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「さて、あの山に村の人たちが囚われているわけだけど……どうやって助け出そうか?」
ジュンが呟くように問いかけた。モンスターが山道を改造している以上、慎重に行動する必要がある。だが、今の時点では十分な情報も手段もない。
「直接行ってみるしかないんじゃない?」
「そうだね。現状、それしか方法がないかも。まあ、ノープランだけどさ。」
ジュンは苦笑いを浮かべたが、内心の不安は拭えない。どうやら、今回もいつものように「出たとこ勝負」になりそうだ。
「いつものことよ。ただ、山を登るって考えるなら、最低限の装備を揃えておいたほうがいいわ。」
ルイーザが冷静に助言する。確かに装備が整えば少しは状況が改善するかもしれない。
「装備か……」
ジュンがクロックの方を見た。鍛冶屋を営むクロックなら何か作れるだろうか?
「材料さえあれば、簡単な装備くらいは作れるけど……」
クロックは肩をすくめながら村の現状を見回した。モンスターの襲撃を受けた村では、材料になりそうなものはほとんど残っていない。
「ここに来る前に通ったタキビノ街で、何か材料になりそうなものを売ってないだろうか?」
「そうね。あの街なら何か手に入りそうだわ。ワッフルでサッと行って買ってくる。」
「じゃあ、これをお願い!」
クロックは慌ててメモを渡し、ルイーザはそれを手に取ると颯爽とタキビノ街に向かった。
村での準備
残されたジュンとクロックは、鍛冶屋で装備の準備に取り掛かることにした。
「さて……とにかく作れるものを考えないと。」
クロックはあれこれ道具を引っ張り出しながら、必要な工程を考え始める。やがて、ルイーザが袋を抱えて戻ってきた。
「買ってきたわよ。布が多いけど、これで良かった?」
「うん、ばっちりだよ!これがあれば山向けの装備が作れる!」
クロックは袋の中身を確認して満足そうに頷いた。
「鍛冶屋って言うから鉄とか使った装備を作るのかと思ったけど、違うのね。」
ルイーザが少し意外そうに言うと、クロックは照れくさそうに笑った。
「普通はそうだよね。でもオイラが目指してるのは、武器だけじゃなくて装備全般を作れる鍛冶屋なんだ。」
そう言うクロックの目は輝いていた。その情熱に、ジュンも思わず感心する。
「本気で鍛冶屋をやりたいんだね。」
「うん。だから、これも修行のうちだよ!4人分準備するから、一晩ちょうだい。明日までには仕上げるからさ!」
「僕ら、何か手伝えることある?」
「うーん、特にないかな。でも、ご飯を用意してくれると嬉しいかな。」
「それなら任せてよ。ね、ルイーザ?」
ジュンが笑顔で言った瞬間、少し奇妙な空気が流れた。
「あれ、ルイーザ?」
なんか微妙な空気が流れた。




