12-7
タコスミの全身が眩い光を放ち、瞬く間にその姿を変えていく。
巨大なトラのような獣――鋭い爪と黄金の瞳が圧倒的な威圧感を放つ存在がそこにいた。
「変身しただと!?」
「ジュン、あいつ…完全に別物になってる!」
ルイーザが鋭い目で相手の姿を観察しながら言う。
タコスミは不敵な笑みを浮かべると、低い唸り声を上げた。
「この姿になれば、俺の力は制限なく発揮できる。他の者を巻き込みたくないから部下を退避させた。それが唯一の配慮だな」
そう言うや否や、タコスミは口を大きく開け、青白い雷の球を吐き出した。
ジュンとルイーザは間一髪でそれを避ける。背後の壁が崩れ落ち、その威力の恐ろしさを見せつけた。
「こいつ、化け物すぎる…」
ジュンは汗を滲ませながら、ルイーザに問いかけた。
「ルイーザ、どうする?策はあるか?」
「無いわね」
「簡単に言うねぇ…」
ルイーザは鋭く言葉を続けた。
「ああいう完全に獣化した相手には、頭で考えるだけ無駄よ。シンプルに力で押し切るしかないわ。ただし、接近戦はダメ。あの爪に触れたら一撃でやられるわよ」
「了解。じゃあ、距離を取って攻める!」
ジュンは即座に拳銃を取り出し、タコスミを牽制するように弾を撃ち込んだ。
弾丸はタコスミの体表に当たり、微かな傷を残す。
「効いているのか?」
「防御力が高いだけ。ダメージは通ってるわよ!」ルイーザが応じる。
だが、タコスミも即座に反撃。再び雷の球を吐き出す。ジュンとルイーザは回避するが、攻撃の激しさに追い詰められていく。
「ちっ、こんなちまちました攻撃…鬱陶しいんだよ!」
タコスミは猛然とジュンに迫り、その巨大な爪を振り下ろした。
ジュンは剣で受け止めようとするが、その力に吹き飛ばされ、壁際まで叩きつけられる。
「ジュン!大丈夫!?」
「なんとか…ってところだな。でも、こいつ、本当にヤバいぞ…」
ジュンが息を整えようとした瞬間、タコスミの追撃が容赦なく襲いかかる。
「これで終わりだ!」
雷を纏った巨大な爪がジュンに迫る。
だが、その瞬間――
「――っ!」
ジュンの剣が眩い光を放ち、まるで自らが生きているかのように動いた。
タコスミの攻撃をカウンターで受け止め、そのまま猛烈な一撃を返す。
「ぐはっ!?」
タコスミの巨体が後方へ大きく吹き飛ばされた。
「え…?今の、何だ…?」




