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「なるほどね、あの洞窟の中はそんな風になってたのじゃな」
クリスタルの洞窟を出て、3人はサルサの宿屋に戻り、今回の冒険の詳細を報告した。サルサは感心した様子で頷いている。
「いやぁ、大した調査結果じゃ。ここまで詳しく調べてくれるとは思わんかったぞい。各所の状況が細かく分かっておるから、わしらも今後の計画が立てやすいのう」
ルイーザたちが残した記録には、クリスタルの洞窟の構造や、採掘場、そして謎のクリスタルの草花の存在までが詳しく記されている。サルサの目に少し輝きが戻ったように見える。
「なるほど、あの洞窟で採れるクリスタルを産業に利用する、という案じゃな。確かに、あの輝きは見事じゃ。工芸品にしても、輸出しても価値が出そうじゃが……」
サルサは考え込むように口を閉ざした。
「とはいえ、利用するにしても流通ルートを確保したり、設備を整えたりと課題は山積みじゃ。すぐに手をつけられる訳ではないが、これは村にとって大きな希望じゃよ」
クリスタルを使った産業の夢は、村の未来を明るくするかもしれない。しかし、同時にそれは簡単な道のりではないことも明らかだ。
「ともかく、お前さん達には感謝してもしきれん。後は村の問題じゃ。わしらで頑張ってみせるわい」
サルサは力強く言い切った。その言葉に、ルイーザたちの心にも満足感が広がった。
「ええ、村がより良い方向に進むことを、心から祈っていますわ」
ルイーザは優しく微笑む。サルサの瞳に映る決意は、きっと村を新たな活気で包むだろう。
村の外れに向かう途中、川沿いのマーケットでは賑やかな声が飛び交っている。
ルイーザたちは少し立ち止まり、その光景を目に焼き付けた。
「そういえば、これから私たち、どこに行くんだっけ?」
「次は海沿いを目指すつもりだよ。サルサさんが話していた通行止めの場所も気になるし、あっちで何か新しい手がかりがあるかもしれない」
ジュンが答えると、ウェンディも頷いた。
「そうね、それに海沿いなら食材の補給も簡単そう。次の冒険に備えて、色々情報を集められるといいわね」
サルサは村の入口まで見送りに来てくれた。
「お前さんたちの旅の成功を祈っとるよ。また何かあればいつでも戻ってくるんじゃぞ。この村はお前さんたちを歓迎するからの」
その言葉を背に、3人は旅立ちの一歩を踏み出した。
このクリスタルの洞窟での冒険は、彼らにとって初めての「チームでの大冒険」だった。
そして、新たな冒険の期待が心を膨らませていく。
「さぁ、次はどんな未知の世界が待っているのかしら!」
「きっと驚きの連続だろうな。それが冒険の醍醐味だよ」
川のせせらぎが徐々に遠ざかる中、ルイーザ探検隊の新たな冒険が始まるのだった。




