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【20章】目指すは始まりの異界!探検隊ルイーザと不思議な物語  作者: 旅立 マス
第11章 タキビノ谷とフーラン村
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11-6

そういえば、ルイーザと一緒に冒険を始めてから、まともに料理をしていない気がする。

食事は立ち寄った村で買った保存食がほとんどだし、魚や肉を焼いて終わり、という簡素なものばかりだ。


「もしかして……ジュンとルイーザ、今まで料理してないの?」

ウェンディが驚いたように声を上げる。そういえば、彼らと旅を始めてから、料理をする姿を一度も見たことがない気がする。


「まあ、料理は得意じゃないけど、何とかなるだろ」

「そ、そうよね。大丈夫……なはずよ」

「ちょっと待ちなさい!その根拠のない自信はやめて!分かったわよ、私が料理するから、あなたたちは敵が来ないように見張っててちょうだい!」


ウェンディは、ジュンとルイーザが料理をする様子を想像し、慌てて役割を引き受ける。もしこの二人に料理を任せたら、何が起きるかわからない――そんな不安が彼女を突き動かした。


仕方なく料理担当から外された二人は、村の外へ出て見張りをすることになった。

しかし、今のところモンスターが出てくる気配は全くない。


「……暇だな」

「そうねぇ」

夕飯までは時間がある。敵が現れない限り、このまま数時間は手持ち無沙汰だろう。


「カカオ山って、どんなところなのかな?」

「さあな。でも、名前からしてチョコレートの材料がいっぱい採れるんじゃないか?」

「そういえば、チョコレートの材料ってカカオだったわね。ジュンのいた世界にも、チョコレートってあるの?」

「あるよ。糖分が欲しい時には便利だし、美味しいしね」

「へえー、どこの異界でも似たような食べ物ってあるんだね」


そんな他愛もない会話がしばらく続いた。


「モンスターは結局来なかったな。たぶん、村人を攫った時点で用は済んだんだろう」

「そうね……ていうか、これって私たち、ただの口実で外に追い出されたんじゃないの?」


簡単な料理くらいは覚えておくべきかもしれない――。

ジュンとルイーザは内心そう思いながら、鍛冶屋に戻った。


鍛冶場では、ウェンディが用意した料理が並んでいた。

「私の腕にかかれば、こんなものよ!」

得意げなウェンディの表情に、ジュンとルイーザは目を丸くする。目の前には、見た目にも美味しそうな料理が整然と並んでいた。


「美味しそう!いただきます!」

一口食べると、その味は絶品だった。肉と野菜がバランスよく調理され、どちらも食材本来の美味しさが引き立っている。


「この料理に勝つのは無理だね。僕たちには到底無理そうだ」

「しばらくは、ウェンディが料理担当ね!」


笑いながら食事を済ませた後、クロックが作り上げた装備品を見せてくれた。


「まずはこれ、『フレアマント』。防寒対策はもちろん、火属性の攻撃も防げる特製品だよ」

深紅の生地が特徴的なそのマントは、温かさだけでなく頼もしさも感じさせる。


「次に、この『スコップグローブ』。村で採掘されているコンクリストーンを集めるのに使う手袋でね。崖を登ることもできる優れものだよ」

「崖を登れる手袋って……どういう仕組みなの?」


ジュンが不思議そうに尋ねるが、クロックは笑って軽く肩をすくめた。


「これがあれば、カカオ山も安全に進めるはずだ。でも、外はもう暗いし、夜の山道は危険だ。明日の朝、出発するのがいいだろう」


こうして、ジュンたちは冒険の準備を整え、明日の朝を待つことにした。


「さあ、いよいよだね」

山の向こうに明るくなり始める空を見上げながら、ジュンは静かに呟いた。


カカオ山――その未知なる冒険の始まりが、すぐそこに迫っていた。

ジュン「特に何もない回だったね」

ルイーザ「平和が1番ね。何もないのが1番いいのよ」

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