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12-6

「何がおかしい!」

ジュンが詰め寄るように叫ぶと、タコスミは口元を歪めて笑みを浮かべた。

「お前たちは我々のボスを本気で倒せるとでも考えているのか?だとしたら、随分と楽観的だな」

「何だと!」

「我がボスは我々の異界でも屈指の実力者だ。ただ力が強いだけの存在だと思うなよ。戦術も知恵も兼ね備えたお方だ」

タコスミの言葉には確信が満ちており、その自信が仲間たちにも伝わっているのがわかる。


「だが、残念だったな。ボスにたどり着く前に、お前たちはここで終わる。このカラスカ団第3位、タコスミが相手だ!」

そう言うと、タコスミは鋭い短刀を構えた。その動きには無駄がなく、彼がただの雑魚ではないことが一目でわかる。

ジュンたちもすぐに戦闘の構えを取った。


タコスミが短刀を一閃すると、突如として激しい風が巻き起こった。

「何だ!?風が切り裂いてくる!」

「みんな気をつけて!あの短刀、魔法が宿ってる!」

ウェンディがタコスミの武器の異質さに気づき、叫んだ。


タコスミは嘲笑うように言った。

「そうだ。この短刀は『ウィンドダガー』。風の魔力を宿した一品だ。お前たちがどれだけ持ちこたえられるか見せてもらおう!」


激しい風の刃が四方八方に飛び散り、ジュンたちは即座に身をかわす。だが、一瞬でも油断すれば、風の刃が確実に命を狙ってくる。

「ジュン、私に任せて!」

「頼んだ、ウェンディ!」


ウェンディが前に出て、風の魔法を次々に打ち消していく。タコスミの表情に動揺が走った。

「何だと!?風の魔法を破るだと?」

「その程度の攻撃なら慣れているわ!」

ウェンディは以前、ファランとの戦いで風の魔法を受けた経験があり、その時に得た対策を駆使していた。


「ちっ、厄介な魔法使いだ。だがな、ウィンドダガーはただの武器としても強力だ!」

タコスミはウェンディに向かって突進し、短刀を振りかざす。しかし、その一瞬をジュンが見逃すはずもなかった。

「甘い!」

ジュンは盾でウェンディを守りつつ、カウンターで剣を振るう。渾身の一撃がタコスミを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。


「ぐっ…!」

タコスミは苦痛に顔を歪めるが、その目にはまだ闘志が宿っている。


「さすがだな…だが、ここからが本番だ!」

タコスミは立ち上がり、さらに戦闘態勢を強化する。部下たちは驚きの声を上げた。


「油断したようだな。だが、ここからは手加減なしだ」

タコスミは部下に命じた。

「お前たち、牢屋にいる奴らを連れて退避しろ。この場は捨ててボスと合流する」


クロックが叫ぶ。

「待て!フーラン村の人たちは返してもらう!」

クロックは牢屋の方へ向かおうとするが、それでは危険すぎる。ウェンディがすぐに追った。

「私が行くわ!クロック、急ぎましょう!」

「ウェンディ、頼んだ!」ジュンは背後から声をかけ、彼女たちを送り出す。


タコスミは再び笑った。

「残った二人で俺を相手にする気か?」

「その通りだ。そして、僕らは必ず勝つ!」

ジュンの目には確固たる決意が宿っている。タコスミもその視線を見て、わずかに笑みを消した。


「ならば見せてやる。俺の本気をな!」

タコスミが短刀を振りかざすと、さらに強烈な風の渦が場を覆った。空気が唸りを上げ、戦場の緊張が一気に高まる。

「これが絶望だ。さあ、耐えてみせろ!」


勝負はまだこれから。ジュンとルイーザ、そしてタコスミの死闘が幕を開けた。

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