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騎士団の宿舎には、募集要項を見て集まったと思われる兵士たちが数十人ほどいた。
どの顔も引き締まり、経験を積んだ強者たちのように見える。
「はい、任務参加希望の方はこちらへ」
受付の兵士に促され、ヒロは任務参加の申請書を提出した。
「はい、この後、責任者からの説明がありますので、しばらくお待ちください」
案内されたのは騎士団の食堂。広々とした空間には、大人数が一堂に集まれるような長机が並んでいる。
しかし、ヒロはどこか落ち着かない様子だった。
(自分、ここにいて大丈夫なのかな…?)
周りを見渡せば、自分よりも遥かに逞しく、強そうな先輩兵士たちばかり。
自分のような新米が、この任務に参加して本当に役に立つのだろうか。そんな不安が胸をよぎる。
しばらくすると、受付の兵士が現れ、食堂全体に響く声で説明を始めた。
「みなさん!今回の任務へのご参加、誠にありがとうございます!これより、任務の内容について説明します!」
兵士たちが静まり返る中、ヒロも耳を傾けた。
「今回の任務は、サウスエンドランドでの資源開拓です。現地では、上質な鉄鉱石が採れることが確認されており、採掘場としての整備が期待されています。しかし、未開拓の地ゆえ、危険も伴います。すでに先行部隊が現地に向かっていますので、合流して作業を進めてください。また、今回はギルドとの合同任務となります。力を合わせて、国に貢献してください!」
説明は簡潔ながらも、その内容は十分に挑戦的であることが伺えた。
「国からの依頼か…やる気が出るね」
ヒロは、兵士として国に貢献できるという点に、任務へのやりがいを感じた。
説明を終えた責任者から、詳細な行程と注意点が伝えられ、出発は2日後と決まった。
「とりあえず、装備を整えないとな。何があるか分からないし、戦える準備だけはしっかりしておこう」
宿舎で生活しているヒロは、給料をほとんど使わずに貯めていた。
これを機に、新しい武器を購入するのも悪くない。
そう考え、ヒロは城下町の武器屋へ向かった。
魔法使いとして使いやすい杖があれば、それを手に入れたい。
武器屋に入ると、見覚えのある顔が目に入った。
「ヒロじゃん!」
「ケンさん!」
そこにいたのは、高校時代の友人、ケンだった。
「元気そうだね」
「お前こそな!いや、まさかここで会うとはな」
話を聞けば、ケンも新しい任務のために武器を調達しに来たのだという。
「長期任務らしいんだよな。サウスエンドランドとかいう場所で、資源開拓するらしい」
「え、偶然だね!実は自分も参加するんだ」
「マジかよ!それなら、ついでに少し話そうぜ。久しぶりだしな」
こうして、ヒロとケンは立ち話を始めた。




