声には明確な敵意が込められていた。
「い、いや、自分たちは怪しい者じゃない。ただの冒険家だ!」ジュンが慌てて答える。
「冒険家だと?」赤髪の男は目を細めた。「ふん、探検隊か。やはり敵か!」
「待て待て!どうして探検隊が敵になるんだよ!」ジュンが必死に弁解する。
「ん?お前たちは知らないのか・・・」男は少し考え込むような表情を見せた。
「だが、見たところ、お前たちは本当に怪しい者ではなさそうだな」
「いやいや、最初から怪しい前提で話すのやめてくれない?」ケンが呆れた声を出す。
男はようやく剣を下ろし、名乗った。
「私はシューク。この洞窟を守る騎士だ。どうか、我が主人に会ってもらえないだろうか」
「主人?」ルイーザが眉をひそめた。
「この洞窟の奥に控えている。お前たちを案内したい」
ジュンたちは顔を見合わせた。追われている身で、簡単に信用していいものか。
「ねえ、これから会う主人とやらが私たちにとって安全という保証はあるの?」ウェンディが鋭く問いかける。
シュークは真剣な表情で答えた。
「騎士の名に誓い、お前たちに危害は加えない。約束する」
その言葉に嘘はないように見えたが、全員が完全に安心できるわけではない。
「どうする?」ジュンがみんなに尋ねる。
ルイーザは考え込んだ末に言った。
「とにかく行ってみましょう。もしもの時は・・・その時は覚悟を決めるしかないわね」
「そうだな・・・他に選択肢もなさそうだ」
ジュンたちはシュークの後を追い、洞窟の奥へと足を進めた。




